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更新日:2011年5月23日

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 ― ニューヨーク駐在員便り 2011年6月―

米国における物価高騰

 

 米国労働省が5月中旬に発表した4月の消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)は前年比3.2%の上昇を示し、2008年10月以来2年半ぶりの高い伸び率となりました。10ヶ月連続で前月を上回っており、物価の上昇が続いています。

中でも日常生活に大きな影響を与える食品やガソリン価格の上昇が目立っており、食品の中では特に牛肉・豚肉(前年比10.4%の上昇)、牛乳(同10.9%)、バター(22.9%)、じゃがいも(13.4%)、レタス(9.9%)、トマト(9.7%)、コーヒー(13.8%)などの上昇が突出しました。

 

 

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消費者物価指数の上昇を伝えるニューヨークタイムス記事

ガソリン価格の高騰を伝える記事

 また、ガソリン価格については総合指数の上昇分のほぼ半分を占めたとされ、中東産油国の政情不安や新興国の経済成長による供給逼迫などが要因とされる原油高を背景に高騰が続くガソリン価格は、前月比で3.3%と10ヶ月連続で上昇し、前年比では33.1%の上昇にいたりました。米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)によると、今年の2月下旬にはハリケーン「カトリーナ」の影響でガソリン価格が急騰した2005年以来最大の伸び幅(1週間で約20セントの上昇)を記録するなど、高騰が続いています。5月16日時点のレギュラーガソリンの全米平均小売価格は1ガロン(約3.8リットル)あたり3ドル96セントに達し、心理的な節目とされる4ドルの大台に迫りました。前年比で1ドル以上も上昇しており、2008年7月に記録した史上最高値の4ドル11セントを更新する目前にいたっています。カリフォルニア州やニューヨーク州、ワシントン州などでは既に4ドルを上回っており、ちなみに私が住むニューヨーク郊外では、レギュラーガソリン価格が1ガロンあたり4ドル30セントを上回るところが殆どとなっています(私がニューヨークに着任した1年前と比べると約1ドル50セント上昇しました)。

 

 

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1ガロンあたり4ドル45セントのレギュラーガソリン価格を示すニューヨーク郊外のガソリンスタンド

 

 日本と比べると安価ではありますが、交通手段の自動車への依存度が高く1人あたりのガソリン消費量が突出する米国では、ガソリン価格の上昇は消費者の所得とマインドの両面において大きな影響を与えると言われています。ある世論調査によるとガソリン価格の上昇によって家計に困難が生じているとの回答が全体の7割に達したとされ、また、民間エコノミストの経済予測では米国のGDP成長率の見通しが下方修正され、その理由として最も多かったのが「原油・ガソリン高」でした。

 ピークを迎えたとも言われるガソリン価格ですが、当面高止まりは続くとされており、車での移動を控えて買い物や外食に出かける頻度が減少したり、ガソリン代を工面するため他の支出を控える消費者が増えることも予想され、個人消費の動向が経済の行方を大きく左右すると言われる米国経済への影響が懸念されるところです。また、原材料価格の高騰を受けてトイレットペーパーや紙おむつなどの値上げも相次いで予定されるなど、こうした生活必需品の価格上昇が米国市民の日常生活に与える影響も大きくなっています。

 

 5月のニューヨークは新緑が眩しく花もあちこちで咲き誇り、色鮮やかな美しい季節となりました。その中で消費者の外出や購買活動がさらに活発になっていくことを期待したいところですが、ガソリンや食品などの物価の上昇がこうした動きに水を差し景気回復に影響を及ぼさないことを願うとともに、今後とも米国経済の動きを注視していきたいと思います。

 

ジェトロ・ニューヨーク・センター

石川県駐在員 木村忠明

42nd floor, McGraw-Hill Building,

1221 Avenue of the Americas, New York, NY 10020, U.S.A

TEL:1-212-997-0446  FAX:1-212-997-0464

Eメールアドレス:Tadaaki_Kimura@jetro.go.jp

お問い合わせ

所属課:商工労働部産業政策課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1509

ファクス番号:076-225-1514

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