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朝鮮李朝前期
個人蔵 金沢市
口径 14.5センチ 高台径 4.7センチ 高さ 7.9センチ
重要文化財 昭和25年8月29日指定
「喜左衛門井戸」(国宝)とともに並び称される井戸の名碗として茶道界で広く知られている。雄大でさびのある趣は、よく井戸茶碗としてのよさをあらわしている。
「筒井筒」の銘は、もと筒井順慶がもっていて、茶碗が深めであり、高台が高いところから「筒井の筒茶碗」といわれ、この名前が生まれたと伝えられている。のち順慶から秀吉に贈られて秘蔵されていたが、ある日、近侍の小姓が誤って取り落とし、5つに割ってしまった。激怒した秀吉が小姓を手打にしようとしたところ、たまたま居合わせた細川幽斎が、「筒井筒五つにわれし井戸茶碗とがをばわれに負ひしけらしな」と詠んだので、秀吉の不興がとけたという逸話が残っている。
井戸茶碗は朝鮮李朝時代前期末頃に焼かれた陶器で、もとは飯茶碗としての雑器であったが、桃山時代に我が国に舶載され、茶人が茶器としてとりあげ、とくに姿の大きい大井戸は、佗茶の最高のものとされ、朝顔形でロクロ目が強く、高台が竹の節状で、カイラギがあることが条件とされている。
昭和60年「石川県の文化財」より
ベトナム 14世紀
個人蔵 金沢市
(東京国立博物館保管 東京都台東区上野公園13-9)
口径 7.5~7.4センチ 胴径 13.1センチ
底径 10.7センチ 高さ 29.1センチ
重要文化財 昭和46年6月22日指定
この花生は、安南(ベトナム北部)染付の中でも最古の作と認められる貴重なものである。各部に描かれた文様が14世紀中頃の中国元時代染付磁器に酷似しており、おそらく、この作品もその頃に作られたものであろう。
形態は、胴を上下にしぼって俵形にし、左右に環状の耳を貼り、口部に八弁の蓮弁をつけ、外側に大きく開いた脚をあしらうなど、独特の器形で、ほかに例をみない。
描かれた染付文様は、頸部に蓮弁文、肩に七宝繋文、胴の前後に竜文、胴裾に蓮弁文、脚に波濤文などを力強くたしかな筆法で描いている。桃山時代以前に請来されたかどうかは判然としないが、江戸時代に入って土屋相模守が幕府に献上し、明和5年(1768)に松平越後守が将軍家より拝領したと伝えられている。
昭和60年「石川県の文化財」より
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