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更新日:2018年1月16日
生態系被害防止外来種リスト掲載種
(総合対策外来種)
- 水草やゲンゴロウの大敵 -
甲殻類
アメリカザリガニ科
Procambarus clarkii
体長8センチメートル程度。胸脚のうち、1対は大きいハサミになっています。雄のハサミは特に大きくなります。体色は淡褐色から鮮赤色です。
繁殖期は夏で、交尾を終えたメスは直径2ミリメートルほどの卵を数百個産卵し、腹脚に抱えて保護します。孵化した子どもは体長4ミリメートルほどで、孵化後もしばらくはメスの腹脚につかまって過ごし、体長8ミリメートルほどになると親から離れます。
北米南東部
日本には、1927年にウシガエルのエサとして持ち込まれました。その後ペットや食用として飼われていた個体の逃亡などによって、全国各地に分布を拡大しました。
石川県内では、1936年に初めて本種の存在が確認され、その後県内のため池や水路などいたるところに分布が拡大しています。
本種の存在により、水生小動物への直接的加害、水草の食害、それによる他の生物への間接的加害が問題となっています。また、水田の畦に穴を開けたりでイネを食べたりして問題になっています。
本種もオオクチバスと同様に、県指定希少野生動植物種であるシャープゲンゴロウモドキをはじめとする在来の水生生物に対して悪影響を及ぼしているとみられます。
金沢市夕日寺町の夕日寺健民自然園にある「トンボサンクチュアリ」では、トンボなど水生生物の保護のため2001年にブラックバスを駆除しました。すると、2002年にアメリカザリガニが大発生し、50種以上も確認されたトンボや水草が激減してしまいました。来園者の協力も得てこれまでに1万匹以上ものアメリカザリガニを駆除していますが、大きな効果は上がっておらず、本種の繁殖力の強さがうかがえます。
夕日寺健民自然園では、来園者の協力を得て継続的な駆除が行われています。
本種は身近な存在であり、また、ペットとしての人気も高い生き物ですが、その個体を野外に放すことは、分布の拡大、在来種への脅威につながることをしっかり認識する必要があります。
特に、県内には希少種が多いため池や水路がまだまだ残っています。このような場所への持ち込みは、水辺の生物多様性を大きく損ねることになります。
外来生物法に指定された特定外来生物と異なり、生態系被害防止外来種リスト掲載種は法の規制が課されるものではありませんが、生態系に悪影響を及ぼしうることから、適切な取扱いについてご理解とご協力をお願いいたします。
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