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更新日:2023年2月17日

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―上海駐在員便り  2022年12月―

ソフトウエア産業の集積基地「上海浦東ソフトウエアパーク」

  ■上海浦東ソフトウエアパーク

  上海市の浦東地区に位置し、上海浦東国際空港にもほど近い「上海浦東ソフトウエアパーク」は、30年前に国と上海市の共同プロジェクトとして整備されたソフトウェア産業の集積基地として重要な拠点となっています。約15万平方メートルの広大な敷地に、国内外の1,700社以上の企業やインキュベーション施設、緑豊かな公園等を備え、敷地周辺には多くのタワーマンションが立ち並んでいます。このソフトウエアパークは、次のIT企業の芽を出し、そしてユニコーン企業(設立10年以内の未上場ベンチャーで、企業評価額が10億ドル超)へと育成するインキュベーション施設の役割も担っているということで、10月下旬に視察に行って参りました。

  パーク内でインキュベーション施設を管理・運営するのは「浦東ソフトウエアパーク・インキュベータ(中国名:浦軟孵化器(ほなんうかき))」という組織であり、国営企業である「中国電子情報産業グループ有限公司」の子会社にあたります。浦軟孵化器では、スタートアップ企業のステージを、「芽出し(半年程度)  →  起業(3年程度)  →  成長(3年程度)→  卒業(1年程度)」に段階分けし、それぞれのステージでハード・ソフト面での支援を行うシステムを構築しております。例えば、ハード面では、レンタルオフィスや実験器具等デバイスの提供を行っています。

  ここのユニークな点は2つあり、1つは、まだ起業していない段階においても、月300元(約6,000円)でレンタルオフィス内のデスク一つを占有でき、ビジネスアイデアを練ったり、各種デバイスを利用して実験したりといったことが可能なことです(ただし半年間まで)。そして起業の段階になったら別のレンタルオフィスに移動し、継続して家賃補助を受けることが可能。ソフト支援を受けながらビジネスを軌道に乗せていくことができます。

もう1つは、製品開発に必要な機器である、マイコンボードや3Dプリンタ、ロボット製品等を自由に利用できる環境を整えていることです。これらは全て仕様が公開されているため、それをカスタマイズすることにより、開発期間の短縮とコスト削減につなげることが可能です。例えば、飲食店における配膳ロボットを開発しようとする際、ゼロからの開発は時間と費用がかかりますが、すでに組み上がっている装置を利用すれば時間の短縮になり、また、仕様が公開されているため特許侵害のリスクもなくなります。そうすることで、製品のコア部分への開発に集中することができます。また、試作品の実証試験においても、パーク内の商業施設などで容易に試せる場が用意されているため、アップデートを重ねていきやすい環境になっています。

  ソフト支援においても、投融資や人材紹介、プロモーションなど多岐に渡りますが、なかでも人材の獲得に大きなアドバンテージがあるようです。今回の視察でローカル企業と日系企業(どちらも大手上場企業)を訪問して話を聞かせて頂きましたが、ここに拠点を構える一番のメリットは、優秀な人材の獲得と社員のモチベーションアップにつながることだと話しておりました。

■中国国際輸入博覧会の開催

  第5回「中国国際輸入博覧会」が、11月5日~11月10日に上海市で開催されました。この輸入博覧会は2018年に第1回が開催されて以降、毎年同じ時期に開催されている大規模な総合見本市で、習近平国家主席がビデオメッセージを寄せるほどの国家として重要なイベントです。10月16日から始まった中国共産党大会や最近の新規感染者増加の影響等を受け、10~11月に予定されていた展示会やフォーラムは延期・中止が相次ぎましたが、この輸入博覧会は予定通りの日程で開催され、127の国と地域から2,800社以降の企業が出展しました。公式発表では、6日間の累計入場者数は46万人を超え、商談成約総額は前年比3.9%増の735億2,000万ドルとなりました。

  厳格なゼロコロナ政策かつ国内移動も制約が多いことから、出展、来場ともにハードルが高かったように思いますが、それでも活発な商談が行われておりました。ジェトロによるジャパン・パビリオンは、「食品・農産品」「消費財」「医療機器・医薬保険」分野でそれぞれ開設。中でも、2022年1月に発効したRCEPにより、今後段階的に関税が引き下げられる日本酒の需要増加を見込んで日本酒の試飲コーナーが設けられ、多くの人で賑わっておりました。県内の食品企業もジャパン・パビリオンに出展しており、試食スペースを設けながら精力的にPR、商談を行っておりました。担当者に話を聞くと、「中国の外食産業はゼロコロナ政策により厳しい状況。しかし、今後の需要拡大には今から準備しておかなければならない。今年の輸入博は、来場者数は例年より少なく感じるが、入場規制が厳しい分、本気で商談しにきているバイヤーが多く、手応えを感じている」と話しておりました。

  また、各地方をPRするブースも設けられており、金沢市と姉妹都市を結んでいる江蘇省蘇州市のブースでは、伝統工芸であるシルク製品や木工製品の展示、実演が行われておりました。昔から蘇州は「シルクの府」として有名であり、中国の重要なシルク生産地の一つになっており、刺繍により作られた商品は高く評価されています。中でも「両面刺繍」と呼ばれる、表裏両面から見ることができる刺繍が特徴で、その細かい技術はとても素晴らしく、感銘を受けました。

  伝統工芸が根付いている金沢市と共通する伝統文化であり、ブースを拝見してさらに親近感が湧きました。 

(上海浦東浦東ソフトウエアパーク  全景) 

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(起業を目指す人が使えるレンタルデスクスペース )

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(輸入博_ジャパン・パビリオン日本酒試飲コーナー)

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(輸入博_蘇州市のPRブース「苏作·馆」)

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お問い合わせ

所属課:商工労働部産業政策課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1511

ファクス番号:076-225-1514

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