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江戸時代初期 伝五十嵐道甫作
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
幅24.0センチ 奥行32.7センチ 高さ69.0センチ
県指定文化財 昭和55年7月10日指定
和歌を書いた色紙や冊子を納める箪笥で、五十嵐道甫作と伝えられる。加賀藩前田家に伝来したものといわれ、当時の大名の風雅な生活の一端を偲ぶことが出来る豪華な調度品である。縦長で内部を上下6段とし、上段には瓢型の施錠金具を付けた深箱を、また、4段目には蓋付施錠深箱を、そして5段目には和歌を書くための硯箱が引出状に配されている。4段目深箱は、描かれた蒔絵と取手や施錠金具が一体となり、機能と加飾が見事にかみあった設計がなされている。5段目硯箱には特に入念な蒔絵が描かれ、洲浜、打ちよせる波、海藻、貝などとその意匠力と技術は道甫ならではの格調の高いものである。金具は全て後藤程乗作と伝えられ、美しいデザインの加賀象嵌が精巧に施されている。
昭和60年「石川の文化財」より
江戸時代初期 伝五十嵐道甫作
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
縦24.5センチ 横22.3センチ 高さ4.6センチ
県指定文化財 昭和57年1月12日指定
方形、几帳面、被せ蓋造りで覆輪をめぐらし、身の左に七宝楕円形の水滴と硯を納める。蓋の甲面から側面にかけて金の沃懸地に仕立て、岩に芒・菊・桔梗・藤袴などの秋草と満月を絵画風に描いている。月に銀鈑を嵌めて強く印象づけ、その他は高蒔絵に金具・螺鈿・銀鋲などの技法で精巧・優美に表現している。蓋裏と身の内側は平目地とし、全体に松喰鶴を散らしている。各種蒔絵の技法を自由に駆使し、箱の内と外の意匠を見事に調和させ、気品の高い作品にまとめている。作者は五十嵐道甫忠三郎と伝えられるが、彼は京都に住んでいた蒔絵の名工で、後に前田利常に招かれて加賀蒔絵の基を築いたとされ、のちに京都に帰るが、その子道甫喜三郎はこの地に定住して加賀蒔絵を発展させた。
昭和60年「石川の文化財」より
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