―上海駐在員便り 2021年8月―

中国共産党創立100周年及び、金沢・蘇州姉妹都市締結40周年

■中国共産党創立100周年

7月1日、中国共産党は創立100周年を迎えました。北京の天安門広場で開催された記念式典で、習近平総書記が7万人を超える聴衆を前に演説を行っている様子は日本でも多数の報道がありましたが、ここ上海においても6月頃から様々な記念イベントが実施されておりましたのでその様子をお伝えしたいと思います。

上海は中国共産党結党の地であり、中心部の観光スポット「新天地」周辺には、第一回党大会が開かれた跡地が現在も残っております。最近、この近くに「上海第一次全国代表大会記念館」が新たにオープンしました。休日に実際に行ってみると、1921年の結党当初から現在に至るまでの歴史に係る展示等が並び、多くの中国人の方々が誇らしげに国旗を手に記念撮影をしている光景が印象的でした。また、100周年に合わせたキャンペーンの一環として、新天地周辺の地下鉄駅が改名され、「一大会址」（結党会議が開かれた会場跡の名称）が付け加えられておりました。なお、7月1日前後の期間には、街中に100周年の赤い旗が設置されるとともに、上海を代表する観光スポットである外灘では特別ライトアップが実施され、身動きできないほどの見物客でごった返しておりました。

また、最近、中国で盛り上がりを見せているのが「紅色旅行」（レッドツーリズム）と呼ばれるものです。共産党ゆかりの地を訪ねる旅行のことを指し、共産党のシンボルカラーが赤であることから付けられた呼称です。現地旅行社の統計によると、目的地としては、前述した北京の天安門広場や上海の一大会址などの他、湖南省の岳麓山や江西省の井岡山など、各地にある「革命の聖地」とされるスポットが人気となっており、旅行者は20代～30代の若者が多いことも特徴です。昨年時点で紅色旅行の規模は延べ1億人以上、経済効果は1兆元以上とされておりましたが、今年100周年を迎えたことで更に加速し、紅色観光地の予約件数（上半期）が前年同期比で2倍以上増加している状況となっております。しばらくはこの祝賀ムードが続きそうです。

■金沢・蘇州姉妹都市締結40周年

石川県と江蘇省は友好提携地域となっており、経済や観光など6分野での交流を行ってきましたが、その江蘇省の中にある蘇州市は1981年から金沢市と姉妹都市となっており、今年で締結40周年を迎えます。両市は、長年に渡り、青少年、体育、文化、経済貿易など多分野で交流を行っており、コロナ禍においても、相互にマスク等の医療物資を送り合うなど友好関係を絶やすことなく継続しております。

40周年記念行事の一環として、蘇州市において、6月21日～27日の期間で「蘇州・金沢中日無形文化交流展」が開催されました。日中間の往来が困難な状況下ではありますが、初日の開幕式には、蘇州市政府や会場となった美術館のある姑蘇区政府、上海総領事館、県上海事務所、蘇州にある日系企業等が集まり、開催を祝いました。展示会場には、蘇州市の代表的な伝統工芸品である刺繍や陶磁器が並ぶとともに、金沢の金箔製品や代表的な景観の写真などが展示されておりました。また、金箔貼り体験コーナーも設置され、蘇州市民が興味深そうに取り組んでいる姿も印象的でした。

今回は文化的側面からの交流でしたが、蘇州市は、現在人口が1,200万人を超え、ハイテク関連も含め産業の発展からみても勢いのある地域であると感じております。また、近年「日中地方発展協力模範区」にもなっており、県内企業も含め日系企業も多数進出しており、日中間の交流に積極的な地域でもあります。中長期的にみても、目的をもって具体的に中国の有力都市との友好関係を維持し、相互理解を深めていくことは日本の都市にとっても有益なことと考えております。現在、コロナ禍の入国規制により往来が困難な状況にありますが、オンライン交流の検討はもちろんのこと、市町関係者におかれましては、現地での対応が必要な場合は県事務所にご相談いただければと思います。

（写真1：上海第一次全国代表大会記念館）

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