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更新日:2010年9月24日

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― ニューヨーク駐在員便り 2008年6月―

米国における日本企業の奮闘

5月初旬に、マンハッタンから北に、電車で約30分程のところにある川崎重工グループの関連会社で、米国向けに鉄道車両の製造を行っているKAWASAKI RAIL CAR Inc.を訪問しました。住所は、ウェストチェスター郡ヨンカース市というところで、一昔前までは、治安の問題等もありましたが、近年はその治安もかなり回復し、もともとマンハッタンからのアクセスが大変便利なため、最近はマンハッタンで働くビジネスマンが多く住んでいる地域でもあります。


ニューヨーク郊外にある
KAWASAKI RAIL CAR Inc.

存知のとおり、川崎重工グループは、鉄道車両、船舶、航空機等、まさに「陸・海・空」全ての輸送関連機器を製造販売している日本を代表する企業で、その中でも特に今回訪問したKAWASAKI RAIL CAR Inc.を含む車両関係は、同グループの約13%の売上高を締めるまさに、中核部分でもあります。

KAWASAKI RAIL CAR Inc.は、1989年2月に、この地に設立以来、鉄道車両及びその関連製品の受注、販売、最終組立までを行っています。従業員数は約370名で、若干名の日本からの駐在員を除き、そのほとんどが地元採用であることから、地元のニューヨーク州やハドソン川を挟んだ対岸のニュージャージー州等の雇用創出に大きく貢献しております。
グループには、この工場の他に、米国中央部のネブラスカ州にKAWASAKI MOTORS MANUFACTURING CORP, U.S.A.という別会社を有し、両社が連携して製造を行っており、そのおかげで米国における鉄道車両の約25%のシェアを有していることから、実に米国内を走る鉄道車両の約4分の1が「川崎重工ブランドの車両」ということになります。ここで注目すべきは、川崎重工グループのライバルで、現時点でトップシェア(約37%)を有するのは、カナダ・モントリオールに本社を置くBOMBARDIER社です。つまり、鉄道車両分野においては、米国以外の「外国資本」企業が大幅にシェアを有していることになります。この理由は、おそらく、米国人にとって、広大な領土を有する米国では、鉄道ではなく、飛行機や自動車が輸送手段の主役であるとの認識があるためだと考えられます。
在既に、大きなシェアを有する同社にとっても、米国で鉄道車両を製造販売する上で、様々な米国特有の規則や制度をクリアするための苦労があるとお聞きしました。
に米国企業の保護を目的とした「Buy America」制度について大変興味深く思いました。「Buy America」とは、プロジェクトにおいて、連邦資金(合衆国の補助金)が使用される場合、そのプロジェクトで使用される部品、材料等は全て米国製品を使用することという基本原則があり、こと「鉄道車両」の製造に関しては、試験費用、最終組み立て費用等を除く全調達コストの60%以上が米国製であり、かつ最終組み立てが米国内で行われることが求められるというものであります。実際に、この数値を達成しているかどうかについては、定期的に当局による監査や当局に対する報告書の提出が義務付けられているそうです。

れ以外にも通称DBE(Disadvantage Business Enterprises)と呼ばれるマイノリティ保護のための制度があります。これは、連邦資金が使用される場合、「鉄道車両」メーカーは、下請け額の10%前後を少数人種(白人以外)や女性が経営する企業に発注しなければならず、これについても、当局に対し、半期ごとにその達成状況を報告しなければならないというものです。


同社にて組み立て中のニューヨーク地下鉄の新型車両

らには、「US Flag(連邦資金を使用するプロジェクト関連の海上輸送については、50%以上を米国船籍の船を用い輸送することが義務付けれている)」や「Fly America(同プロジェクト関連の移動は、米国航空会社を使用することが義務付けられている)」等の米国企業保護を強く打ち出す政策が次々とあり、個人的にはWTOとの整合性に疑問を感じる部分でもありました。
だこれらの規則を全てクリアし、そのうえで、米国で確固たる地位を築いている日本企業の実力とその技術力の高さを強く感じた1日でもありました。
社で製造されたニューヨーク地下鉄の新型車両に乗車するたびに、そのことを誇りに感じるのは、ニューヨークに住むほとんどの日本人の共通するところだと思います。

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