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更新日:2010年4月7日

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対談・寄稿文 - 知事インタビュー - 能登半島地震からの復興と地方分権について

能登半島地震の災害復旧と復興にどのように取り組んでいますか。

石川県で震度6強を経験したのは初めてでした。犠牲者が少なかったことは不幸中の幸いでしたが、家屋などの全壊と半壊は合わせて2000戸以上もあり現在も調査中です。まず心がけたことは被災者のケア体制です。避難所の被災者は最大で約2600人になりましたが、1カ月後には全員仮設住宅に移っていただけるようにしました。約半数がお年寄りで独り暮らしの方もおられるため、孤独死を出さないように保健師が巡回訪問して健康状態などを把握するようにしました。

ダメージを受けた地場産業の復興が課題です。輪島塗は日本を代表する伝統工芸で、地酒の蔵元も地域経済には重要です。私は1件たりとも廃業者を出してはならないとの決意で「被災中小企業復興支援基金」を創設しました。国8割、県2割の出資比率で300億円の基金を作り5年間の運用益20数億円を使って輪島塗、酒造業、商店街を中心とした地場産業の復興を支援します。これまで設けられた中小企業の復興基金事業では利子補給だけでしたが、補助金を出すのは初めてです。また、融資期間についても、設備資金は最大15年間、運転資金は過去の債務の借り換えも合わせて最大10年間を認めてもらうなど通常の金融の世界では難しい措置も実現させました。

過疎地の復興は容易ではないですね。

基幹産業である観光の復活がカギです。年間約700万人が訪れていた観光客の足が遠のき、なかなか元に戻りません。道路は1カ月で全面復旧し旅館も営業再開に漕ぎ着けたのにキャンセルが続いていました。被災者が不自由な暮らしをしている時に温泉で楽しく飲食することをはばかられるという日本人特有の遠慮があるのではないでしょうか。一種の風評被害です。ぜひ強調しておきたいのですが、それは全く逆で今こそ能登に遊びにきていただき楽しんでいってもらいたいのです。それが被災者を激励するとともに復興につながるのです。

被災者生活再建支援法は使途制限などの見直しを求める声が高まっています。

被災者に生活関連と居住関連合わせて最高300万円を支給する制度ですが、これが非常に使い勝手が悪いのです。年齢や所得制限があり、しかも対象は全壊と大規模半壊だけで、住宅の建設費や補修費への支出が認められないなど使途が限られています。申請がしづらく、しても対象とならないという不満の声が出ています。能登半島地震でも600戸以上が全壊しましたが国の制度の対象となったのはほんのわずかです。被災者はわらをもすがりたい思いでいる時に、細かく制限するのでは制度は作っても魂が入っていない典型ですね。今回は県と関係市町が独自に家屋全壊の場合は100万円、大規模半壊・半壊の場合は50万円の上乗せ・拡大をし、独自部分は、年齢や所得制限、使途制限を撤廃しました。

ふるさと納税が話題になっています。背景には税収の地域間格差が広がっている現状がありますね。

納税者が納税意識を持って納税先を選ぶことは意義があると思います。しかし、ふるさと納税だけでは税源偏在や税収格差を是正できるものではありません。都道府県税収15兆円のうち、東京、大阪、神奈川、愛知の4都府県で6兆円、残り43道府県で9兆円ですから、税収面ではもともと大きな格差があるのです。ふるさと納税に検討の価値はありますが、税源移譲や税源偏在の是正などの本質論を忘れてはなりません。

国から地方への税源移譲が格差を拡大するともいわれます。

三位一体の改革では、約3兆円の税源移譲と併せて国庫補助金が削減されました。各県ごとの補助金削減額と税源移譲額のギャップは、地方交付税で対応されることになっていたのですが、地方交付税も大幅にカットされ、ギャップがきちんと手当されていないという不満が募っています。今、地方側から国との税源配分を5対5にするよう要望しており、それには新たに6兆円程度の税源移譲が必要です。前回は、「税源移譲」という実を取ることを優先し、「税源偏在」の議論は脇へ置きましたが、今回はギャップも拡大し、地方交付税だけで対応することは難しくなります。税源移譲は、税源偏在と一体的な議論が必要で、偏在性の少ない地方消費税の拡大や新たな調整システムの議論を深めていくことが重要です。

地方分権改革推進委員会は「地方政府」確立を提唱しました。

「地方政府」は、地方の自己決定、自己責任の領域を広げていこうといういい言葉だと思います。また、条例による法令の「上書き権」も地方のニーズに応えていくことであり評価します。政府の地方分権改革推進本部長である安倍晋三首相には、地方の意見を尊重し、真の分権改革の実現にリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

分権の先に道州制がありますが。

結果として、地方分権の行き着く先は道州制にたどり着くのかもしれませんが、県民の中で、関心を持っている方はほとんどいませんし、世論も盛り上がっていませんね。また、区割り論に皆さんの関心が集まりがちですが、市町村合併の延長戦上に道州制があるわけではありません。道州制は、この国のかたちを変えるものであり、根本的な議論をまず行うことが必要です。

 

(『毎日フォーラム』2007年8月号)

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