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明治42年(1909) 山田宗美作
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
高さ35.2センチ 幅20センチ
県指定文化財 昭和57年7月12日指定
鉄打出鳩置物は、鉄打出狛犬大置物と同じ年の作で、1枚の鉄板から打出(鎚起)の技法で成形したもので、鐙瓦の上端にとまった鳩の自然の生態をとらえ、鳩の羽毛のやわらかい感じと、瓦の硬い材質感とを見事に使い分け表現している。ことに鳩の下腹部で強くせばめられた鉄板が、瓦の部分へと大きく広がる「鉄打出」のすぐれた技法は他に類を見ない。明治大正期の美術史家で東京美術学校教授の大村西崖は、その著『東洋美術史』明治大正の金工の部で「鎚起には加賀の山田長三郎宗美あり、自ら鉄を用いよく動物の全形を鎚起し空前の奇巧を示した」と記している。宗美が、当時の芸術家としての最大の名誉であった帝室技芸員に内定されながら、その栄誉を受けることなく大正5年(1916)46歳で没したのは惜しまれる。
昭和60年「石川の文化財」より
江戸時代前期
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
口径45.5センチ 底径17.7センチ 高さ11.7センチ
県指定文化財 昭和59年7月10日指定
古九谷陶のなかで、青手と称するものは素地を全く見せず全面を絵具で塗りつぶし、全体として青(緑)く見えるところから、このように呼ばれている。青手の技法は、古九谷陶の初期の素地が粗雑であったため、素地の悪さをカバーするために、緑や黄の絵具で素地全面を覆いかくす方法として生まれたと考えられている。この作品は、青手古九谷を代表する名作として知られている2段皿様式の大平鉢で、両手でやっと抱えられる程の大作である。意匠構成から受ける印象は、まるでゴッホの絵を見るような趣であり、すこぶる異国的で舶来趣味がただよっているように思われる。呉須による線描が太くて力強く、その線描のうえにかけられた緑と黄と紫の透明度の高い溜塗りのような賦彩法が、この作品の豪放さと新鮮さの世界をつくりあげている。裏面は表文様に呼応するように豪放な筆致で菊葉唐草を描き、緑絵具で塗りつぶしている。
昭和60年「石川の文化財」より
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