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更新日:2021年5月6日

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―上海駐在員便り 2021年3月―

中国内陸都市の発展と新たな市場開拓

 ■内陸都市の発展

  世界で最も人口の多い都市、重慶。約3,000万人の人口を抱え、北京・上海・天津と並び、中央直轄市となっております。基幹産業は自動車・オートバイ産業であり、フォードやヒュンダイ自動車、いすず、ヤマハなど、多くの関連企業が進出しているほか、近年はIT産業が発展しており、世界のノートパソコンの実に4分の1が重慶で生産されております。

  重慶から約340キロ、高速鉄道で1時間40分の距離に、四川省の省都である成都(人口約1,600万人)があります。成都は、2019年に中国において「住みやすい都市ランキング」1位に選出されており、日系企業ではトヨタ、コベルコ、東レなど、約370社が進出しております。2021年には、新たに天府国際空港の開港を予定しており、2つの国際空港を有する都市は上海、北京とともに中国で3か所目となります。

  いま、中国の西南地域に、成都と重慶を結ぶ新たな経済圏「成渝地区双城経済圏」が形成されようとしております。中央政府の指示により、経済発展の先駆的地域である「長江デルタ地域」(上海市・江蘇省・浙江省等)、「珠江デルタ地域」(広州市、深圳市、香港等)、「京津冀経済圏」(北京市・天津市・河北省)に次ぐ「中国第4の経済圏」としての位置づけで設置され、成都及び重慶の共同発展が期待されております。例えば、交通インフラや物流センター整備等の共同プロジェクトが数多く立ち上がっており、「一帯一路」の欧州・東南アジアとの中継拠点である両地は、相互連携により中欧班列(中国と欧州を結ぶ貨物鉄道)の累計便数が1万便を超える活況ぶりとなっております。

 

■重慶における初・料理体験イベント開催

  以前から県内食品企業等から中国内陸での販路開拓に係る要望を受けることもあり、発展著しい内陸都市・重慶において、今後の県産品の新たな市場開拓やコロナ後のインバウンド等を見据え、昨年12月5日に日本国自治体国際化協会(CLAIR)北京事務所及びABC Cooking Studioとコラボして「郷土料理体験を通した石川県の魅力発信」イベントを開催しました。近年の中国における日本食に対する関心の高まりに加え、当料理教室の会員の多くは日本への関心が高い比較的富裕層であり、効果的な訴求が見込めます。

  当日は、参加者限定約40名の満員御礼となり、治部煮やさざえ飯、れんこん汁などの郷土料理を実際に作りながら、石川県の特色ある食文化や伝統工芸、観光名所等について広く紹介しました。重慶は、辛いことで有名な四川料理の地域ですので、現地の方々の口に合うか少々心配でしたが、濃いめの治部煮や具材に使用した餅などは特に好評でした。

  なお、上海などの沿岸部では、日本通の中国人も多く、石川県の認知度も一定程度ありますが、地方、特に内陸の方へ行くと、石川県のことを知っている一般の中国人は皆無に近いように感じます。実際に、イベント前に現場でヒアリングすると、(概ね想定していた通り)日本へ行ったことがある参加者は約3分の2でしたが、石川県をご存じの方はゼロでした。しかし、今回のイベントが終わる頃には、多くの参加者が石川県に興味をもち、渡航が可能になったら石川県に行ってみたいとの声が聞かれ、オンラインが主流になりつつある昨今において、ときには現地で直接コミュニケーションをとることの効果性を再認識しました。

  物産でもインバウンドでも、まずは知ってもらわないと始まりません。既存の市場で直接的に販売する機会を提供するだけではなく、新たな市場で県の認知度を高め、個々の企業が少しでも足掛かりをつけやすい環境を作っていくことも県事務所の役割と認識し、今回のような草の根的なPR活動も可能な限り継続していきたいと考えております。なお、当イベントは外務省の「地域の魅力海外発信支援事業」の一環として、在中国日本大使館のSNS「微博」(フォロワー数180万人)にも掲載され、中国でのPR効果を高めることができました。

 

■成都市政府等との交流

  昨年11月、成都市政府からの招聘により、石川県を含む18の自治体事務所が「成都国際商務視察ミッション」に参加し、牛副市長との面会や、各種レセプションへの参加、今後の事業に係る検討、現地の視察などを行いました。

  私自身、今回成都を訪問するのは2回目であり、2019年12月に開催された「第7回日中韓ビジネス・サミット」に出席したとき以来となります。その際、当時の日中韓首脳が、自由貿易と多国間主義を推進するため、RCEP(東アジア包括的経済連携)及び日中韓FTA(自由貿易協定)交渉において、日中韓三カ国で連携を強化していく考えを表明していたのを記憶しております。それから約1年、偶然にも成都再訪の前日に、日中韓をはじめ15カ国がRCEP交渉に合意・署名し、国レベルで自由貿易の環境整備が進展しつつあることを感じながら、成都市政府との交流を行いました。

  また、成都市は、大連、天津、青島、上海、蘇州と並んで6つの「中日地方発展協力モデル区」の一つに指定されており、日本の自治体や日系企業等との協業に非常に積極的です。例えば、「中日合作産業園区」の建設が計画されており、貿易・物流、電子情報、AIなどの分野において日本企業の進出に期待が寄せられております。なお、今回の日程の中で、我々日本の自治体事務所と成都市の各区代表者、現地のイトーヨーカ堂や伊勢丹などの小売企業、三井物産などの商社等が集まり、成都で開催を予定していた春節物産フェアに係る具体検討も実施しました。中国でも(局所的にではありますが)再びコロナ感染が各地で発生している状況を踏まえ、今年のフェアは中止となりましたが、今後も毎年継続していく方向であり、今回、成都市政府や現地小売企業との繋がりができたことは、中国内陸で新たな市場を開拓していくうえで有益であろうと考えております。

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(写真1:重慶での郷土料理体験イベント)

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(写真2:成都副市長との面会)

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(写真3:中日地方発展協力モデル区レセプション)

お問い合わせ

所属課:商工労働部産業政策課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1511

ファクス番号:076-225-1514

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