知事の発言集 - 知事の窓 - 2009年冬季号

トキよ、再び石川の大空に

暗いニュースが続く中で、昨年暮れ、トキの分散飼育地に石川県が選ばれるという朗報が届きました。

振り返ると、本州最後の生息地である能登からトキが姿を消して、すでに39年の歳月が流れました。以前、県立歴史博物館に保存されているトキのはく製を見たことがありますが、こんな日が来ようとは夢にも思いませんでした。

早速、いしかわ動物園にトキ繁殖ケージなどを整備し、来年春の産卵期までには受け入れ態勢を整えたいと思っています。ただ、トキはとても臆病な鳥で、静穏な環境でないと産卵し雛をかえすことができません。残念ながらトキをじかに見ていただくことはできませんが、ライブ映像でご覧いただくことを考えています。

また、人とトキがどのようにかかわってきたかの証言や資料を集めるための調査委員会も立ち上げ、ふるさとのトキの歴史を多くの皆さんに知っていただきたいと思います。

トキは、ドジョウなどのエサが豊富な水田に近い里山に生息する鳥です。それが乱獲や環境の悪化、農薬によるドジョウの激減などにより、日本から絶滅してしまいました。ですから、人工繁殖させたトキを佐渡島のように、石川県でも放鳥へとつなげていくには、とても高いハードルがあるのが現実です。

現在、県では里山の再生に取り組んでいます。地元の人だけでなく県民挙げて里山を再生していくことが、遠い将来、トキが野生で生息できる環境にもつながるでしょう。

「再びトキが大空を舞う石川県に」。そんな壮大なロマンを描きながら、県民の皆さんとともにトキを温かく迎えたいですね。

  

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