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用具:昭和前半、関係資料:明治~昭和前半
加賀市(加賀市片野鴨池観察館(加賀市片野町子2-1)ほか)
〔捕獲網〕
〔加賀国江沼郡補鴨沿革略〕
県指定有形民俗文化財 昭和44年3月19日指定、令和7年12月2日追加指定
坂網猟は加賀市北部の丘陵地にある片野鴨池で行われている古式の鴨猟である。片野鴨池は国内有数の水鳥の渡来地であり、越冬のために飛来した鴨類は夕方に採餌のために池を飛び立ち、早朝に戻ってくる生態を示すが、猟師が池周囲の小高い丘陵上にあって坂場と呼ぶ猟場に待機し、飛んで来る鴨を狙って自身が製作した坂網と呼ぶ柄の付いた枠網を投げ上げて捕獲するものであり、伝統的な狩猟技術として重要である。
記録によれば、坂網猟の歴史は江戸時代まで遡り、大聖寺藩の藩士の鍛錬として奨励され、猟場も藩で管理されていたという。明治に入り藩が廃されると、江沼郡捕鴨組合が創立され、規約や維持方法が定められ、猟師は組合員として猟を行うようになり、戦後の大聖寺捕鴨猟区協同組合への改組等を経て現在に至る。
坂網猟の用具は、長さ約3.7m・幅約1.6mの大きさで、逆三角形の竹の網枠、絹糸の網、草槙の柄が組み合わさる捕獲網、網を枠に取り付ける竹皮に漆塗りの部品、装束として暗色の上着と頭巾が保存されている。
今回、これら用具には他に、猟場をくじ引きで決める際に使用された入札箱、くじに捺された猟場名の判子をおさめた印箱が存在しており、さらに、坂網猟の来歴や伝承を記した明治期の文献、明治から戦後にかけての行政への申請や土地の借用の文書が、坂網猟を後世に伝える関係資料として貴重であり、一体的に保存する必要があることから、追加して指定し、名称を「坂網猟の用具及び関係資料」と改める。
これらの用具及び関係資料は、地域の生産、生業を理解する上で欠くことができない資料として貴重であり、有形民俗文化財に指定し、その保存を図るものである。
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