―上海駐在員便り 2023年10月―

寧波ジャパンブランドの開催

  浙江省寧波市にある寧波阪急百貨店で、「寧波ジャパンブランド」が2年ぶりに開催されました（8月26日、27日）。ジャパンブランドは、総領事館やJETRO、JTB等を含む実行委員会が主催し、日本文化のPRおよび各地特産品を販売するもので、北京や上海の他、青島や重慶など計8カ所で開催されているイベントです。中でも、ここ寧波阪急はとりわけ富裕層の比率が高いと言われており、今回は石川県を含む20の自治体事務所や企業が出展しました。

  寧波阪急といえば、昨年12月から今年2月にかけて実施した伝統的工芸品フェアを行った場所でもあります。以前にもご紹介しましたが、企業経営者など富裕層が多い沿岸部郊外に位置し、周りは銀行などが集まる金融街、大きな会議や展示会が開催されるコンベンションセンター、富裕層が居住する高層マンションなどに囲まれています。貿易の要衝である寧波港にも近く、開発地域に位置する寧波阪急は、コロナ禍である2021年4月の開業から2年半ほどが経ち、近隣では唯一の日系百貨店として人気を集めています。

  イベントが8月最後の土日ということで、特にファミリー層は外出を控える傾向にあるということもあり、来場者は2日間合計で約8,500人と想定を下回る結果となりましたが、それでも多くの近隣の方にご来場頂き、和太鼓演奏などステージイベントも行われ、大いに盛り上がりました。県ブースでは、石川県の観光案内の他、事業者と連携した日本酒の販売、および昨年度フェアを行った寧波阪急テナントと連携した伝統的工芸品の展示を行いました。来場者は、20～30代のファミリー層の他、友人や夫婦、お一人様で、食事やショッピングに来られた方々です。日本酒の販売については、子供のいるファミリー層の財布の紐は固く、ご購入頂いた方の多くは、友人や夫婦、お一人様の方でした。印象的だったのは、ご購入頂くお客様と、そうでない方がはっきり分かれたことでした。というのは、ブースの前を通りがかり、足を止めて試飲までする方は、そのままご購入頂ける可能性が高い一方、そうでない方は試飲することもなく足早に他へ行ってしまうのです。福井県や静岡県など他ブースでも日本酒販売は行われており、近くに競合商品がある中で、いかにブースの前を通りがかった数秒の間の視覚に訴え、興味を引き付けるかが、今回のようなイベントや小売販売では重要であると感じました。

■江蘇省公務員交流会議

  寧波ジャパンブランドの3日後、8月30日に江蘇省蘇州市において「江蘇・日本友好都市公務員交流会議」が開催されました。当会議は、およそ2年に1度の頻度で不定期に行われているもので、江蘇省と友好交流関係にある愛知県、石川県、大阪府、鹿児島県、福岡県等の関係者が一堂に会し、これまで実施してきた交流の歴史や事業を相互に紹介するとともに、これからの方向性について意見交換しつつ友好関係を深めるものです。今回は、渡航制限がありつつもコロナ禍が明けたということで、いくつかの自治体は日本から来訪されている方もいました。

  会議においては、中国側は江蘇省政府の外事弁公室や商務庁、文化旅行庁などの各機関及び南京市や宿迁市などの市政府、日本側は上海総領事館や各自治体が発言し、意見交換を行いました。総じて、中国側は、コロナ禍を経て今後は文化交流の拡大や姉妹都市を広げていきたいとの意欲的な姿勢を見せておりました。また、日中双方の見解として、オンラインの交流もあるが、やはり双方往来して顔を合わせることこそが文化交流の基本であり、継続していきたいとの声が多数あがっておりました。会議の中で石川県の発表の機会も頂きましたので、当事務所から、友好関係を結んだ当初より継続している「21世紀石川少年の翼」事業や、ホームステイを通じて日本文化等を学ぶ「石川・ジャパニーズ・スタディーズ・プログラム（通称：IJSP）」の紹介をさせていただきました。

  一方、日本では8月31日に金沢市で「新時代中日地方民間友好団体交流大会」の開幕式が行われ、県日中友好協会や江蘇省関係者らが交流をされました。この閉幕式が、今度は江蘇省鎮江市で10月に開催される予定で、石川県のほか愛知県や福岡県の青少年訪問団が来訪されることになっています。当事務所としても、訪問団と交流できることを楽しみにしています。

（写真1：寧波ジャパンブランドの様子）

（写真2：石川県のブース）

（写真3：ステージでの観光PR）

（写真4：江蘇省公務員交流会議）