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更新日:2021年5月6日

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―上海駐在員便り 2020年7月―

全人代の開催と中国経済

 

中国の第13期全国人民代表大会(全人代)第3回会議が、5月22日から28日にかけて北京の人民大会堂において開催されました。全人代は日本でいうところの国会に相当し、毎年3月5日に開幕するのが通例ですが、今年は新型コロナウィルスの感染拡大を受けて延期されておりました。今号では、全人代でもポイントとなった経済成長に関するテーマを中心に、直近の現地動向を踏まえて見ていきたいと思います。

 

■経済成長率

  毎年、全人代で経済成長率目標を公表するのが通例ですが、今年は「新型コロナウィルスと経済・貿易の情勢は不確定性が非常に高い」とし、公表が見送られました。経済成長率目標は経済政策立案の基盤となる重要指針であり、公表見送りは異例のことです。

  中国政府は以前から、長期的な方向性として、2020年を「小康社会(ややゆとりのある社会)」実現の年に位置付け、国内総生産(GDP)を2010年比で2倍にする目標を掲げておりましたが、達成は困難な状況となっております。達成に必要な今年の成長率は5.6%程度とみられておりましたが、1~3月期のGDPは前年同期比6.8%減と初のマイナス成長を記録しました。中国では概ね経済活動が再開されておりますが、消費不振や世界的な感染拡大に伴う外需低迷のため、世界銀行や国際通貨基金(IMF)等の各機関において、通年でプラス1~2%台との予測が多くなっております。なお、世界の主要国の中で、今年の経済成長率がプラスとなるのは中国とインドくらいではないかといわれております。

 全国人民代表大会

(写真1:全国人民代表大会(ロイター))

 

■政府の経済対策と回復傾向

  このような厳しい経済状況に対応するため、全人代では中国政府の経済対策についても言及されております。具体的には、感染症対策特別国債を1兆元(約15兆円)発行し、深刻な影響を受けている中小・零細企業を中心に減税や社会保険料の引き下げを継続するとともに、次世代通信規格「5G」網の整備など成長分野に重点を置いたインフラ投資を増やす方針が示されております。

  また、4月以降、消費者心理が回復傾向にある事例も出てきております。4月の新車販売台数が前年同月比4.4%増となったことは前号でもお伝えしたところですが、現地の不動産研究センターによると、不動産デベロッパー大手100社の5月販売総額は前年同月比12.2%増(1兆915億元)となっております。なお、現地進出県内企業へのヒアリングにおいても、例えば建設機械業界等では中国の旺盛なインフラ投資等を背景として、厳しい環境にありながらも、受注が回復しつつある企業もあります。

日本、および石川県にとって、経済・産業面において中国は市場としてもサプライチェーンの供給元としても、もはや欠かすことのできない存在となっておりますので、更なる経済環境の改善が望まれるところです。

 

■新型コロナウィルス第2波への警戒

  全人代において、李克強首相は新型コロナウィルスの感染拡大について、「対策は大きな戦略的成果を収めている」としつつも、「いまだ終息はしていない」との認識を示しました。この言葉に表れているように、一旦落ち着きをみせている現在の中国においても、第2波・第3波への警戒は解かれておりません。

  最近では、感染が最初に拡大した武漢市で、5月14日~6月1日の期間、検査費用約9億元(約135億円)をかけて、市民約1,100万人うち未検査約990万人のPCR検査を実施し、300人の無症状感染者を確認・隔離したとの発表がありました。また、5月に小規模なクラスターが発生した東北部の吉林省では、複数の都市が列車やバスの運行を停止するとともに学校も閉鎖し、数万人を隔離しました。今回の件は、経済活動の再開を推進しつつも、少しでも感染再拡大の兆候がみられた場合、再び厳しいロックダウンの措置をとる可能性があるという中国政府のスタンスを改めて認識しておく必要があります。

武漢での大規模PCR検査

(写真2:武漢での大規模PCR検査(AFP時事))

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所属課:商工労働部産業政策課 

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