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更新日:2021年5月6日

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-上海駐在員便り  2020年4月-

新型コロナウィルスに係る中国経済への影響

 

■はじめに

  中国を発端に、日本、韓国、イラン、イタリアをはじめ、新型コロナウイルス感染が世界各地に拡大し、死者・感染者数の増加に歯止めがかからないことから、世界保健機関(WHO)は危険性評価において、世界全体を最高の「非常に高い」に引き上げました。3月8日現在、新型コロナウイルスの感染者が105カ国・地域で確認されており、感染者は世界全体で10万5586人、死者は3584人に上っております。WHOの集計で感染国が100カ国を超えるのは初めてのことです。中国においても、3月に予定されていた中国全国人民代表大会(「全人代」。国会に相当)や、4月上旬で調整されてきた習国家主席の国賓訪日が延期となり、異例の事態が続いております。なお、3月に入り足元の経済指標が公表されつつありますので、今号では、新型コロナウィルスに係る中国経済への影響についてお伝えしたいと思います。

 

■中国経済全体への影響

  まず、2019年の中国経済についてマクロ的観点からみてみると、国内総生産(GDP)は98兆860億元に達し、昨年から6.1%増加しました。目標値は6~6.5%増であり、達成はしておりますが、米中貿易摩擦等を背景に、2018年の6.6%成長から鈍化し、29年ぶりの低水準となりました。

  今回、新型コロナウィルスの影響が加わり、直近の景況感は過去最も厳しいレベルになっております。国家統計局が発表した2月の製造業購買担当者指数(PMI)は35.7%(前月比14.3ポイント減)と大幅に下落しました。当指標は製造業やサービス業の購買担当者を対象に調査を行い、新規受注や生産高、受注残、価格、雇用、購買数量などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数であり、速報性が高く、将来の景気動向を占う指数とされます。景況感の改善と悪化の分岐点となるのが「50」ですが、今回はリーマンショックの際に記録した38.8(08年11月)を下回り、当統計が始まって以来の最低を更新しておりますので、新型コロナウィルスの中国経済へのインパクトがいかに大きいかが数値的にも明らかになってきております。感染防止のための厳しい各種規制等により、就労や物流、部品供給等の問題が重なり生産が停滞するとともに、新規の受注も入らない状況がうかがえます。なお、指数をみると、企業規模別では小規模企業がより苦しい状況となっているほか(大型、中堅、小型企業の指数はそれぞれ、36.3%、35.5%、34.1%)、業界別では化学繊維や設備、自動車の落ち込みが大きくなっている一方で、生活必需や防疫必需である食品や医薬製造は比較的安定しております。

  また、非製造業の商業活動指数は29.6%(前月比24.5ポイント減)となり、製造業より下げがきつくなっております。スーパーやショッピングモールなどの臨時休業や建設工事が中止となったことなどが影響していると考えられ、中国経済の6割を占める内需減速による経済的影響は大きいものとなります。

 しかし、統計局の発表では、2月25日時点で大手中堅製造業の従業員復帰率は85.6%に達し、生産も順次再開されており、製造業、非製造業とも3月は回復に向かう見通しとなっております。

 

■自動車業界への影響

 2019年の新車販売台数は、米中貿易摩擦、排ガス基準の切換、新エネルギー車補助金減額等に加え、中古車市場の拡大などの影響を受け、前年比8.2%減の2,576万台となりました。ただ、下半期は比較的回復傾向となっており、12月の販売台数は前年同月比0.1%減と横ばいに近い水準でした。また、中国メーカが前年比15.8%減と全体を押し下げておりましたが、品質が高く故障が少ないこともあり、中古車市場で高値で取引される日系上位メーカーは堅調を維持しておりました。(トヨタ自動車:前年比9%増、ホンダ:8.5%増)

 しかし、新型コロナウィルスの影響でディーラーの休業や消費者の購入見合わせ等により、2月の新車販売台数は、トヨタが前年同月比70%減、日産が80%減、ホンダは85%減と日系メーカーも軒並み激減しました。サプライチェーンが滞ることによる生産への影響も避けられません。

 一方、中国の自動車販売台数は2009年に米国を抜いて11年連続の世界一の規模 (米国の約1.5倍、日本の約5倍)となっており、かつ自動車の保有率はまだ20%未満(米国の約80%、日本の約60%)であることを考えると、中長期的には中国は今後も有望な市場であることに変わりはありません。

 

■おわりに

  3月に入り、中国国内の新型コロナウィルス感染は収束傾向にあり、新規感染者数の増加も一時期は一日千人単位だったものが数十人単位となっているほか、上海等の湖北省以外の地域では数日間連続で0人となることもあります。それに伴い、企業の「復工」も進みつつあるのと同時に、各地の地方政府が景気対策の取りまとめを行っているところであり、これまでに四川省や重慶市、陝西省、河北省などが数兆元規模のインフラ投資等の景気刺激策を公表しております。いま、中国では防疫対策と経済対策の両立という難しい舵取りが求められる局面に入っております。

産業用ロボット

 

 (写真:産業用ロボット)

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所属課:商工労働部産業政策課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1511

ファクス番号:076-225-1514

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