6.酸性雨等森林衰退モニタリング調査（第4報）（酸性雨等森林衰退対策事業）

予算区分      国補（受託）
研究期間      平成7～11年度
担当科名      森林育成科
担当者名      千木  容・小谷  二郎

I.はじめに

  近年欧米諸国を始めとして、世界的に酸性雨等による森林衰退が問題となっている。本事業は、酸性雨等の影響による森林被害の実態を把握するために、全国を5万分の1の地形図でメッシュにとり、地域を代表する森林を対象とするモニタリング調査を実施し、健全な森林の整備に資することを目的とする。本県はスギを調査対象樹種とし、5年間で13地点について調査を担当する。

II.調査方法および結果の概要

1. 平成9年度の調査図幅
     輪島、能登二宮、山中（1時25分,000地形図名）
2. 調査項目
     概況調査、毎木、植生、衰退度
3. 分析用試料の採集
     落葉、雨水、植物体、土壌
4. 調査時期 
     6月第3週の月曜日から10日間
   衰退度調査
     10月中旬

  上記の調査は、森林総合研究所が取りまとめ、林野庁と協議したうえでとりまとめが公表される。

（参考資料）
  平成2～6年度まで5年間行った、「酸性雨等森林被害モニタリング調査事業報告」が林野庁から公表されたので、結果の概要を報告する。本報告から、全国的に森林において、pH5.6以下の酸性雨が報告されたが、酸性雨による森林の被害を肯定する因子は認められなかった。また、本県においても同様で、ほとんどの地点が清浄降雨であった。これは、酸性雨であっても、pH4.0以上の比較的酸性化の程度が緩やかな雨が多く、雨酸性化の主な因子である、硝酸イオンや硫酸イオンが少なく、植物や土壌によって、緩衝、中和されてしまう許容範囲内であったものと推察される。本事業の内容は、現在の事業とほぼ同様で、現在の事業の結果と5年前の本調査報告を比較し、酸性雨による影響がどのように推移して行くか検討する予定である。
  なお、「酸性雨等森林被害モニタリング調査事業報告」は当場図書に保管してありますので、詳しい内容については問い合わせ、閲覧等をしていただきたい。