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更新日:2010年8月24日

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2.有用樹木の遺伝的改良と活用に関する研究

予算区分      県単
研究期間      平成10~15年度
担当科名      生物資源科
担当者名      三浦  進・千木  容

I.目的

  能登地域の森林資源を代表するアテは、高付加価値材として評価されつつある。一方木材に対する、工業材料としての要求性能の高度化に伴い、形質の不揃いや、ねじれや入り皮が消費拡大の阻害要因として指摘されている。そこで形質の優れたアテを育種することで、次世代のアテ林の資源の質的向上と、形質の均一な木材の安定供給が可能な条件整備を図る。

II.研究概要

1.アテのクローンを識別し、遺伝的構成を明らかにするためRADOマーカーに  よるDNA分析を行った。その結果アテのクローン識別の手法が確立され、ま  たマアテは遺伝的に多様なクローンから構成されており、形質のばらつきが  大きいことが明らかになった。
2.ねじれや入り皮の少ないマアテ系品種の育種に取り組んだ。昨年度の調査  で外部形態から選木した輪島市、門前町地区の35クローンを伐採し、木材  性能試験を行った。製材品のねじれの原因となる、軸方向要素の傾斜を示す  繊維傾斜度と、強度の指標となるヤング係数を主な基準に、供試木の形質を  評価した。最大繊維傾斜度が4%以下(クサアアと同程度)のクローンが5  クローン、ヤング係数が平均より10%以上大きいクローンが4クローン得  られた。最大繊維傾斜度が小さく、ヤング係数が大きい4クローン(MK3,MK4,MYM,MKY)を優良形質クローンの候補に選定した。
3.短期間に苗を増殖する方法を検討した。アテは挿し木が容易なため、採穂  園からの挿し穂の供給が苗生産の基本となる。しかし採穂園の造成には、多  数の苗と10年以上の期間が必要である。そこで補助的な苗増殖法として、  組織培養を検討した。葉条を材料に、CD培地と植物ホルモンの組み合わせで  シュートを誘導することにより、7ヶ月間で約3倍の増殖率が確認された。

III.今後の課題

  地域生物資源としてのアテの重要性を評価するために、アスナロ属植物の中での、アテ遺伝資源の位置付けを明らかにする必要がある。また優良形質クローンの候補木は、生長特性など未調査の形質を調べる必要がある。苗の生産に関しては、アテに適した採穂木の仕立て方を検討すると共に、短期大量増殖の方法をさらに検討する必要がある。

 

お問い合わせ

所属課:農林水産部農林総合研究センター林業試験場

石川県白山市三宮町ホ1

電話番号:076-272-0673

ファクス番号:076-272-0812

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