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更新日:2021年5月6日

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―上海駐在員便り 2020年6月―

中国におけるコロナ禍からの回復状況

 ■労働節

日本のゴールデンウィークと同時期、中国でも5月1日~5日まで「労働節」という連休があります。中国政府の発表によると、当期間中、国内旅客数が延べ1億1,500万人にのぼりました。日本の全人口に近い数ですが、これでも例年の半分程度であり、観光収入も6割減となっております。連休中、普段は多くの中国人が海外へ旅行に出かけますが、新型コロナウイルスの世界的な流行が続く中、今年は感染抑制が進む国内の観光地への旅行が中心となりました。また、感染「第2波」を警戒し、中国政府は観光地の入場者数を収容可能人数の3割に制限するなどの感染防止策を通達し、多くの観光地で入場規制が敷かれました。例えば、約3ヵ月ぶりに観光客受け入れを再開した北京の代表的な観光地「故宮」では、入場券の販売は全てオンラインでの実名予約制とし、1日当たりの受け入れ人数を1日5,000人に制限する措置がとられました。

 ■各都市の緊急対応レベル引き下げ

  5月2日、湖北省は、公共衛生事件緊急対応レベルを最高の「1級(特に重大)」から「2級(重大)」に引き下げたことにより、中国全域で最も厳しい警戒態勢は解除されました。また、5月以降、上海をはじめ、広東省や山東省、河南省でも緊急対応レベルが3級に引き下げられ、社会経済活動の正常化が図られております。上海の最近の変化としては、1月下旬から休校していた市内の小中高校を段階的に再開させているほか、場所に応じてマスク着用義務の一部緩和やエアコンの使用が認められるなどの動きがあります。

  また、象徴的なのは、上海ディズニーランドの営業再開です。5月11日、1月下旬から閉鎖されていた上海ディズニーランドが3カ月半ぶりに営業を再開しました。パンデミックにより、世界各地のディズニーランドが休業している中、上海が世界で最初に再開することとなりました。ただし、感染防止のため、当面は1日の入場者数を2万4,000人(通常の3分の1)に抑えるとともに、ショーなどの営業は一部中止するなどの措置がとられています。

上海ディズニーの営業再開の様子

(上海ディズニーの営業再開(新華社通信))

 ■歴史的マイナス経済成長

  中国国家統計局によると、今年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比6.8%減少しました。マイナス成長は四半期ごとの数値公表を始めた1992年以降で初めてのことです。前期の6.0%増から大幅縮小となり、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済への打撃の大きさが改めて浮き彫りになりました。

  当期間を振り返ると、1月下旬から最初に感染が広がった湖北省武漢市を「都市封鎖」するなど、全土でウイルスの封じ込めに向けた政府の厳しい規制により、経済活動はほぼ停止状態となっておりました。2月中旬から徐々に企業活動が再開されたものの、移動制限や物流の停滞等によりまだまだ業務の稼働率は低い状態でした。3月に入ると、中国国内の新規感染者数の減少に伴い、企業活動の稼働率は高まり、停止していた期間の生産追い込みや、一部では受注が戻り始めたものの、今度は世界的な感染拡大による外需の落ち込みもあり、経済活動が正常化しているとは言い難い、そんな期間であったと認識しております。

  なお、当期間の小売売上高は、店舗の閉鎖や消費者の外出自粛、購買意欲の低下等により前年同期比19.0%減、鉱工業生産は、休業の長期化やサプライチェーンの機能不全等により8.4%減となっております。しかし、このような厳しい状況の中でも、プラスになっているものもあります。具体的には、個別製品ではマスクや防護服原料の不織布が6.1%増、薬品原料が4.5%増と増加したほか、工業用ロボットなどハイテク製品が12.9%伸びております。また、小売りでは、ネット販売が5.9%伸びて1兆8,536億元に達するなど、小売り総額に占めるネット販売の割合が23.6%に拡大し、実店舗からオンラインへの流れが加速しております。

 中国の経済成長率

■経済回復の兆候

3月から4月にかけて、中国の景況感は改善しつつあります。中国国家統計局によると、製造業購買担当者景況指数(PMI)が過去最低を記録した2月の35.7から、3月は52.0%と大幅に改善し、4月も50.8と(前月から1.2ポイント低下したものの)景気の拡大・縮小を判断する節目である50は2カ月連続で上回りました。

  また、中国自動車工業協会によると、4月の新車販売台数は、前年同月比4.4%増の207万台となり、こちらも3月(43.3%減)から大幅に改善し、2018年6月以来、22カ月ぶりに前年実績を上回りました。特に商用車が31.6%増の53万台と好調で、単月での過去最高を更新しております。中国国内では、新型コロナウィルス感染拡大が収束しつつある中で、自動車メーカーや販売店の営業再開が本格化し、購入を見合わせていた消費者が店頭に戻りつつあるほか、政府の補助金支給にも支えられたとみられております。なお、日系メーカーでは、トヨタの4月中国新車販売も前年同月比0.2%増の14万2900台と4ヵ月ぶりにプラスに転じております。

  もちろん、これらの数値は必ずしも中国における企業の生産・販売活動や経済全体がコロナ前の水準に戻ったことを意味するものではありませんが、少なくとも改善の兆しが具体的数値として表れてきているということは言えそうです。

中国自動車統計

お問い合わせ

所属課:商工労働部産業政策課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1511

ファクス番号:076-225-1514

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