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更新日:2010年4月7日

対談・寄稿文 - 「生活保護費の在り方」について地方負担引上げに根拠なし

先月15日、私が全国知事会を代表して参加している「生活保護費に関する国と地方の協議の場」(以下「協議会」)で、重要なひとつの報告が行われた。それは、協議会の学識委員を中心に国と地方の担当職員が保護率の上昇やその地域間較差の原因を分析する共同作業の中間まとめである。

まだ各論部分は両論併記であるが、冒頭の総論部分が国と地方の共通認識となっており、そこには次のように記されている。「経済・雇用情勢や社会的要因は保護率・保護率の上昇や保護率の地域間較差に極めて大きな影響を及ぼしている。」あまりにも当たり前の記述のようであるが、国側がこれを認めたことの持つ意味は極めて大きいと思っている。

従来、国は生活保護費の地方負担引上げの理由として、保護率の地域間較差は地方の実施体制の違いに由来するとの仮説を主張している。これに対し私どもは一貫して、原因は社会・経済的要因であると主張し、地方負担引上げは三位一体の改革に名を借りた負担転嫁に他ならないと反対してきた。協議会での最大の争点は「保護率の地域間較差の原因が何なのか」であるといっても過言ではない。そうした中で我々の主張が共通認識として記述されたのである。

この資料ではさらに決定的なデータが示されている。協議会の委員であり、共同作業にも参加している木村陽子地方財政審議会委員監修のもと、本県統計情報室が独自に分析(重回帰分析)した結果、詳細は紙面の都合で省略するが、保護率の地域間較差は特定の四つの社会・経済的要因(個人所得、高齢世帯、女性離別率、生活保護捕捉率に関連したもの)によって95パーセントまで説明できることが分かったのである。木村先生によれば、社会科学の世界において、ここまで説明力のある分析結果は珍しいというほどほぼ完璧に分析できたデータである。これらの分析作業によって、国が主張する地方負担引上げは根拠を失ったのではないか。それでも横車を押すようなことがあれば指定都市市長会が主張しているように、知事会としても事務返上を真剣に考えなければならないのかもしれない。

しかし、ここにきて国の主張にも変化が現れてきたことに注意が必要である。同じ先月15日に国から提出された資料に、生活扶助の級地指定や住宅扶助における生活保護基準の設定に地方の裁量を設けることや医療扶助を国民皆保険の中で対応することなどについて「どう考えるか」という記述がされたということである。このことは生活保護費の地方負担引上げの代案を「芽だし」していると考えるのが自然と思う。まさに「衣の下から鎧」が見えるとはこのことだ。

生活保護制度は、いうまでもなく憲法25条に基づき国が国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する「ナショナルミニマム」の制度である。その根幹である基準設定の役割を国が放棄することはあり得ないと考える。また、医療扶助を国民健康保険で対応するという考え方自体は以前から存在するものの、そのことといわゆる三位一体の改革の議論とは異質の問題であり、これを本格的に議論するのであれば社会保障審議会などより適切な場において慎重に検討されるべきであろう。

この協議会は生活保護費負担金の見直しに関する昨年11月の政府与党合意に端を発するものであり、そもそもこの代案なるものは政府与党合意に反する。ならばもはや税源移譲の対象を生活保護制度に限定する必要はないのではないか。

地方六団体は今年7月に「国庫補助負担金等に関する改革案(2)」をとりまとめ、全体三兆円規模の見直しのうち平成18年度に削減する残り六千億円の候補として具体的に1兆円分を提示した。国は真摯な態度で地方の提案に耳を傾け、再度この1兆円のリストの中から適切な削減項目を示してほしい。この1兆円のリストには社会保障分野は4,600億円余りを計上しているが、少子化対策など地方の創意工夫によってそれぞれ独自性を発揮できる分野はあるはずで、真剣に地方分権を考えるならば、いろんな知恵は出てくると思う。

 

(自治日報  2005年11月号)

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