ホーム > 令和七年第四回石川県議会定例会知事議案説明要旨
ここから本文です。
本日、ここに、令和七年第四回県議会定例会が開かれるにあたり、最近の県政の状況と提案をいたしました一般会計補正予算及び特別会計補正予算並びにその他の諸議案につきまして、その大要をご説明申し上げます。
世界的な原材料・エネルギー高、円安などの影響により、電気料金や食料品など様々な価格が高止まりし、暮らしや地域経済に大きな影響を与えております。
国は、国民が直面する物価高への対応を最優先に掲げ、先月二十一日に総合経済対策を閣議決定し、県としては、総合経済対策を受けた国補正予算の成立を待つことなく、今般、総額四十億円規模の物価高対策を講じることといたしました。
引き続き、国補正予算の情報収集に努め、追加対応が必要なものについては、令和八年度当初予算と一体で令和七年度第一次二月補正予算を編成し、適切に対応してまいります。
今般の物価高対策では、物価高が県民の暮らしに大きな影響を及ぼしていることに鑑み、できるだけ多くの皆様に対して家計負担の軽減を図るため、都道府県単位の対策としては極めて異例となる、市町の水道料金の基本料金の無償化を行うことといたしました。
具体的には、市町の料金システムの改修のための準備期間や、水道料金を二カ月ごとに支払う世帯が県内の約七割を占める実態を踏まえ、市町と連携して、原則、来年二月と三月の二カ月分の基本料金を無償化いたします。
また、先の六月補正予算においては、国の電気・ガス料金の補助にあわせ、国の支援の対象外となる、LPガス料金や、特別高圧契約等の事業者の電気料金、学校給食費の保護者負担、医療機関、社会福祉施設等の光熱費について、支援したところでありますが、今般、国の電気・ガス料金の支援が来年一月から三カ月間、支援額を増額して再開される見込みであることから、国の支援水準に準じ、三カ月分の支援を実施いたします。
さらに、省エネ性能の高い家電製品の購入者に、省エネ性能に応じてポイントを付与する「省エネ家電・機器購入応援キャンペーン」を二年ぶりに実施し、家庭での電気料金の負担軽減と省エネ化の推進を図ることとし、新生活の準備などで需要が高まる三月からキャンペーンを開始いたします。
事業者に対しても、省エネに資する設備投資等の支援を二年ぶりに実施し、省エネ診断を実施する県内企業を対象に、空調設備や太陽光などの再エネ発電設備の導入に加えて、新たに建物の断熱性等を高める工事も補助対象とし、エネルギーコスト削減と脱炭素化の取組を推進してまいります。
酒造業については、本年は昨年より酒米価格がさらに上昇しており、地酒は加賀料理をはじめ本県の食文化に不可欠であり、また能登の酒蔵の復興を後押しするためにも、業界の自助努力を前提に、六月補正予算に続き、価格上昇分の一部を支援いたします。
このほか、地域交通事業者への車両台数に応じた支援や、畜産農家への配合飼料価格の上昇分の一部の支援などにより、物価高からの負担軽減を図ってまいります。
今回提案をいたしました補正予算は、こうした喫緊の課題である物価高対策のほか、地震・豪雨への対応、九月補正予算編成後における情勢の変化や事業の進捗などにより、現時点で新たな対応が必要となったものについて編成したところであり、以下、その概要をご説明申し上げます。
令和六年能登半島地震からまもなく二年、奥能登豪雨から一年三カ月が経過しようとしております。来年も一月一日に、ご遺族の方々をはじめ、政府関係者、県議会、県内市町、県選出国会議員の皆様などのご参列のもと、地震・豪雨の犠牲者追悼式を日本航空学園能登キャンパスの体育館で開催いたします。亡くなられた方々に改めて哀悼の意を表するとともに、地震・豪雨からの創造的復興の実現に向けた決意を新たにする式典といたします。
発災以来、インフラの早期復旧、被災者の方々の生活と生業の再建、さらには、創造的復興に向け、国、市町、関係団体と緊密に連携し、全力を傾注してまいりました。復旧・復興の状況について、これまでの取組も併せ申し述べます。
地震・豪雨により、道路は、地震で四十二路線八十七箇所、豪雨で二十五路線四十八箇所が通行止めとなりましたが、これまで応急復旧を進め、大規模な土砂崩れ等により被害が生じた五路線十一箇所を除いて、全て通行止めは解消されております。
また、のと里山海道では、昼夜を問わず道路啓開に取り組み、昨年九月には全区間で対面通行を確保し、現在、本復旧を進めております。国道二四九号の外浦沿岸部では、隆起した海岸を迂回路として活用するなど復旧を進めており、令和十一年春までの本復旧完了に向け、取り組んでまいります。
河川については、奥能登二市二町において、地震により四十五河川、豪雨により三十四河川が被災し、このうち、緊急に対応が必要な箇所については、今年の出水期までに応急復旧を完了いたしました。輪島市の河原田川、珠洲市の若山川など、人家が連坦するなど優先度の高い二十二河川では、先月から本復旧に順次着手しており、令和十年度末までの復旧完了に向け、工事を進めてまいります。
また、本年八月、能登の内浦沿岸部と河北潟周辺で発生した冠水被害については、昨日、国、県、市町からなる協議会で検証結果や中長期的な対策等の中間とりまとめを行ったところであり、来月中の「冠水・高潮対策プラン」の策定に向け、作業を進めてまいります。
港湾・漁港は、地盤の隆起などにより十七港が被災し、本年三月までに全港で応急復旧を完了し、順次、本復旧を進めております。
輪島港では、来年度末までに主要な岸壁や物揚場の本復旧を目指すほか、「輪島港復旧・復興プラン」に基づき、漁業共同利用施設の移転・集約や防波堤の強靭化などに取り組んでおります。七尾港では、来年春までの完了を目指し、主要な岸壁やふ頭用地の本復旧を進めているほか、地盤隆起による被害を受けた鹿磯漁港では、仮設の物揚場や船揚場が完成し、国、市、漁業関係者と本復旧に向けた検討を進めてまいります。
また、和倉温泉では、民有護岸を県、市に公共帰属させて工事に着手しており、国や市と連携し、来年度中の復旧を目指してまいります。
金沢港については、来年春に戸水ふ頭の本復旧が完了し、御供田ふ頭の復旧に着手するほか、無量寺ふ頭の耐震強化岸壁の延伸設計に着手し、災害時にも物資輸送船が三隻同時接岸できるよう、対応を進めてまいります。
こうしたインフラの本格復旧にあたっては、今後、工事が本格化していく中、適切な工期の設定や切れ目のない発注が重要であることから、今般、二年間から三年間の債務負担行為を二百六十二億円余計上し、一日も早い本復旧を進めてまいります。
営農の再開につきましては、地震・豪雨により、広範囲にわたり、農地や農業用施設に甚大な被害が発生し、地震で約一万件、豪雨で約三千件の被害が発生しました。
奥能登営農復旧・復興センターを中心に、農地や水路等の復旧を精力的に進め、今年度は、発災前の約七割となる二千ヘクタールで営農が再開されました。残る農地についても、農家の皆様や市町の意向を踏まえ、一日も早い復旧に努めるとともに、今月六日には、「奥能登営農復旧・復興フォーラム」を開催し、営農意欲の喚起を図ってまいります。
住まいの再建につきましては、地震で約十一万六千棟、豪雨で約二千棟の住家が被災し、このうち約二万六千棟が全壊・半壊となり、発災直後は多くの方が避難所での生活を余儀なくされ、本年三月までに応急仮設住宅七千百六十八戸を整備いたしました。
応急仮設住宅の入居者数は、最大約二万千九百人でありましたが、自宅再建等により、先月時点で約一万九千五百人となりました。原則二年以内とされる応急仮設住宅の入居期間については、国との協議の結果、一年の範囲内で延長が認められ、市町とともに順次、延長手続きを進めておりますが、さらなる延長を視野に、先月から入居者を対象に「住まいの再建意向調査」を実施しております。
自宅再建に向けては、国の被災者生活支援金や臨時特例給付金、県独自の自宅再建への利子助成に加え、六月補正予算で「能登創生住まい支援金」を創設し、被災市町での住宅の再建を後押しているところであります。また、住まいの再建相談会の参加者から、モデルハウスの整備を求める声があることから、県と七尾市、輪島市、建築関係団体が連携し、住宅メーカーが、両市が提供する用地にモデルハウス六戸の整備を予定しており、来年のゴールデンウィークまでの完成を目指してまいります。
復興公営住宅は、九市町で整備予定の約三千戸の全てについて、用地確保の目処が立ち、既に穴水町など三市町で工事が進められております。また、中能登町では年度内に工事着手予定であり、残る輪島市など五市町では来年夏までの工事着手に向け、準備が進められており、引き続き、市町を支援してまいります。
液状化に伴う側方流動により被害を受けた宅地・住宅の復旧に向けては、九月に策定した「土地境界再確定加速化プラン」を着実に実行するため、先週開催された政府主催全国知事会議において、私から、市町への人的・財政的支援等を国に要望したところ、境界再確定の前提となる地籍調査の来年度の完了と、そのための体制強化の方針が示されました。県としても、今般の補正予算において、かほく市や内灘町など四市町の地籍調査事業にかかる必要な予算を増額し、市町を支援してまいります。
被災した県立の障害者支援施設である精育園の建替えについては、先月、関係者や学識経験者等からなる検討会を開催し、移転先の立地条件や施設の機能、規模等の検討に着手したところであり、本年度中を目途に取りまとめてまいります。
県立学校は、被害が大きかった奥能登の七校において、四校が仮設校舎で順次授業を開始しています。引き続き、校舎等の本復旧に向け設計及び工事を進め、令和十年度末までの復旧完了を目指してまいります。
公費解体につきましては、当初、約二万二千五百棟と見込んだ解体見込棟数は、最終的に約二倍の約四万五千棟となりましたが、本年十月末の解体完了目標を変えずに、これまで取り組んだ結果、十月末時点の大規模建物等を除く解体率が九十五%となり、概ね目標を達成したところであります。引き続き、残る建物の年内解体完了と災害廃棄物の来年三月末までの処理完了を目指し、国や市町、関係団体と連携し、取り組んでまいります。
生業の再建につきましては、なりわい再建支援補助金の上半期の申請件数が、能登六市町で昨年同時期の約二倍となるなど、事業再開に向けて着実に取組が進んでおります。
また、起業促進補助金については、九月補正予算で予算枠を拡充いたしましたが、地元の方を中心に八十六件の申請があり、想定を超える見込みであることから、予算枠をさらに拡充し、引き続き、能登事業者支援センターや地元商工会議所、商工会等が伴走支援し、生業の再建を後押ししてまいります。
甚大な被害により休業を余儀なくされている和倉温泉の旅館の雇用維持については、七尾市長や関係者からの要望を受け、雇用調整助成金と在籍型出向を支援する産業雇用安定助成金の延長等を厚生労働大臣に要請いたしました。雇用調整助成金の再延長は実現しなかったものの、産業雇用安定助成金は一年間の延長や在籍型出向にかかる大幅な要件緩和などが実現いたしました。
これを受け、和倉温泉では、産業雇用安定助成金を活用した在籍型出向を進めるため、休業中の旅館従業員の出向の受け皿となる会社が先月二十七日に設立され、助成金の活用が可能となるまでの来年一月から三月までの間は、七尾市が復興業務などを緊急雇用創出事業として受け皿会社を通じて各旅館に発注することとしております。県としては、こうした市の取組に対して必要な支援を行い、旅館の雇用維持につなげてまいります。
能登の観光振興につきましては、徐々に宿泊施設や観光施設が観光客の受入れを再開する中、能登の観光の本格的な復興を見据え、国の「復興応援割」が実施されるまでの間をつなぐ県独自の観光需要喚起策を講じることといたしました。
具体的には、県観光連盟と連携して、団体旅行を対象に、能登を周遊する宿泊旅行や能登への日帰り旅行の商品造成を支援することといたしました。買物クーポンを付与するほか、金沢市以外で宿泊する場合は支援額の上乗せを行い、観光需要の喚起と応援消費の促進を図ってまいります。旅行商品の販売は、来年三月から夏休み前までを予定しており、その後は、能登の観光の復興状況等を見極め、継続実施を検討してまいります。
防災対策の充実強化に向けては、六月補正予算において、住宅の耐震化に対する助成額を全国トップの最大二百十万円に拡充いたしました。能登半島地震による住まいの安全確保への意識の高まりもあり、十月末までの助成件数が地震前の同時期の約三倍に増加しており、引き続き、市町や関係団体と連携し、制度の周知を図ってまいります。
県水送水管の二系統化による耐震化事業については、平成二十二年度の事業開始以来、これまでに約三十九キロメートルの区間を供用しており、本日、河北郡津幡町太田からかほく市上山田間の約九キロメートルにおいて、送水を開始いたします。
また、先月、かほく市において、自主防災組織や消防、自衛隊などの関係機関の参加を得て、防災総合訓練を実施し、新たに、孤立集落を想定した住民による衛星通信機器の設置訓練や、個別避難計画を活用した要配慮者の避難誘導訓練などを行いました。
さらに、原子力防災訓練として、三十キロメートル圏内の市町や関係機関等の参加を得て、能登半島地震以降、初の住民参加型の実動訓練を行い、地震の経験を踏まえ、代替経路を使った避難や指定避難所での屋内退避など、より実践的な訓練内容といたしました。
今後、これらの訓練結果を検証し、防災対策のさらなる強化につなげてまいります。
トキの放鳥につきましては、放鳥場所を羽咋市南潟地区に決定し、十月に記念イベントを開催したところであり、放鳥ケージの設置や放鳥式の開催準備、観察マナーの普及啓発など、来年六月頃の放鳥に向け、万全を期してまいります。
また、トキを活用した米などのブランド化に向け、トキ放鳥を契機とした米づくりを後押しするため、先月、認証制度を創設したところであり、県内外でのPR活動を通じて、消費者への制度の理解促進や付加価値の向上を図ってまいります。
関係人口の創出・拡大に向けては、地域と関係人口をつなぐポータルサイト「いしかわのWa!」の運用を先月開始し、首都圏でキックオフイベントを開催したところであり、運用開始から約一カ月間で県内外から六百四十名を超える方に登録いただいております。
また、県内市町で行う地域住民との交流プログラムの造成を支援し、現在、約五十件のプログラムがサイトに登録されているほか、プログラムを造成・運営する人材を育成する講座を先月二十九日に開講いたしました。
いしかわサテライトキャンパスについては、今年度は受入学生数を七百名に倍増することを目標に掲げているところであり、既に県内外七十八の大学等から約八百十名の学生の応募をいただいております。引き続き、県内外への積極的なPRを展開してまいります。
(一社)能登官民連携復興センターは設立後一年余りが経過いたしましたが、ロックユニット「COMPLEX」 などからの寄附金を活用し、能登の未来を創る先導的な取組を支援しております。一次公募で決定した六件のうちの一つである、屋内アーバンスポーツ施設が、先月、輪島市にオープンしました。また、新たに「小規模枠」を設け、七月から公募を開始した二次公募には、百二十三件の応募があり、現在、外部有識者等による審査が進められております。
輪島漆芸技術研修所では、昨年十二月より研修を再開し、先月二十一日、通常より約八カ月遅れとなる卒業証書授与式を行ったところであります。現在、昨年度頂いた寄附金を活用し、新たに整備する寄宿舎の設計を進めており、研修環境の充実を図ってまいります。
輪島塗の若手人材の育成プロジェクトについては、今後、養成施設の基本設計に着手するとともに、海外展開を見据え、十月に輪島塗の作り手や経営者等を対象に、海外市場に精通した専門家によるセミナーを開催したほか、輪島塗の魅力発信に向け、来年には児童生徒を対象とした輪島塗の制作体験会や県民フォーラムを開催する予定であります。
先月十五日に開幕した復興支援特別展「ひと、能登、アート。」は、県立美術館と金沢二十一世紀美術館、国立工芸館の三館が合同で開催する初の試みであり、「元暦校本万葉集」など国宝三点をはじめ、東京国立博物館等が所蔵する名品八十六点を一堂に展示しており、既に来場者数が一万人を突破いたしました。能登十二市町にお住まいの方は無料としており、本展の収入は能登の文化の復興に活用してまいります。
義援金につきましては、地震分として八百十八億円を超える額が、また、豪雨分として五十二億円を超える額が寄せられており、改めて心より感謝申し上げます。今なお県内外から多額のご厚志をお寄せいただいており、年内としていた受付期間を来年度末まで延長することといたしました。
地震・豪雨からの復旧・復興には、人的支援を含め、県内外の機関や団体など多くの皆様からご支援、ご協力をいただいております。今月十日に約三百七十機関の皆様に感謝状を贈呈し、これまでのご支援に深く敬意と感謝の気持ちをお伝えいたします。
能登で困難を乗り越えて生きる人々に焦点を当てた動画が、八月の配信開始以来、四百万回を超えて再生されています。また、先月二十二日には、東京都内において復興祈念シンポジウムを開催し、能登の高校生によるスピーチやパネルディスカッションなどを通じて、能登の今と未来を力強く発信いたしました。今後も、地震・豪雨の記憶の風化防止に努めてまいります。
次に、その他の県政の諸課題につきまして、進捗状況等をご説明申し上げます。
十月からの最低賃金の引上げを受け、先の九月補正予算では、賃上げ環境の整備に向け、業務効率化等の環境整備に最大百万円支援するとともに、被災した小規模事業者には、最大五十万円の直接的な支援を行う制度を、十億円規模で創設いたしました。申請の受付を十月から開始したほか、商工会議所、商工会等と連携し、順次、制度の説明会を開催しており、引き続き、多くの事業者に活用いただけるよう、周知を図ってまいります。
北陸新幹線の敦賀・大阪間につきましては、来年度国家予算の決定を控える中、未だに、新たな連立政権において議論を進める枠組みが決定しておりません。政府・関係国会議員においては、これ以上、認可着工が先送りとならないよう、京都府等が示した課題や着工五条件の早期解決に向け、速やかに体制を構築し、精力的に検討を進めていただきたいと考えております。
北陸新幹線の整備効果を最大限発揮するためには、一日も早い大阪までの乗り換えなしでの全線整備の実現が必要不可欠であり、県議会及び関係各位のご支援をいただき、取り組んでまいります。
小松空港では、小松・羽田便が冬ダイヤより一日十往復から八往復の運航となり、航空ネットワークの維持・向上に向け、首都圏等からの個人旅行商品の造成支援や利用実績に応じた特典付与によるリピーター確保策などにより、利用促進に取り組んでまいります。
また、十月に第二回小松空港ターミナルビル基本構想検討会議を開催し、空港の利便性向上や賑わい創出を図るうえで必要な機能について議論を行ったところであり、年度内の取りまとめに向け、鋭意検討を進めてまいります。
のと里山空港は、開港以来の搭乗者数が十月二十七日に三百万人を達成し、今月七日に記念式典を開催いたします。今後とも、地元市町や関係団体と一体となり、地元利用の促進に取り組むとともに、首都圏からのさらなる利用促進に向け、能登の冬の食をテーマとする旅行商品造成を支援するなど、「今行ける能登」への誘客につなげてまいります。
金沢港のクルーズの寄港数が、これまでの積極的な誘致活動の結果、本年は過去二番目となる五十四本となりました。来年は、過去最多となる六十本以上の寄港が見込まれており、受入れ体制に万全を期すとともに、引き続き、誘致活動に積極的に取り組んでまいります。
広域道路ネットワークの整備につきましては、国道八号加賀拡幅において、昨日、加賀市松山町から加茂町間が完成供用され、全線で四車線化が完了したほか、のと里山海道では、今月六日に柳田インターチェンジ以北の約二キロメートルの区間が完成し、これまでの区間と合わせて約八キロメートルで四車線による供用を開始いたします。
金沢城二の丸御殿は、今年度末の御殿本体の躯体工事着手に向け、素屋根の建設を進めるとともに、金沢城の魅力と二の丸御殿の復元を全国にPRするため、今月、横浜市で開催される日本最大級の城郭イベントに出展いたします。
先般、国の文化審議会で加賀料理の国無形文化財への登録の答申がなされ、年内にも登録される見込みとなりました。今般の登録を契機に、総合芸術である加賀料理の理解促進と誘客促進に向け、取り組んでまいります。
具体的には、来月二十四日に記念フォーラムを開催するほか、富裕層向けの雑誌による情報発信を行うとともに、加賀料理と芸妓の舞などの文化体験を組み合わせた「加賀料理をめぐる会(仮称)」の開催や、加賀料理を活用した旅行商品の造成支援により、県内外の方々に加賀料理の魅力を体感できる機会を提供してまいります。
前田育徳会尊經閣文庫の誘致に向けては、産学官の関係機関が結束し、県民全体の機運を高めていく取組を行うこととしております。県民の皆様に尊經閣文庫の価値や魅力を広く理解いただくため、今年度は、今月二十七日に有識者などを招いたトークイベントを開催するほか、県立美術館内の尊經閣文庫分館の所蔵品に関する講座を来月から開催いたします。
プレミアム・パスポート事業につきましては、先月十六日から第一子世帯を含めた全ての子育て家庭にサービスを拡大し、対象世帯は、従来の約二倍となる約九万一千世帯となり、第一子世帯のうち既に六千を超える世帯にパスポートを交付しております。今後とも、社会全体で子育てを応援する気運の醸成に向け、取り組んでまいります。
いしかわ子どもの権利基本条例につきましては、アンケートや公聴会の実施などにより、お聴きしたご意見や、議会でのご議論を踏まえ、今議会に提案しております。本条例を子どもの権利保障に関する施策の拠り所とし、子どもが健やかに幸福な生活を送ることができる社会の実現に向け、取り組んでまいります。
奥能登における医療提供体制の確保に向けては、先月、公立四病院を運営する二市二町の首長から直接ご意見を伺うとともに、第四回機能強化検討会においては、県と二市二町からなる一部事務組合を設立し、新病院とサテライト医療機関を運営することなどについて、概ね合意が得られたところであります。年明け早々にも、検討会での意見を踏まえ、医療提供体制の強化に関する方向性をお示ししたいと考えております。
救急医療体制の確保につきましては、急な病気やケガの際に救急相談を受ける専用ダイヤルを、県として来年二月一日に開設いたします。十月には県や医療・消防関係者からなる運営協議会を立ち上げ、基本的な運営体制などを決定し、近日中にも運営事業者を選定するとともに、県民への広報などの準備を進めてまいります。
消防力の維持・強化に向けては、市町の消防職員や消防団員の確保が喫緊の課題となる中、有識者を交えた検討会を常備消防と消防団ごとに立ち上げました。各検討会では、消防力のシミュレーション調査や消防団員の意識調査の実施を決定したところであり、引き続き、各地域の現状や課題を踏まえ、市町とともに議論を進めてまいります。
ツキノワグマ出没への対応に関しましては、緊急銃猟制度が九月から導入され、市町村長の判断で銃による捕獲が可能となり、十月には白山市で県内初の緊急銃猟が実施されました。これまで、実地訓練や捕獲隊員への猟銃射撃研修など市町の体制整備を支援してきたところであり、引き続き、市町などと連携し、人身被害の防止に取り組んでまいります。
カスタマーハラスメント対策につきましては、本年六月に、労働施策総合推進法が改正され、企業に対し防止に向けた必要な措置を講じることが義務付けられました。来年十月の法施行に向け、速やかに県内における実態を調査するとともに、国とも連携し、県内企業への周知啓発に取り組んでまいります。
本県教育の総合的な指針である教育振興基本計画の次期計画の策定に向けては、先月、第二回検討会議を開催したところであり、今後、パブリックコメントを実施し、広く県民等からご意見をいただき、年度内の策定に向け、鋭意、作業を進めてまいります。
また、奥能登の県立高校の魅力化を検討するため、十月に、県、地元市町及び経済界、有識者等によるワーキングを開催し、遠隔授業やAIの活用などについて、議論を行ったところであり、今後、さらに議論を深めてまいります。
小松特別支援学校は、近年の児童生徒数の増加を踏まえ、寺井高等学校の敷地内に整備する新たな特別支援学校の基本設計に着手し、県内二つ目となるインクルーシブ教育を実践する学校として、令和十一年四月の開校を目指してまいります。
今年度の職員の給与改定につきましては、先の人事委員会勧告どおり実施することとし、改定率として三十四年ぶりの高水準となる月例給の引上げなどを行うほか、六月の教員給与等に関する法改正を踏まえ、教員の給料に上乗せされる教職調整額を来年一月から毎年一%ずつ、令和十三年には十%まで引上げるため、関係条例を今議会に提案しております。
以上が今回の補正予算の大要でありまして、一般会計補正総額は八十八億五千八百万円余、このうち物価高に係る予算は四十億千二百万円余、地震及び豪雨に係る予算は十一億六千百万円余となっております。財源については、地方交付税二十九億七百万円余、国庫支出金六億三千百万円余、諸収入四十五億四千七百万円余などを充てており、補正後累計は八千八百六十六億四千四百万円余となります。
このほか、公営競馬など二特別会計及び中央病院など四事業会計においても、給与改定等に係る所要の補正を行っております。
志賀原子力発電所につきましては、現在、原子力規制委員会の法律に基づく新規制基準への適合性に関する審査会合において、敷地周辺断層の活動性等に関する審査が行われております。規制委員会には、地震による影響を検証するとともに、科学的な根拠に基づき厳格な審査を行い、地元住民はもとより国民の理解と納得が得られるよう、しっかりと説明責任を果たすことを、引き続き、強く要望してまいります。
原子力発電所は安全確保が大前提であり、北陸電力㈱には、今後とも、より一層の安全対策に取り組むよう強く求めてまいりたいと考えております。
北朝鮮は、再三にわたる国際社会の警告を無視し、弾道ミサイルの発射を繰り返しております。本県の漁船に被害はなかったものの、度重なる弾道ミサイル発射は、国民の生命・身体・財産、我が国の領土・領海の安全を脅かし、一連の国連安保理決議に違反する行為であり、国においては、国際社会と連携し、外交・経済等あらゆる手段を通じ、断固とした対応をとっていただきたいと考えております。
これまで、地震と豪雨からの一日も早い復旧・復興に向け、被災者の皆様に寄り添い、国や被災市町、民間の方々と緊密に連携し、全力を挙げて取り組むと同時に、県政の羅針盤である石川県成長戦略の具現化を進めてまいりました。県政の舵取り役として、自らに課せられている使命の大きさと責任の重さを肝に銘じ、県議会はもとより、県内市町の首長のご意見、県民各界各層の声に真摯に耳を傾け、地震・豪雨からの復旧・復興と石川県全体のさらなる成長に、全身全霊を傾けてまいる所存であります。
以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なにとぞ慎重ご審議のうえ、適切なるご決議あらんことをお願いいたします。