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更新日:2018年1月31日

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紙本墨画猿猴図屏風  長谷川等伯筆・紙本墨画松竹図屏風  長谷川等伯筆

 紙本墨画猿猴図屏風  長谷川等伯筆 (1隻)

桃山時代  
石川県七尾美術館  七尾市小丸山台1-1
縦162.4センチ  横241.2センチ


k-28

県指定文化財  平成30年1月30日指定 

本図は、右扇の右端下部から大きな樹木の幹が2手に分かれ、その内1本は画面中央を横切って左扇へ伸び、樹木の根元周辺には岩と笹が配されている。右扇の樹木の上には猿が1匹座り、欠損しているものの、右側には子猿の小さな手が確認され、肩の上に子猿を乗せた母猿であったことが分かる。一方、左扇には枯木にぶら下がる父猿らしき猿が描かれている。等伯は中国の禅僧画家・牧谿が描いた猿猴図に学んで、同画題を好んで描いており、等伯が描いた他の猿猴図作品とも近似している。
  猿の毛描きについて、本図では縮れたような独特の描き方であり、他作品と異なる部分があるが、これはあえて描き分けたものと解釈される。足の立体感は的確に描写され、顔の濃墨の施し方、淡墨の上から鋭くかつ丁寧に描き込んだ毛、笹の勢いあるタッチや右端中頃の濃墨の樹葉などは、まさに等伯の表現とされる。また、猿以外の描写では、特に枝先をあらわす勢いのある墨線の筆法に優れている。
  制作年代については、淡墨を基本とした柔らかいタッチの50歳代前半頃と、線自体に重きを置き、濃墨を多用した豪快な筆さばきの60歳代前半頃との中間期、50歳代後半頃の筆と思われる。
  形状については、画面の構図や、右扇と左扇の各中心に縦の変色が見られることから、現状は6曲屏風の4扇分で、以前は左右にもう1扇ずつあったと考えられるが、描いた当初は、さらに大きな寺院内壁貼付画の一部だった可能性もある。
  以上のことから、本作品は欠損があるものの平成27年に修復されており、水墨表現の熟練と等伯らしい動物表現が見られ、能登が生んだ桃山時代を代表する画家・長谷川等伯の全盛期である、50歳代から60歳代にかけての制作過程を知るうえで貴重な作品である。このように、文化財的価値は高く、県指定有形文化財に指定し、その保存を図ることが必要である。

紙本墨画松竹図屏風  長谷川等伯筆 (1隻)

桃山時代  
石川県七尾美術館  七尾市小丸山台1-1
縦162.4センチ  横241.2センチ

k-28-2

県指定文化財  平成30年1月30日指定

 
本図は、左扇の左端から右上方に向って大きな松樹が描かれ、右扇の右端まで緩やかな曲線を描いて枝を伸ばしている。下部には土坡が描かれ、左扇の松樹の後方から竹が茂り右扇へと続き、濃墨を効かせながら淡墨と描き分け、巧みに遠近感を表している。
  老松の樹皮の表現や、竹の節と節の間の稈に横に2筆濃墨を入れる独特の表現、墨の濃淡によって風になびく葉叢を巧みに表現した部分は、他の等伯作品の表現と極めて近い。なかでも本図は、メリハリの利いた墨の濃淡表現や、速筆で一気に描いた迷いのない幹の線、墨の艶や調子、筆法など、等伯の代表作である国宝「松林図屏風」へ繋がる表現であり、注目に値する。
  制作年代については、墨色や筆の勢いなどから、「猿猴図屏風」と同じく50歳代後半頃の制作と思われる。
  形状については、右扇と左扇の各中心に縦の変色が見られることから、現状は6曲屏風の4扇分で、以前は左右にもう1扇ずつあったと考えられるが、描いた当初は、さらに大きな寺院内壁貼付画の一部という可能性もある。
  以上のことから、本作品は若干傷みがあるものの平成27年に修復され、樹木による空間表現も優れており、能登が生んだ桃山時代を代表する画家・長谷川等伯の全盛期である、50歳代から60歳代にかけての優品として、また、制作過程を知るうえでも貴重な作品である。このように、文化財的価値は高く、有形文化財に指定し、その保存を図ることが必要である。 

 

お問い合わせ

所属課:教育委員会文化財課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1841

ファクス番号:076-225-1843

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