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本日、ここに、令和三年第三回県議会定例会が開かれるにあたり、最近の県政の状況と提案いたしました一般会計補正予算及びその他の諸議案につきまして、その大要をご説明申し上げます。
新型コロナウイルス感染症につきましては、三月以降、変異株の影響により、全国で急速に感染が拡大してまいりました。
本県においても、四月には、三月の約十倍となる五百八十四人、五月には、その約二倍の千二百五十七人の新規感染者が確認され、この二か月で、昨年二月から本年三月までの感染者数に匹敵する感染者が確認される異例の事態となったところであります。改めて、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、感染された方々に心からお見舞いを申し上げます。
また、過酷な環境の下、昼夜を問わず、高い使命感を持って献身的に感染者の治療を行っていただいている医療従事者や関係の皆様方と県民生活に不可欠な社会インフラを支えるため業務を行っていただいている皆様方に、心より感謝を申し上げます。
このようなかつて経験したことのない感染拡大に何としても歯止めをかけるべく、先月九日には、国による「まん延防止等重点措置」の指定に先行して、「石川緊急事態宣言」を発出いたしました。
さらに、先月十四日には、本県が「まん延防止等重点措置」に指定され、今月十三日までの間、県民の皆様に対する外出自粛の要請や飲食店に対する営業時間短縮の要請など、人の流れを徹底的に抑制するため、様々な取り組みをお願いし、実践いただいているところであります。
県民や事業者の皆様方のご協力により、人の流れは大きく減少しており、金沢市片町地区においては、感染拡大以前との比較で七割以上減少しております。
ほとんどの飲食店の皆様には、営業時間短縮の要請にご協力いただいており、改めて感謝を申し上げます。残念ながら、要請に応じていただけていない一部の飲食店に対しては、新型インフルエンザ等対策特別措置法や国から示された手続きに沿って、適切に対処してまいります。
「まん延防止等重点措置」の指定から三週間以上が経過し、県民や事業者の皆様方には、長期間にわたり、大変なご不便を強いることとなっておりますが、県民一丸となった取り組みにより、新規感染者数をはじめ全ての指標において改善が見られるところであります。こうした状況を踏まえ、本日、「新型コロナウイルス感染症対策本部会議」を開催し、「モニタリング指標」に基づき、本県の感染状況を判断したいと考えております。
「まん延防止等重点措置」が、その適用期限である今月十三日に確実に解除され、再度の感染拡大を防止するためにも、気を緩めることなく、県を挙げて感染拡大の防止に取り組んでいかなければなりません。県民の皆様方、事業者の皆様方におかれましては、引き続き、ご協力いただきますようお願い申し上げます。
今回のいわゆる「第四波」は、変異株の影響により、感染者の増加スピードが速く、クラスターも幅広い業種で多発するなど、これまでの感染拡大局面とは大きく様相が異なっております。こうした大きな状況の変化を念頭に置き、医療提供体制の確保・充実に万全を期すとともに、感染防止対策のより一層の徹底を図っていかなければなりません。
医療従事者へのワクチンの優先接種については、今月下旬までには接種を完了する見込みとなっております。また、市町が行う高齢者への優先接種については、市町の懸命な取り組みにより、約三割の方が一回目の接種を終えており、全国的に見ても早いペースで接種が進められているところであります。
一方、国の緊急事態宣言の発出や延長に加えて、本県における「まん延防止等重点措置」による飲食店の営業時間短縮や外出の自粛は、飲食業や観光関連産業をはじめとする幅広い業種に大きな影響が及んでおります。地域経済を支える県内の事業者が、この事態を乗り切ることができるよう、事業継続を後押しするとともに、感染状況に十分に留意しつつ、冷え込んでいる需要を喚起し、地域経済を正常な姿に戻していかなければなりません。
今回の補正予算は、以上申し述べた認識の下、感染拡大による事態の急変に直ちに対応するものとして、通常では補正予算を編成しないこの時期に、昨年度に引き続き予算を編成したところであり、以下、主な施策につきまして、その概要をご説明申し上げます。
はじめに、医療提供体制の更なる確保・充実についてであります。
専用病床については、医療関係者からのご提案も踏まえ、一般医療への重大な影響をできる限り回避することを前提に、大型連休時に二百五十八床から三百七十三床まで増床いたしました。さらに、今月二日には、新規感染者の急増に伴う緊急的な対応として、四百三十五床まで増床させていただいたところであります。増床にあたっては、病棟の一部休止や救急患者を他の医療機関で受け入れるなど、一般医療を限界まで制限して対応いただいたところであり、様々なご協力をいただきました医療機関の皆様方に心より感謝を申し上げます。
一方で、こうした限りある病床への負荷を軽減するためには、宿泊療養施設を積極的に活用することが重要であります。
このため、患者の容態安定を第一とすることを前提に、病院と宿泊療養施設の役割分担を明確化し、具体的には、無症状や軽症の方のうち、重症化リスクが低いと医師が判断した方については、宿泊療養施設に直接入所いただくことといたしました。この結果、四月末の運用開始後、入所者数が従来の約二倍となるなど、病床の負荷軽減につながっております。
加えて、医療関係者からのご提案も踏まえ、入院治療を経て症状が安定している方と、入院を経ず直接入所される方の療養施設を分けることにより、容態に応じた療養体制の充実を図るとともに、さらなる感染者の増加に備えるため、二棟目の宿泊療養施設を確保し、去る二日より運用を開始したところであります。ご協力いただきました関係の皆様方に心より感謝を申し上げます。
また、無症状や軽症の方のうち、介護や育児など個々の事情によって自宅療養が認められた方に対しましては、民間事業者を活用し、看護師等が電話による健康相談に対応するなど、健康管理体制を充実することといたしました。
次に、ワクチン接種の早期完了に向けた体制整備についてであります。
ワクチン接種は、新型コロナウイルス感染症対策の決め手となり得る、極めて重要な取り組みであり、希望する全ての県民の皆様に、一日も早く円滑に接種いただくことが、最大の感染防止対策と言っても過言ではありません。
現在、全ての市町で七月末までの高齢者への優先接種完了に目処がたち、今後、全接種対象者の三分の二を占める六十五歳未満の方への一般接種が始まることとなり、まさにこれからが正念場であります。
そのため、県独自の大規模接種会場の設置について検討を進めてきたところ、ワクチンと接種に従事する人材の確保に目処がたったことから、来月の開始を目途に県産業展示館において「いしかわ県民ワクチン接種センター」を開設することといたしました。ご協力をいただくこととなりました医療機関をはじめ、歯科医師会、看護協会及び薬剤師会など、関係の皆様方に心より感謝を申し上げます。
去る四日、第二回目となる、市町長とのウェブ会議を開催し、各市町から、ワクチン接種の進捗状況や一般接種に向けた取組方針などについてお聞かせいただいたところであります。県に配分されるワクチンの特性も考慮しつつ、県接種センターでは若年者からの接種開始を検討するなど、市町から寄せられたご意見を具体の検討に活かし、一般接種の開始に向けて準備を進めてまいります。
また、一部の市町から高齢者接種を確実に完了させるため、県への支援要請があったことから、これに応じることとし、県接種センターの開設時期を前倒しすることも含め、具体の検討を加速させてまいります。
県として、接種の主体である市町を支援し、希望する全ての県民の皆様が一日も早く接種を終えられるよう全力で取り組んでまいります。
次に、感染拡大の防止についてであります。
医療機関や高齢者施設は、感染リスクが高く、クラスターが発生しやすいことから、感染者を早期に発見することが重要であります。このため、先月十日より、県下全域において、これらの施設の従事者を対象とした一斉検査を実施しているところであります。
さらに、先般、学生寮を有する教育機関において、相次いでクラスターが発生したことを受け、県独自に県内の教育機関に対し、寮生を対象とした一斉検査を勧奨しているところであり、所要の予算を計上しております。
変異株の検査については、今般、国において、全国で監視体制を強化する方針が示され、遺伝子解析の技術を都道府県に移転するとされたところであります。これを受け、本県においても、国から遺伝子解析機器を受け入れ、変異株の検査体制の充実を図ることといたしました。これにより、県民の皆様への迅速な情報提供や注意喚起につなげてまいります。
事業者における感染防止対策については、昨年八月以降、経済界と連携し、事業者が業種別ガイドラインを遵守していることを自主的に宣言する取り組みである「新型コロナ対策取組宣言制度」の普及を後押ししてきたところであり、多くの事業者の皆様に積極的に取り組んでいただいております。
一方で、国は、全国的な感染拡大を受け、感染リスクが高いとされる飲食店における感染防止対策を強化するため、基準に基づいた感染防止対策が適切に講じられていることを第三者が認証する制度の導入を促しているところであります。このため、従来の取り組みを発展させ、事業者における感染防止対策を県が認証する「いしかわ新型コロナ対策認証制度」を創設することとし、飲食店に加えて、本県独自に、観光立県として安全・安心が求められる宿泊施設も対象とすることといたしました。この取り組みを通じて、県民や観光客の皆様が、飲食店や宿泊施設をより安全に安心して利用できる環境づくりを推進してまいります。
県立学校における修学旅行については、全国的な感染拡大の影響により、既に春の修学旅行が、秋以降に延期を余儀なくされております。修学旅行は、教育効果が高く、子どもたちにとってかけがえのない貴重な思い出となる学校行事であり、生徒が安心して参加できるよう、バスを増便する経費について支援することといたしました。
次に、厳しい状況下にある事業者の事業継続支援と今後の需要喚起についてであります。
「まん延防止等重点措置」による営業時間の短縮や外出自粛などにより、観光関連事業者や飲食店の取引業者など、幅広い業種の事業者が厳しい経営環境に置かれております。
こうした中、国において、「緊急事態措置」などに伴い売上が大幅に減少した事業者を支援するため、「月次支援金」制度が設けられているところであります。
県としても、厳しい環境に置かれている事業者の事業継続を後押しするため、「まん延防止等重点措置」の対象期間において、国の「月次支援金」に上乗せする形で、独自に中小企業に最大二十万円、個人事業主に最大十万円を支給することといたしました。
さらに、金沢市内の飲食店に対する終日の酒類提供自粛要請により、大きな影響を受けている酒類販売事業者には、国からの要請を踏まえ、国と同額まで上乗せ支援いたします。
一日も早く事業者の皆様に支給することが最も重要であることから、できる限り簡素な申請手続きとしたいと考えております。
さらに、感染拡大防止を図りながら、早期に需要を喚起し、疲弊した地域経済を回復軌道に乗せていかなければなりません。
このため、感染状況が落ち着くことが前提とはなりますが、先に申し述べた、第三者認証を受けた店舗を対象とした需要喚起策を講じることにより、感染拡大の防止と地域経済の正常化の両立を図っていくことといたしました。
具体的には、外食需要を喚起する「GoToイート事業」については、第二弾を新たに実施することといたします。
プレミアム率は、県独自に五%上乗せし、第一弾と同じ二十五%に引き上げるとともに、発行部数については、当初予定していた五十万冊に三十万冊を追加し、合わせて八十万冊を発行いたします。さらに、利用期間は、国の最長期限である十二月十五日まで延長することといたしました。これらにより、総額で全国トップクラスとなる百億円の需要創出を図ってまいります。
また、昨年末からの「GoToトラベル事業」の全国一斉停止や一月以降の首都圏や関西圏を中心とする国の緊急事態宣言の発出や延長などにより、観光関連事業者は大変厳しい状況が続いております。
このため、第三弾となる「県民向け県内旅行応援事業」を実施し、旅行需要を喚起することといたしました。新たな取り組みとして、観光クーポン券を発行し、宿泊施設のみならず、地域の土産物店や交通機関などの観光関連産業にも経済効果を波及させるとともに、日帰り旅行を割引の対象に追加いたします。さらに、利用期間は、国の制度を最大限活用し、十二月末までとし、期間が長期にわたることから、第二弾で設けていた利用回数の制限を撤廃することといたしました。これらにより、総額で七十億円の需要創出を図ってまいります。
次に、生活困窮者への支援についてであります。
新型コロナウイルス感染症の影響により、家計が急変した世帯に対する生活資金の貸し付けにつきましては、特例措置の期限が延長されたところであります。さらに、国において、生活資金を上限額まで借り入れた世帯に対する支援金制度が創設されたことから、それぞれ所要の補正を行っております。
以上が、今回の補正予算の大要でありまして、一般会計補正予算総額は百七十二億六千四百万円余、現計予算とあわせて六千四百六十三億二千三百万円余となるものであります。財源としては、国庫支出金百十七億四千二百万円余、諸収入四十七億二千九百万円余を充てるほか、財政調整基金七億九千百万円余を取り崩すことといたしました。
さて、本年度の当初予算につきましては、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策はもとより、あらゆる分野において、県民生活の安全・安心の確保を大きく前進させるとともに、石川の個性ともいうべき豊かな歴史文化、高い技術力を有するものづくり企業の集積、さらには充実した陸・海・空の交流基盤といった本県の強みにさらに磨きをかけ、これを最大限に活かしていくことに意を用いて編成をいたしました。現在、その執行に全力を挙げて取り組んでいるところであり、以下、当初議会以降の進展を中心に、先に申し述べた施策を除く主なものについてご説明申し上げます。
第一は、「魅力が輝き交流が盛んな地域づくり」についてであります。
北陸新幹線につきましては、金沢・敦賀間について、昨年末、工期が一年程度遅延するとともに、事業費が増加することとなりました。これを受け、四月には、鉄道・運輸機構において、事業執行体制の強化を目的に、機構本社と直結する地域密着型の組織として、北陸新幹線建設局が石川・福井両県に設置されたところであります。また、これに先立ち、関係者と機構との間で定期的に情報共有するため開催されている連絡会議において、先月末、加賀トンネルの盤ぶくれ対策工事が計画通り完了したとの報告がなされたところであります。今後、半年間の経過観察を行うとのことでありますが、令和五年度末の開業に向けて一歩前進したものと捉えております。
敦賀・大阪間については、速やかに環境影響評価を進めるとともに、本年一月に設置された与党の整備委員会において、令和五年度当初の着工に向けた技術的課題や財源確保等の検討を進めていただきたいと考えております。
北陸新幹線は、東海道新幹線の代替補完機能という役割を超えて、日本海側の大動脈の役割を果たしております。この役割を最大限に発揮するためにも、金沢・敦賀間の令和五年度末までの確実な開業及び敦賀・大阪間の令和五年度当初の着工とフル規格による早期全線整備に向けて、引き続き、関西圏を含めた沿線地域との連携を密にし、県議会及び関係各位のご支援をいただきながら、国に強く働きかけてまいります。
金沢港につきましては、開館から一年が経過したクルーズターミナルに、これまで七十万人を超える方々にご来館いただくとともに、四月二日には、オープン後、初めてのクルーズ船「飛鳥Ⅱ」が寄港いたしました。
新型コロナウイルスの感染拡大により、「ワンナイトクルーズ」をはじめ、当面のクルーズ船の寄港が延期又は中止を余儀なくされておりますが、感染状況が落ち着いた際には、賑わいの拠点として、県民の皆様に親しみを持っていただくとともに、利用者の一層の増加につなげるため、今月下旬から、クルーズターミナルの愛称を公募することといたしました。
また、貨物については、物流企業のノウハウを活用し、荷主の利便性やコスト面に優れた小口混載貨物の輸送に今月中にも着手することとしており、これにより、昨年来減少している貨物量の回復に努めてまいります。
小松空港につきましては、国内線・国際線ともに依然として減便・運休が継続するなど、厳しい状況が続いております。今後の感染状況や利用状況等の動向を注視しながら、航空会社に対し早期の復便を働きかけるとともに、ビジネス・観光の両面から利用促進に取り組んでまいります。
今後とも、議員各位をはじめ小松基地並びに空港周辺住民の皆様方のご理解とご協力をいただきながら、日本海側の拠点空港としての発展に向け努力してまいる所存であります。
のと里山空港につきましても、減便・運休が相次いだことから、目標搭乗率の達成が困難な状況となっておりますが、先般、全日空との間で、開港十八年目について、昨年に引き続き、搭乗率保証制度を適用しないとの合意に達したところであります。
今後とも、航空会社等と連携しながら、地元市町や関係団体と一体となって、安定的な需要の確保に取り組んでまいります。
IRいしかわ鉄道につきましては、利用者数が大幅に減少しており、昨年度の決算は、平成二十七年度に通年運行を開始して以来、初めて赤字となったところであります。
鉄道事業が厳しい環境にある中、金沢以西延伸後の新たな経営計画の策定に向けて、新型コロナウイルスの影響による利用動向の変化を見極めるとともに、国やJR西日本などから十分な支援と協力が得られるよう、引き続き、粘り強く協議を行ってまいります。
また、新幹線県内全線開業の遅延に伴い、延伸準備のための人件費などが追加で発生する見込みであり、こうした掛かり増し経費が収支に影響を及ぼさないよう、国に対し、適切な財政支援措置を求めて、強く働きかけてまいります。
広域道路ネットワークの整備につきましては、「ダブルラダー輝きの美知」構想に基づき、のと里山海道の四車線化、金沢外環状道路海側幹線、加賀海浜産業道路などの幹線道路の整備を進めているところであります。このうち、輪島市門前町黒島町の国道二四九号黒島道路については、工事が順調に進捗していることから、この秋には完成供用出来る見込みとなったところであります。
いしかわ動物園につきましては、動物とのふれあいの充実を求める声が多いことを踏まえ、昨年九月から整備を進めてきた「ふれあい体験館」が、感染防止対策を徹底した上で四月十七日にオープンいたしました。県民をはじめ多くの皆様方に、動物とのふれあいを通して、動物の生態や命の大切さを学んでいただきたいと考えております。
第二は、「個性と魅力にあふれる文化と学術の地域づくり」についてであります。
金沢城につきましては、昨年度、史跡金沢城の保存・活用のマスタープランともいえる「金沢城跡保存活用計画」を、復元の総仕上げともいえる二の丸御殿を盛り込んだ計画として策定し、これを踏まえ、二の丸御殿の復元整備に向けた基本方針の取りまとめを行ったところであります。
二の丸御殿については、政務や儀礼の場であった「表向」のうち、御殿の特徴となる造りや装飾が見られる部分を対象に段階的に復元整備を進めることとしており、先月、御殿の正面である玄関や式台周辺について、建物の基本設計に着手したところであります。
二の丸御殿は、これまでの門や櫓とは異なり、豪華絢爛な、まさに加賀百万石を象徴する建物であったことが明らかになっております。こうしたことから、来月にも、城郭建築や史跡整備に加え、近世の歴史や美術史といった各分野の専門家からなる委員会を設置し、技術的な指導や助言をいただきながらさらに具体の検討を進めていくこととしております。
二の丸御殿の復元は、県民共有の財産である金沢城の価値や魅力を格段に高めるとともに、本県の個性である質の高い文化にさらなる厚みを加えるものと確信しており、県民の皆様方と、御殿に対する思いを共有しながら、取り組みを着実に進めてまいります。
「兼六園周辺文化の森」につきましては、昨年四月に成立したいわゆる「文化観光推進法」に基づき、県・金沢市・独立行政法人国立美術館の三者共同で提案した「兼六園周辺文化の森地域計画」が、先月、国に認定されたところであります。今後、国の財政支援も得ながら、「いしかわ百万石文化祭二〇二三」の開催や北陸新幹線県内全線開業を見据え、金沢市や国立工芸館と一層連携し、魅力ある展覧会や文化イベントの開催、情報発信等の取り組みを計画的に進め、この全国有数の文化ゾーンの魅力を国内外に向けて発信してまいります。
「国際北陸工芸サミット(仮称)」につきましては、文化振興のみならず産業振興の観点を踏まえ、「生活の中で活かす工芸」をテーマに、八月から十二月にかけて開催することとしており、来月にも、県内の伝統工芸産地とともに実行委員会を立ち上げることとしております。開催にあたっては、感染防止対策に万全を期すとともに、感染状況に応じて、オンラインの活用を検討するなど、富山県、福井県と続いてきた一連の工芸サミットの掉尾を飾るにふさわしいものとなるよう、準備に万全を期してまいります。
令和五年秋に開催される「いしかわ百万石文化祭二〇二三」につきましては、今月中に、各界各層からなる実行委員会を設置し、本大会の詳細を盛り込む実施計画の策定に着手するなど具体の検討を進めてまいります。
また、本年秋から、大会のPRにご協力いただく広報大使である「スペシャルアンバサダー」及び開閉会式の監修を行っていただく「総合ディレクター」として、県立音楽堂の邦楽監督でもある、和泉流狂言師の野村萬斎氏に就任いただくこととしたところであり、本県ならではの魅力ある大会となるよう工夫を凝らすとともに、その魅力を全国に発信し、開催に向けた気運の醸成を図ってまいりたいと考えております。
今後とも、市町や文化団体、関係機関と緊密に連携しながら、県民総参加による石川ならではの文化の祭典を目指してまいります。
新たな県立図書館の建設につきましては、鉄骨の組み立てを終え内装工事にも着手するなど、建物の本体部分の年内完成に向けて順調に工事が進捗しており、公募により選定したカフェ出店者と、多くの来館者の憩いや安らぎの場となるよう、協議を進めているところであります。
また、県民の皆様に関心や愛着を持っていただけるよう、新たな図書館に愛称をつけることとしており、先月二十七日より、公募を開始したところであります。さらに、現図書館を運営しながら進めてきた移転作業については、本年十一月一日から図書館を閉館して本格的に行うこととしており、県民の皆様にはご不便をおかけいたしますが、令和四年度前半の開館を目指して、今後とも、ハード・ソフト両面において創意工夫を凝らしながら着実に整備を進めてまいります。
東京二〇二〇オリンピック聖火リレーにつきましては、五月三十一日及び六月一日に県内全ての市町で実施することとなっておりましたが、現下の感染状況に鑑み、公道での実施を取り止めたところであります。
その代替措置として、金沢市及び七尾市の聖火到着式会場において、ランナーが順番にトーチの火をつないでいく「トーチキスリレー」をランナーのご家族や市町長などの参列のもと実施し、ステージ上で思い思いのポーズでご自身を表現した百八十三名のランナーの皆様がつないだ聖火を、富山県に引き継ぐことができました。
当初の予定どおりに実施できなかったことは大変残念ではありますが、引き続き、オリンピックを契機とした本県スポーツの振興に努めてまいります。
東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿につきましては、来月二十三日からの大会本番を控え、来月初旬から各国の代表チームが本県で合宿を行う予定となっております。事前合宿の受け入れについては、国から示される対策方針を踏まえ、市町が受入マニュアルを作成し各国と合意書を締結することとなっており、市町・競技団体としっかりと連携し、感染防止対策などに万全を期してまいります。
第三は、「地域の強みを活かし成長する産業づくり」についてであります。
県では、昨年度、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい経営環境にある事業者の皆様を資金面から強力に支援するため、緊急的な対応として、全国でもトップレベルとなる総額百八十億円を超える資金給付を実施するなど、前例にとらわれない思い切った対策を講じてまいりました。
今年度は、支援の軸足を、事業継続に向けた緊急的な一律給付から、事業の発展に向けた支援へと移し、本格的な回復軌道に乗せるべく、取り組みを進めております。
企業活動のあらゆる段階をきめ細かく支援するために再編した専門家派遣制度につきましては、これまでの派遣件数は四百件を超え、数多くの企業に活用いただいているところであり、引き続き、様々な経営課題を抱える企業を回復・成長へと導けるよう取り組んでまいります。
また、厳しい経営環境にあっても、企業が将来の成長を目指し、前向きに事業活動に取り組むことは、企業の経営基盤の強化につながるのみならず、本県産業の底上げの原動力となるものであります。企業のこうした取り組みを後押しする新分野進出や販路開拓に対する助成制度につきましては、先般、キックオフセミナーを開催し、公募を開始したところであります。
産業のデジタル化につきましては、企業による人材育成を幅広く支援するため、基礎的な内容から実践までを学ぶ「デジタル化実践道場」を今月十日にオンラインで開講するとともに、より高度な内容を学ぶ早稲田大学を代表校とする「スマート・エス・イーIoT/AI石川スクール」を夏頃に開講することとしております。これらの取り組みを通じ、デジタル化による本県産業の競争力強化を図ってまいります。
第四は、「成長する農林水産業と農山漁村づくり」についてであります。
特色ある農林水産物のブランド化につきましては、昨年度、新型コロナウイルスの影響下においても、ルビーロマン、加賀しずく、のとてまり、エアリーフローラが初せりで過去最高値を付けるなど、市場から高い評価をいただき、ブランド品目の販売額は、過去最高となる三十二億円となりました。
こうした農林水産物のブランド価値を一段と向上させるため、有識者のご意見を踏まえ、来月には「ブランド食材」を認定するとともに、旬の食材による通年キャンペーンを開催するなど、農林水産物のブランド価値の向上にしっかりと取り組んでまいります。
「世界農業遺産国際会議2021(仮称)」につきましては、十一月下旬に、七尾市和倉温泉を主会場として開催することとなりました。会議では、世界農業遺産の認定効果が農林水産業の枠にとどまらず、観光やものづくりといった他の産業にも広がっているこれまでの成果などに加え、「能登の里山里海」の魅力を国内外に広く発信したいと考えております。開催にあたっては、感染防止対策に万全を期すとともに、海外からの参加者についてはオンラインの活用を検討するなど、様々な事態にも対応しながら実施することとしており、今月中にも、国連食糧農業機関(FAO)や農林水産省、国連大学、能登地域の市町とともに、開催委員会を立ち上げ、準備に万全を期してまいります。
森林の保全につきましては、水源のかん養や山地災害の防止など、その公益的機能を維持するため、平成十九年度に県民の皆様のご理解のもと、いしかわ森林環境税を導入し、手入れ不足人工林の整備や放置竹林の除去などを着実に進めてきたほか、令和元年度からは県産材の利用促進にも取り組んでまいりました。本年度末で現行の課税期間が終了することから、来月にも、有識者からなる「いしかわ森林環境基金評価委員会」において、これまでの取り組みの総合的な検証・評価をいただくとともに、今後の取り組みについて検討をいただくこととしております。
日本海の大和堆における外国漁船による違法操業につきましては、今月からスルメイカ漁が開始される中、既に多数の中国漁船が目撃されており、今後とも、状況を注視し、県議会及び関係各位と連携を密にしながら、違法操業の取り締まり強化と本県漁船の安全確保について、国に対し、強く働きかけてまいります。
第五は、「少子高齢化を見据えた希望と安心の社会づくり」についてであります。
少子化対策につきましては、「いしかわエンゼルプラン2020」に基づき、当面の目標である出生率一・八の達成に向け、結婚から妊娠・出産、子育てまでの切れ目のない支援に取り組んでいるところであります。
妊娠や出産に関する支援については、将来、子どもを望むご夫婦が妊娠に関する正しい知識を身につけ、ライフプランを考えていただく機会を提供するため、結婚後早い段階で、産婦人科において無料で健診を受けることができる「いしかわプレ妊活健診」を来月から実施することといたしました。
今後とも、若者の結婚や出産に対する希望をかなえ、安心して子どもを生み育てることのできる社会の実現に向け、エンゼルプランの着実な推進に努めてまいります。
第六は、「安全・安心と豊かな里山里海に包まれる環境づくり」についてであります。
即効性のある災害予防対策である河川の堆積土砂の除去については、国の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を活用し、対策が必要な八十一の全ての河川で工事を完了させたところであります。
引き続き、国の新たな「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を最大限に活用して、これまでに得られた知見を基に、土砂の堆積が見込まれる箇所をあらかじめ計画的に除去することとしております。
昨年、市街地への出没が相次いだツキノワグマへの対応につきましては、より早期に警戒を呼びかけるため、例年より早い四月に市町や関係機関による連絡会議を開催し、被害防止対策の徹底を依頼するとともに、新たにドローンを活用したブナの豊凶予測調査を実施したところであります。現時点では、今年の秋のブナの実は、凶作傾向にはなく、平年並み以上の予測となっておりますが、引き続き、市町や関係機関と連携し、人身被害防止にしっかりと取り組んでまいります。
治安対策の強化につきましては、現在建設中の七尾警察署新庁舎について、十一月の供用開始に向け、着実に整備を進めてまいります。
第七は、「人を惹きつける生涯居住の地域づくり」についてであります。
移住・定住の促進につきましては、移住体験の機会を倍増することとしており、全国的な感染拡大の影響により、現地での体験が難しい中にあっても、オンラインを活用し、取り組みを進めているところであります。
学生の県内就職の促進につきましては、先月、感染状況を踏まえ、インターンシップを受け入れる企業と学生のマッチングをオンラインで実施したところであり、引き続き、一人でも多くの学生が県内に就職するようしっかりと取り組んでまいります。
第八は、「未来を拓く心豊かな人づくり」についてであります。
去る三月に、今後五年間の本県教育の総合的な指針となる「第三期石川の教育振興基本計画」を策定するとともに、この計画を総合教育会議において、本県の「教育に関する大綱」として位置付けたところであります。これに基づき、引き続き、ふるさとに誇りを持ち、未来を切り拓こうとする気概あふれる積極果敢な人づくりを目指し、具体の取り組みを積極的に進めてまいります。
特別支援学校につきましては、専門的指導や就労支援を期待する保護者の増加などを背景として児童・生徒数が増加する中、いしかわ特別支援学校及び明和特別支援学校の教育環境の向上を図るため、両校の通学エリアを見直すとともに、いしかわ特別支援学校に近接する金沢向陽高校の敷地内に知的障害部門高等部の新校舎を建設することとしており、基本計画の策定に着手したところであります。
また、同高校との間で、全国でも例のない、日常的に様々な場面で両校の生徒同士が交流する、インクルーシブ教育の実施に向けた具体の検討に着手するなど、令和七年度の開校を目指し、諸準備を進めてまいります。
次に、提案いたしましたその他の諸議案のうち、主なものについてご説明申し上げます。
議案第十一号は、金沢港で整備を進めてまいりましたクローラクレーンについて、本年十月から供用を開始することとし、そのための使用料を定めるものであります。
志賀原子力発電所につきましては、現在、原子力規制委員会において、法律に基づく新規制基準への適合性に関する審査が行われております。規制委員会には、科学的な根拠に基づき厳格な審査を行い、地元住民はもとより国民の理解と納得が得られるよう、しっかりと説明責任を果たすことを引き続き強く要望してまいります。
原子力発電所は安全確保が大前提であり、北陸電力(株)には、今後とも、より一層の安全対策に取り組むよう強く求めてまいりたいと考えております。
本県のデジタル化に向けた取り組みにつきましては、本年二月に立ち上げた「デジタル化推進本部」の下に、行政手続のオンライン化などによる「行政サービスの向上」、電子決裁の推進などによる「行政の効率化」、行政以外の分野における「産業・生活のデジタル化」の三つのワーキンググループを設置し、現在検討を進めているところであります。今後、国の動向も見据えながら、年内を目途に、県全体のデジタル化の取り組みを推進する指針となる「石川県デジタル化推進計画」を策定することとしております。
最後に、令和二年度の決算につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として思い切った財政出動を行った結果、九年ぶりに財政調整基金の取り崩しを余儀なくされたものの、減収補填債や特別交付税をはじめとする歳入確保や事務事業の執行の見直しに努めた結果、取り崩し額を十四億円余まで圧縮したところであります。これにより、令和二年度末の基金残高は、前年度の約九割の百八億円余となり、今後の財政需要に備えることができたものと考えております。
しかしながら、今年度、新型コロナウイルス感染症対策として、五十五億円余の取り崩しを余儀なくされているところであります。さらには、増え続ける社会保障関係経費や北陸新幹線延伸による負担など、財政状況は今後も楽観できる状況にはなく、今後も引き続き、財源の確保や事業の選択と集中を図りながら、持続可能な行財政運営にしっかりと取り組んでまいります。
ウイルスとの闘いは一進一退を繰り返しておりますが、今一度、緊張感をもって、感染防止対策に取り組んでいかなければなりません。
県民の皆様方におかれては、接触の回避や飛沫の防止に、より一層努めていただくとともに、改めて、マスクの着用や手洗い、身体的距離の確保などの「新しい生活様式」を徹底していただきますようお願い申し上げます。気を緩めることなく地道な取り組みを続けていくことが、感染拡大の防止につながります。
そして、専門家によれば、ワクチン接種は、個々人の発症や重症化の予防に加えて、接種者が増えることにより、いわゆる「集団免疫」の形成にも期待が持てるとのことであります。接種は強制ではありませんが、積極的に接種いただくようお願い申し上げます。
事業者の皆様方におかれては、業種別のガイドラインを遵守するなど、改めて、感染防止対策を徹底いただきますようお願い申し上げます。こうした取り組みが、感染防止のみならず利用者の信頼の確保にもつながるものと考えております。
また、感染者や医療従事者などの関係者とその家族などに対する差別や偏見につながる行為は断じて許されないものであります。県としても、「石川県新型コロナウイルス感染症に係る差別の解消の推進に関する条例」に基づき、しっかりと周知・啓発してまいります。
一日も早く、新型コロナウイルス感染症に打ち克ち、かつて活況を呈していた石川を取り戻すため、県民一丸となって、この難局を乗り越えていけるよう、「個性」、「交流」、「安心」を旨に、全身全霊を傾けてまいる所存でありますので、議員各位の一層のご指導とご協力をお願いいたします。
以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なにとぞ慎重ご審議のうえ、適切なるご決議あらんことをお願いいたします。
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