―中国で頑張る石川人 第14回―

宇津原武さん（艾欧北菱横山（上海）貿易有限公司）より一言

さて、私が初めて中国に渡ったのは約5年前。本社で製品企画担当として勤務していた時でした。
新製品の量産前の最終確認の為に、東莞にある協力工場へ訪問したのですが、その時、筐体への塗装に関して何度も何度もスタッフと議論した事が忘れられません。
当時は日本人的な感覚で、「ここまで言えば、もう大丈夫だろう」という様な仕事の進め方で、非常に苦労しました。新製品の出荷スケジュールが迫っている中、OKが出せるまで帰国も出来ず、「なぜ、解ってくれないんだ・・・」と、夜、ホテルで眠れなかった事を覚えています。

オフィスの様子

私が、再度、この中国へ来る事になったのは、艾欧北菱横山（上海）貿易有限公司の設立に合わせてです。以前、弊社總經理の福島が、この場（第7回）にて、会社設立の経緯・概要をご説明させていただいておりますので割愛をさせて頂きます。
ここ上海へ来て約2年。現在のところ、日系企業中心に販売活動を行っていますが、中国人との交流を通して、仕事の進め方の違い、発想の違いを、未だに日々感じています。
社員と会社の関係を例に取ると、日本においては、窓口担当は会社の代表という意識があり、個人の責任もさることながら、会社の責任をも考えた言動、行動が求められます。一方、中国では、会社という場所に集う個人であって、あくまでも個人商店と話をしている様に感じます。また、仕事の分担は完全に分かれており、役割ごとに個人商店になっています。更に、情報の共有化はされておらず、その担当がいなければ、何も出来ないという事が多々あります。
先日も、ある確認事項に関して、メールで回答を求めたところ、今日はメールを送付出来ないとの事。「私はメールを入れる担当では無い。メールを送る担当が休みの為、メールは送る事はできない。私が悪いのではない、仕方ない」と平気で言ってくる始末。

しかし、これに関して、我々が仕事の進め方に疑問を投げ掛け、相手に説明しても仕方ありません。この様な仕事の進め方が標準である中、出来る限り正確に物事を進められるように、如何に手を打つかという事が、私も含め、皆さんの悩みの種だとも言えます。
何事においても、日本では普通の事を、普通に進める・進めさせる事が一番、難しいのではないでしょうか。

弊社は、前述の通り、現在、日系企業向けに販売活動を行っていますが、今後、中国企業、中国人向けへの販売活動へ拡大していきたいと考えています。
しかし、ここ2年という短い経験の中でも、これが如何に難しいことであるかを身を持って感じております。
ここ上海には、様々な分野で活躍されている石川県にゆかりのある方々が数多くいらっしゃいます。今後も、皆さんと公私とも積極的に交流をさせていただき、新しいきっかけや、発想に繋げられればと思っています。
また、この様な我々でも、お力になれる様な事がございましたら、何なりとご相談下さい。

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