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桃山時代
尾山神社 金沢市尾山町11-1
刀 総長 116.1センチ 脇指 総長 59.3センチ
重要文化財 昭和25年8月29日指定
室町時代の戦闘様式の変化により、従来の太刀にかわって腰にさす帯用形式の打刀が登場し、また、刀と脇指を1組にして揃の拵をすることが行われるようになった。そして桃山時代には、今までに見られない自由で華麗な意匠が施された刀装が数多く作られた。
この大小拵は、鞘全体が今までに見られなかった朱漆塗で、表裏に金の平蒔絵で雲竜を大胆に描き、栗形や返角も朱漆塗とし、萌黄色の下緒を用い、鐺は、刀を切、脇指を丸に作っている。また、柄は、巻下地に金無垢の打ち出し鮫を着せ、布に黒漆を塗って菱巻にしている。縁金具は、山金を用い、目貫は、刀の方が流水文、脇指の方が赤銅の瓜文、頭は朱塗で雲の模様、鐔は、大小とも丸形、鉄地で、刀の方は竜と雷を高彫りや平象嵌、脇指の方は紅葉や秋草文を車透かしや平象嵌であらわしている。いかにも戦国武将の好みがあらわれた華麗な刀装で、まったくの生ぶ拵であり、貴重な作品である。
前田利家が桶狭間の役に佩用したと伝え、中身の刀は「光忠上ル」と刻まれ、脇指は備前の秀景の作という添え書きがあり、尾山神社創設の際に前田家より寄進されたものである。
昭和60年「石川県の文化財」より
鎌倉時代
白山比咩神社 白山市三宮町2-105
前輪 高さ 27.5センチ 馬夾 32.7センチ
後輪 高さ 29.7センチ 馬夾 31.2センチ
重要文化財 昭和25年8月29日指定
この鞍は、木曾義仲に味方して平家の軍と戦った富樫氏の一族である、林六郎光明が戦勝祈願のために献納したものと伝えられる。
螺鈿とは貝殻(アワビ貝、夜光貝等)を平らにして板状とし、模様を切り抜き、唐木や漆器面に嵌め込んで加飾するものである。
我が国では奈良時代から盛んに用いられたが、平安から鎌倉時代にかけて一層その技が進歩し、鎌倉武将の質実剛健な気風も受けて、漆塗に螺鈿のみで加飾した鞍が造られた。
この鞍もその時代に造られた幾つかの螺鈿名鞍の一つで、黒漆地に牡丹の花を文様化した宝相華の折枝を散らしてあり、黒漆地に盛り上がった螺鈿の線が美しい。この様な不整形の曲面への螺鈿は至難の業であるが、実に精巧に細工してあり、豊婉で力強い名鞍である。
昭和60年「石川県の文化財」より
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