蚊媒介感染症について
蚊媒介感染症とは、ウイルスをもった蚊を介して感染する感染症のことです。
蚊媒介感染症には、デング熱やチクングニア熱、ジカウイルス感染症、ウエストナイル熱、日本脳炎、マラリアなどがありますが、現在、国内で感染が広がる恐れがあるのは、国内で広く分布するヒトスジシマカが媒介するデング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症といわれています。
蚊に注意しましょう
蚊が発生しやすい場所で活動したり、デング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症の流行地に渡航する際には、蚊に刺されないように注意しましょう。
ヒトスジシマカの成虫は、5月中旬~10月下旬に活動するといわれており、民家の庭や公園等の茂みに潜んでいます。
予防のポイント
- 長袖シャツ、長ズボンなどを着用し、肌の露出をできるだけ避けましょう。
- 素足やサンダル履きはできるだけ避けましょう。
- 必要に応じて虫除け剤などを使用しましょう。
蚊を減らすポイント
- 幼虫(ボウフラ)は、雨水マスや植木鉢、雨ざらしの用具など比較的少量の水たまりに発生しますので、水たまりができないように注意しましょう。
【 厚生労働省啓発ポスター 】(外部リンク)
今年もあなたの血を狙って奴らがやってくる!(PDF:6,087KB)
用心編:感染症の運び屋 蚊からバリアーで身を守れ!(PDF:864KB)
発生源編:ジカ熱・デング熱の運び屋 ヒトスジシマカの発生源を叩け!(PDF:349KB)
学校編:ジカ熱・デング熱の感染源 ヒトスジシマカに注意!(PDF:598KB)
海外へ渡航される方へ
デング熱について
平成26年8月、海外渡航歴がないにも関わらずデング熱に感染している患者が、国内で約70年ぶりに確認されました。
感染経路
- デング熱は、ネッタイシマカとヒトスジシマカが媒介するといわれており、デングウイルスをもった蚊に刺されることにより感染します。
- 人から人へ直接感染することはありません。
- デング熱を媒介する蚊のなかで、日本に生息しているのはヒトスジシマカのみと考えられています。
症状
- デングウイルスに感染すると、通常3~7日の潜伏期の後、発熱、発疹、頭痛、骨関節痛などの症状が起こります(発熱以外の症状が出ないこともあります)。
- 一部の患者は、重症のデング出血熱を発症する場合があります。
チクングニア熱について
感染経路
- チクングニア熱は、ネッタイシマカとヒトスジシマカが媒介します。
- チクングニアウイルスをもった蚊に刺されることにより感染します。
- 人から人へ直接感染することはありません。
症状
- チクングニアウイルスに感染すると、通常3~7日の潜伏期の後、発熱、関節痛、発疹等の症状が起こります。
- デング熱の症状と類似していますが、チクングニア熱の場合は、関節痛だけでなく関節腫脹を伴う場合があります。
ジカウイルス感染症について
中南米を中心に、ジカウイルス感染症が多数報告されています。妊婦がジカウイルスに感染すると、胎児が小頭症等を引き起こす可能性が指摘されています。
平成28年2月15日以降、感染症法に基づく4類感染症に指定され、診断した医師は、診断後直ちに最寄りの保健所へ届出が必要になりました。
感染経路
- ジカウイルスを持った蚊に刺されることによって感染します。
- 基本的に感染した人から他の人へ直接感染する病気ではありませんが、稀なケースとして輸血や性行為による感染が報告されています。
症状
- 主な症状は、軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛などです。感染して全員が発症するわけではなく、症状が軽いため気づかないこともあります。
- 潜伏期間は2~12日(多くは2~7日)と言われています。
海外へ渡航される方へ
- 妊娠中にジカウイルス感染すると、胎児に小頭症等の先天性障害を来すことがあることから、妊婦及び妊娠の可能性がある方は、可能な限り流行地域への渡航を控えてください。
※世界保健機関(WHO)は、2016年3月8日、妊婦は流行地域への渡航をすべきでないと勧告しています。
- 性行為感染のリスクを考慮し、流行地域滞在中は、症状の有無にかかわらず、コンドームを使用するか、性行為を控えることが推奨されています。また、流行地域から帰国した男女は、症状の有無にかかわらず、少なくとも6か月(パートナーが妊娠中は妊娠期間中)、コンドームを使用するか、性行為を控えることが推奨されています。
医療機関のみなさまへ
蚊媒介感染症の診療ガイドライン
医師がデング熱、チクングニア熱及びジカウイルス感染症などの蚊媒介感染症を診断し、確定した症例について直ちに届出を行うことができるよう、疫学、病態、診断から届出、治療、予防に至る一連の手順などを示したものです。