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桃山時代
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
総長106.0センチ 総反り6.0センチ
県指定文化財 平成元年1月9日指定
打刀拵とは、従来の太刀拵に代わって、室町時代後期ころ出現した帯用太刀の刀装である。本品は、桃山期(16世紀)の製作と考えられる黒漆打刀拵の優品で、鞘書の所伝では織田信雄より加賀前田家の家老となった本多政重が拝領したものという。中身は太刀の長光であり、ごく肉の薄い黒漆鞘で革を着せて黒漆をかけている。鞘の栗形は特殊な山形となり、鐺は欠失したままとなっている。返角ははじめから付いておらず、柄は白鮫着と珍しく、目貫は金無垢を用いている。縁と鐔(三枚鐔)の製作は同一で、縄目文である。柄巻は藍韋組上げで、漆をしみ込ませて堅固である。現在、刀身には下貝金着、上貝銀立葵紋となった二重はばきが付いているが、この黒漆打刀拵には下貝の大刀はばきだけで入るようになっており、附の朱漆打刀拵には二重はばきで入る。なお、附とした朱漆拵は、柄巻に紙芯を入れており、鞘塗や形からみて製作年代はかなり時代が下がるものとみられる。
鎌倉時代
今蔵神社 鳳珠郡能登町字瑞穂ラ15
径20.8センチ 像高10.3センチ
県指定文化財 平成元年12月22日指定
直径20.8センチの薄い円形銅板の中央に蓮華坐上に結跏趺坐する薬師如来を、像背には火焔を付した頭光・身光を線刻している。その描線は、繊細で格調が高く、神秘的な趣を良く伝えており、平安時代末期に盛行した銅板線刻鏡像に類する特徴を持つ。銅板の周縁には幅の広い覆輪をめぐらし、肩部に猪目透彫の花形鐶座と切子頭の鐶台を付す。製作年代は装飾性に富んだ釣鐶装置を備えていることから鎌倉時代として大過ないが、裏板を張らない鏡胎を模した鏡板は平安時代末期に遡る可能性がある。本品は石川県下において最古に位置づけられる懸仏であり、鏡像の面影を伝える唯一の遺品として極めて貴重である。
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