緊急情報

閉じる

現在、情報はありません。

印刷

更新日:2023年11月1日

ここから本文です。

―上海駐在員便り 2023年11月―

上海交通大学でのインバウントプロモーション

  中国の大学といえば、北京や清華大学が有名ですが、上海市中心部にキャンバスを構える上海交通大学(以下、交通大学)も難関校として国内では指折りの大学です。日本人にはあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、中国教育省直轄の理数系総合大学で、江沢民元国家主席等を輩出したことでも知られ、国内では「北の清華、南の交通」と言われるほど。留学生も多く、優秀な学生が集まってきています。その交通大学構内にある書店の交流スペースにて、9月23日に工芸品・酒をテーマとした石川県観光セミナーを開催しました。

  今回のセミナーは、復旦大学(文化系の名門大学。最近、芸能人の小島瑠璃子さんの留学先としても注目を集めました)の教授で、交通大学の講師も務める徐先生とのタイアップ企画です。先生は、中日文化論を専門領域とされ、日本の食や伝統文化に造詣が深く(書籍も出版)、過去には京都大学や神戸大学でも教鞭をとられたこともある方で、その分野では著名な先生として知られています。今回、一般的な観光プロモーションではなく、テーマを伝統工芸と食に絞り、アカデミックに文化や伝統を掘り下げて考察する訪日ツアーを提案するために、勉強好きな方が会員となっている交通大学の書店にて、先生の講演も含めた交流会という形で実施しました。背景には、中国経済の落ち込みや価値観の変化等により、以前の「爆買い」に象徴されるようなものではなく、その場でしか経験できないことや地域の文化が感じられるような旅行にニーズがシフトしてきているという実態があります。今年6月に日本政府観光局(JNTO)が公表した「訪日マーケティング戦略」においても、中国においてはリピーターと高所得者層の誘客に力を入れており、地方においては、自然や伝統文化、食を中心としたコンテンツ訴求を課題として挙げています。こうした市場の変化を踏まえてターゲット層を絞り込み、石川県が抱える観光資源をマッチさせることができれば、誘客に加えて工芸品や地酒など特産品の販売拡大にもつなげられるのでは、と考えます。

  セミナーに先立ち、先生には7月19日~25日に催行した、九谷焼産地と酒蔵を巡るツアー「石川县九谷烧清酒探訪游学」にご参加頂き、九谷焼作家の工房や酒蔵見学、絵付け体験、そして地元料理を工芸品の器で楽しむという、まさに石川県の食文化に触れる旅行を体験されました。このツアーは、中国で九谷焼等の販売を行う事業者が中心となって企画したもので、在上海総領事館とも連携し、5月には総領事館のホールで約70名を集めたツアー説明会も開催しました。説明会では、オンラインで九谷焼工房と繋いでバーチャル見学をしたり、総領事館の公式SNSでのライブ配信も行いました。多くの方から「SNSの配信見ましたよ」とか「積極的にインバウンド誘客してますね」というようなご連絡を頂き、反響は少なからずあったかと思います。実際のツアーでは、土産品として九谷焼や地酒を購入する人の姿や、稲が成長して緑がきれいな時期であったということで、その自然の美しさや空気のおいしさに感動している旅行者の姿も見られました。

  前置きが長くなってしまいましたが、セミナーでは、当方から観光情報の紹介をした後、先生による石川県の伝統文化や工芸品等に対する考察・魅力についてご講演頂き、最後に参加者と交流する、という3部構成で行い、約40名の方にご参加頂きました。当日は、九谷焼の展示や地酒の試飲も行い(商品はECサイトで購入可能)、触ったり味見したりしながら交流を深めました。先生は講演の中で、九谷焼によく描かれる花鳥山水の絵柄は、中国絵画を代表する山水画・花鳥画と通じるものがあるため共感を得やすく、また日本人特有のきめ細かな描写や金粉を使用した優雅な美しさを、是非実際に現場で見てみてほしい、とコメント。また、地酒については、純米大吟醸や無濾過生原酒を堪能したエピソードを語り、なかなか中国では味わえない現地ならではの魅力を語って頂きました。参加者からは、「石川県の伝統工芸の特色がよく分かった。興味が湧いてきた」「食と工芸をセットで楽しめるのはとても魅力的」というコメントを頂いたほか、「石川での生活コストは上海よりも高いのか?」「地元の人は工芸品を普段から使用しているのか?」といった生活様式に関する質問も寄せられました。なんとなく金沢のことは知っていたけど・・・という方も、今日の交流会でより理解が深まり、関心を持って頂けたのではないかと思います。以前石川を訪れたことがあるという方は、「今度は手作り体験もしてみたい。寒ブリと一緒に地酒を楽しみたい」と言って帰っていかれました。同じ会場でまた12月に第2回のセミナーを開催する予定です。

  10月29日から待望の上海小松直行便が3年半ぶりに運航再開されることになりました。この機会に石川県のコンテンツ訴求に力を入れ、付加価値の高いインバウンド誘客の実現に向けて尽力していきたいと思っています。

(画像1:ツアー説明会の総領事館公式SNSでのライブ配信)

231101

(画像2:徐先生の講演)

231102

(画像3:参加者との交流)

231103

お問い合わせ

所属課:商工労働部産業政策課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1511

ファクス番号:076-225-1514

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報はお役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

同じ分類から探す