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更新日:2010年9月24日

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― ニューヨーク駐在員便り 2006年7月―

トライステートにおける学校教育

ューヨーク日本商工会議所が主催する米国人教育者派遣プログラム(U.S. Educators Program)の壮行会が6月16日に日本クラブで開催されました。今回で18回目となりますが、2週間の旅程には一昨年、昨年に引き続き、東京や大阪等と並んで石川県が入り、参加者21名は7月3日から3日間、金沢市内において教育現場視察や文化体験などを行います。このプログラムは、1980年代後半、ニューヨーク・トライステート地区(New York Tri-State Region、ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカットの3州にまたがるニューヨーク都市圏の呼称)に日本人駐在員及び家族が急増し、一部の地域の学校ではESL(English as a Second Language、第二言語としての英語)のクラスで日本人児童数が多すぎるといった混乱や問題が生じたため、その問題解決の一助として現地の教育長、学校長、教諭等を日本に招待し、日本の教育や文化について理解を深めてもらい、相互理解や交流促進に資することを目的として1989年にスタートされたもので、昨年までに約350名が派遣されています。


2006年度派遣プログラムの参加者

国の公立学校制度は日本のそれと大きく異なっています。日本のように一般的な地方政府の教育委員会によって管理運営されている州立・市立の学校もありますが、その比率は1割に満たず、州法の下で公的教育サービスを提供する学校区(School District)という地方団体が管理運営するケースがほとんどです。一般的に、学校区は5~15名程度の無党派の理事で構成される理事会によって運営されますが、独自の教育方針を定め、学校監督官(日本の市町村教育委員会の教育長)を任命し、校舎の建設・維持管理、カリキュラム決定や教科書選定、教職員の採用・給与決定を行うほか、学校税(財産税)の課税権を有しているため、規模は小さく事業も限定的ではありますが、それ自体が独立した地方政府です。ところで、米国人の多くは、子供の教育のため学校区を強く意識しながら住所を選定するため、一般的に教育水準の高い地域には住人が集まり、それによって教育のための財源が豊富となり教育環境が更に高まるといった好循環が生まれる一方で、悪循環に陥る学校区もあります。この現象は不動産価格や治安などとも密接に関連し、結果的に地域間格差という社会問題を生み出します。さらに、高齢化社会の進展により普及しているシニア・コミュニティ(高齢者が集まって街を形成し暮らすコミュニティ)が学校税の納税義務に関し学校区と意見対立し訴訟に発展するなど、米国の公立学校制度にも様々な問題が生じていることも事実です。ちなみに、トライステートに存在する全日制日本人学校(ニューヨーク日本人学校及びニュージャージー日本人学校)は、日本国政府(文部科学省)が認可した私立学校であり、米国の学校区が管理運営するものではありません。

日、金沢市ゆかりの米国人であるルース・スティーヴンスさんを訪ねました。両親も教師であったというルースさんは1974年から6年間、金沢市立工業高等学校の英語教師として金沢市内に暮らしましたが、当時、金沢の素晴らしさに魅了された一方で国際化の遅れを目の当たりにし、英語版ガイドブック「KANAZAWA」を執筆しました。現在は、ニューヨークでマーケティングのコンサルタントやライターとして活躍する一方で、コロンビア大学客員教授も務めています。頻繁に通ったという金沢の自宅近くのステーキレストランや、誰もいない美しい金石海岸を散歩した思い出を、目を細めながら楽しそうに話す一方で、金沢市中心部が空洞化しないかと心から心配するルースさんは石川県の良き理解者であり、今後もニューヨークに住む石川県の心強いサポーターです。


「KANAZAWA」を手に微笑むルースさん
(NYマンハッタンの自宅兼オフィスで)

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所属課:商工労働部産業政策課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1511

ファクス番号:076-225-1514

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