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更新日:2011年1月20日

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「石川県白山自然保護センター研究報告」(第25集)要約

「白山室堂平における1993-1996年の非積雪期の全天日射量観測資料」

東野外志男・野上達也・小川弘司
1993-1996年の非積雪期の白山室堂平における日全天日射量の観測資料を表としてまとめて示した。7・8月の日別晴天指数の相対度数分布は、同時期の輪島のものと対照的で、これは高山の白山室堂平では、7・8月の夏の時期、1日中快晴もしくは快晴に近い日が少ない、もしくは晴天でも長時間は続かず、すくに天気が崩れるような変化の激しい日が多いことを示唆したものと考えられる。

白山室堂平における1993-1996年の非積雪期の全天日射量観測資料(PDF:6,241KB)

「白山のローブ状地形に関する基礎的研究―堆積構造、表面礫の移動、地中温度―」

山本憲志郎・小川弘司
白山の水屋尻雪渓の近くのローブ状地形において、表層斜面傾斜角、表層および地中の礫の堆積構造、地温測定、析出氷の計測、ペンキ塗布礫の移動観測などを行った。本ローブは地中55cm以上まで凍結し、析出水が形成される環境下にあり、また、秋季には地表面付近で凍結-融解が生じている。そのため、フロスト・クリープおよび周氷河性ソリフラクッションが生起しているが、融雪水あるいは梅雨期や台風等による強雨による物質移動も生じていると考えられる。

白山のローブ状地形に関する基礎的研究-堆積構造、表面礫の移動、地中温度-(PDF:8,836KB)

「融雪期のちがいによるクロユリの開花フェノロジー及び結実率への影響」

野上達也
例年より雪解けが早かった1998年の白山室堂平のクロユリの開花は、雪解け時期がそれより約1か月早かった1994年と比較して、雪解けと同様に約1か月早かった。しかし、クロユリの集団内の開花がほぼ同調するという開花パターンや結実率には大きな変化はみられなかった。ただし、雪解けが早まることによって成長期間が長くなることが、クロユリの成長や集団の増殖率にどのような影響を与えるかについては不明である。

融雪期のちがいによるクロユリの開花フェノロジー及び結実率への影響(PDF:4,264KB)

「白山地域のミズラモグラの分布」

林  哲・子安和弘
白山地域におけるミズラモグラの分布を、これまでの調査成果と収蔵標本の再整理を行い再検討した。その結果、合計14件の情報が得られ、そのうち標高2,000m以上の白山御前峰を中心とした亜高山帯から高山帯に多い傾向があり、その他蛇谷流域や庄川右岸域においても分布が認められた。石川県内では、局地的な分布状況であり、生息数が多くないものと推定される。

白山地域のミズラモグラの分布(PDF:3,578KB)

「石川県内に生息する野生ニホンザル個体群の分布状況」

滝澤  均・伊沢紘生・志鷹敬三
手取川水系のカムリA群はますます細分化し、昨冬(1997~1998年の冬)には4群以上もグループに分かれて遊動していたのが確認された。オトナメスに対するアカンボウの比率は1988年以降最も低い29.7%(41/138)で、1996年の秋、山の木の実がおしなべて不作であったことが、繁殖行動を抑制したり、受胎率を低下させたりしたのではないかと推定される。手取川水系で最も下流域の瀬波川を遊動域にしているクロダニA群が、さらに下流域である下吉野集落まで遊動域を移動させていた。犀川水系の金沢市下寺津発電所から犀川ダムまでの地域で、42頭の群が確認され、ここ1~2年の間にこの地域を利用するようになったと推測される。

石川県内に生息する野生ニホンザル個体群の分布状況(PDF:10,548KB)

「白山麓石川県白峰村河内のオウギ採り―焼畑民の薬用高山植物採取―」

橘  礼吉
オウギ(黄蓍)とは漢方の滋養強壮の主剤で、高山植物「イワオウギ」の根である。イワオウギは砂礫地や岩場に自生しており、白峰村市ノ瀬、尾口村尾添、東荒谷の人々が、白山の岩壁に攀じ登って、昭和初期頃までその根を採取していた。オウギの根採取作業は非常に危険度が高く、今日でいうロッククライマーでなければ不可能であった。中ノ川の岩壁には、オウギ採取中遭難死した人名をつけた岩場、「玄徳(げんとく)壁」、「夏至(げし)の壁」があり、その苦労の痕跡をとどめている。金沢の著名な漢方薬「混元丹」や「赤龍丹」には、白山麓の人が命を懸けて採取したオウギが調合されていた。

白山麓石川県白峰村河内のオウギ採り-焼畑民の薬用高山植物採取-(PDF:9,954KB)

「石川・福井県下白山西・南麓における猪害防除」

矢ヶ崎孝雄
この地域は深雪地帯で冬は猪の生息をみず、その北限の地域である。山地に出作りし、焼畑を営んでいたが、作物を猪に荒らされ、その防除に苦心した。シシ追い小屋を設け、稔(みの)りの秋の夜、音声を発して猪を追うのが主で、猪垣(ししがき)や落し穴などは普及しなかった。石川側では威(おどし)鉄砲を用い、福井側では猪の嫌う芒(のぎ)のある稗・稲を栽培したのが特色である。また福井側の山地では木地師や鉱山が多くみられ、猪の生息を妨げた。石川側では猪の捕獲に褒美を出したのも注目される。

 石川・福井県下白山西・南麓における猪害防除(PDF:20,764KB)

お問い合わせ

所属課:生活環境部白山自然保護センター 

石川県白山市木滑ヌ4

電話番号:076-255-5321

ファクス番号:076-255-5323

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