緊急情報

閉じる

現在、情報はありません。

印刷

更新日:2021年5月6日

ここから本文です。

―上海駐在員便り 2021年4月―

中国における春節の動向と先進技術の社会実装力

  ■春節の動向

  「就地過年」(その場で年越し)。これが今年の春節におけるスローガンでした。例年であれば、中国の春節期間中はその前後の期間も併せると、帰省や旅行等で延べ約30億人が移動しますが、今年は様相が全く異なりました。中国政府によると、春節7連休(今年は2月11日~17日)に鉄道や航空機などで国内を移動した人は、コロナ前の19年同期比では76.8%減少して1億人を割り込み、コロナが中国国内で流行し始めた前年同期比でも34.8%減となりました。

  春節前の1月頃、河北省を中心とした北部地域で再びコロナが感染拡大し、局所的なロックダウンや、上海においても少数ではありますが市中感染が発生するなど、一時緊迫した雰囲気となっておりました。このような状況下で、中央政府は春節期間中の帰省・旅行の自粛要請を行うとともに、地方政府においてもPCR検査の陰性証明提出や隔離政策などの強化策を打ち出し、実質的に省や市を跨ぐ移動が制限される状態となりました。実際、私の周りでもほぼ全員が上海に留まり、旧正月を過ごしました。また、企業等によっては、帰省せずに居住地に留まった出稼ぎ労働者に対して一時金等を支給するところも多くみられました。

  また、帰省や旅行に充てるはずだった予算は、居住地での消費に向かいました。中国商務省によると、主要な小売り及び料理宅配業者の売上高(ネット販売含む)は8210億元となり、前年同期比で28.7%増加しました。デジタル家電や衣料品、フィットネス機器等の売上が好調でしたが、中でも今年最も特徴的だったのが宝飾品で、春節休暇が「情人節」(日本でいうバレンタインデー)と重なったこともあり、約160%増となりました。中国のバレンタインデーは日本とは逆で、男性から女性にプレゼントを贈ることが通例となっており、花や美容用品も堅調だったようです。

  なお、移動自粛の効果もあってか、春節が明けた現在、危惧されたコロナの感染再拡大はみられず、落ち着いた状況となっております。中国に進出している県内企業からも3月から他省への出張を再開するなどの声が聞かれ、このままコロナが収束していくのを願うばかりです。

  

■先進技術の社会実装力

  ここ中国では、先端技術の社会実装のスピードを肌で感じることが度々あります。先日、地方政府からの招聘により、蘇州市相城区を訪れた際も2つの「日進月歩」を目の当たりにしました。

  一つ目は、すでに自動運転バスが運行していることです。駅前周辺の特定エリアに限定されていますが、一般の乗客を乗せて公道を自動走行しており、住民の生活の足として利用されております。市民はスマホアプリでバスがどこを走っているか把握することもできます。現在は試験運用的な要素もあり無料で乗車できますが、今後有料化する予定とのことです。実際に私も乗車してみたところ、(AIがまだ学習中のためか)ややブレーキが急に感じることもありましたが、概ね安定した走行でした。なお、車内には緊急時に備えて運転席に人がハンドルから手を離した状態で乗っており、走行状況がモニターで乗客にも見えるようになっておりました。当該のバスの開発・運用に携わっている中国企業の方に話を伺うと、もともとは無人タクシーの開発をしており、その技術をバスに応用したとのことで、自動運転レベルは(0~5まで6段階ありますが)上から2番目の「4」(特定条件下における完全自動運転)にあたるとのことです。

  さらに、バスを降りると、道で中国EC大手の自動配送ロボにも出くわしました。EC市場の急拡大による配送負荷の軽減やコロナ禍における非接触での荷物受取等への対応のため、AI技術を活用した自動化が猛スピードで進んでいることがうかがえます。

  なお、雄安新区(河北省)においても自動運転バスや無人移動販売機、無人清掃車が稼働しているほか、最新の動きとしては、中国のスタートアップ企業が深圳市で完全無人運転(レベル5)に相当するロボタクシーの試験運用を開始するなど、自動運転技術の社会実装は今後中国の各都市で広がりをみせるであろうと思われます。

  2つ目は、デジタル人民元です。現在、2022年2月の北京冬季五輪を見据えて導入準備の最終段階にあり、昨年から今年にかけ、蘇州市や深圳市などで実際の利用を想定した大規模な実証実験が行われております。実証実験では、各都市において、抽選で選ばれた数万から数十万人の市民が、スマホの専用アプリで1人200元のデジタル元を無償で受け取り、商店やレストランでの支払いに使っております。実際に、蘇州市のショッピングモールでは、レジカウンターにデジタル人民元支払用のQRコードが設置されているのを目にしました。

  なお、すでに中国国内では、「支付宝(アリペイ)」や「微信支付(ウィーチャットペイ)」など民間の電子決済サービスが定着しており、普段ほとんど現金を使用することがないほどキャッシュレス化が進んでおります。よって、デジタル通貨に対する抵抗感は比較的小さいと思われる一方で、社会全体に浸透するためには、もはや中国国民の生活の一部として根付いている既存決済サービスとの関係がどうなるかにかかっており、動向を注視していきたいと考えております。

  自動運転バス

(写真1:自動運転バス)

 自動配送ロボ

(写真2:自動配送ロボ)

お問い合わせ

所属課:商工労働部産業政策課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1511

ファクス番号:076-225-1514

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報はお役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

同じ分類から探す