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更新日:2010年4月7日

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対談・寄稿文 - 新たな子育て支援~企業との協同~

今年は、5年に一度の国勢調査の年だが、石川県にとっては大きな転機の年になりそうである。県民でも知る人は少ないが、石川県は、日本海側で唯一、戦後一貫して人口が増加してきた県である。しかし、今年の国勢調査では、本県も人口減少に転ずることが予想されているからだ。

本県は、働く女性が多く、早くから保育サービスの充実に取り組み、延長保育や休日保育、乳児保育など多様なニーズに対応して、県独自の助成制度を国に先駆けて創設してきた。また、保育所の普及率も全国第一位であり、お陰様で、「子ども施策先進県」との評価をいただいている。

それでも、石川県の出生率は、全国平均より高いとはいえ低下傾向が続いている。人口が減少するという転機を迎えるなか、ここは、これまでの施策を再検証し、「子ども施策先進県」の名に恥じない、もう一段上の対策を立てる必要があると考え、本年3月に「いしかわエンゼルプラン2005」を策定した。

今回のプランで私が一番重視したことは、従来若い夫婦の問題と捉えられてきた子育ての問題を、地域社会全体の問題として捉え直し、それぞれの立場でできることに積極的に取り組む、そのために県として何をすべきか、ということであった。なかでも、最も腐心した課題が、民間企業の皆さんにいかにして主体的に子育て支援に参画してもらうかということであった。

次世代育成支援対策推進法では、初めて、子育て支援について民間企業の役割が明確に位置づけられた。子育てを地域社会全体で支援するという点においては、一歩前進と評価するものの腰が引けているといわざるを得ない。なぜなら、行動計画の策定が義務づけられたのは大企業だけであり、圧倒的多数を占める中小企業については努力義務にとどまっている。また、せっかく策定された行動計画の内容も、公表されないばかりか、国にも提出する必要がないということでは、県が企業の取り組みを支援しようにも現状さえ掴めないからである。

県内企業の経営者の皆さんからは、「新しい法律が出来たので、何かしなければ」という声を数多く聞いた。法律で求められているからといって、義務的に企業の皆さんに子育て支援へ参画していただいても実効が上がらない。まずは、少子化の問題を理解していただき、自ら積極的に参画してもらえるような、そういうきっかけを作っていくことが大事ではないか、という思いに至ったのである。

今、企業の環境ISOの取得が広く普及している。しかし、10年ほど前までは、これを取得しようとする企業は極めてまれだった。環境対策に資金を投じるのは無駄で、もっと別の直接収益につながることに投資すべきというのが一般的な企業の意識だったと思う。これだけ普及したのは、環境問題に取り組む企業が社会的に高く評価されるようになったからだ。子育て支援も同じように、一見無駄なように思えるが、これに取り組むことが企業の社会的な評価を高める、そういう仕組みを作っていかなければならないと思う。

こうした思いで、新たに取り組みを始めたのが、「プレミアム・パスポート事業」という全国初の試みである。これは、子どもさんが3人以上いる世帯に対して「プレミアム・パスポート」というカードを発行し、この事業に協賛する企業の店舗などで、このカードを提示すると、その店舗ごとに、あらかじめ設定した割引や特典が受けられるというものである。

現在、来年1月のスタートに向けて準備を進めており、協賛企業の数は、6月の募集開始から、既に約250店舗にのぼっている。初年度は300店舗を見込んでいるので今のところ予想を超えるペースで、とても感謝している。そして、県でも動物園や水族館など子どもさんが多く利用する施設について割引制度を導入することとしている。

そして、嬉しいことに、「プレミアム・パスポート事業」のスタートを先取りして積極的に取り組む企業が現れている。能登地域に本店を置く信用金庫では、子どもが3人以上いる世帯に対して定期預金の金利上乗せなどを実施し成果をあげている。また、同じ能登地域の温泉旅館協同組合は、傘下の全旅館で、この夏休みから、3人目以降のお子さんの宿泊を無料にする。さらに、金沢の建設会社でも、この春から、子どもが3人以上いる世帯の新築・リフォームの請負代金を3%割り引くサービスを開始した。

新しいプランでは、このほかにも、策定した行動計画を積極的にアピールしたい企業を募り、行動計画を県のホームページに登載して広くPRし、企業のイメージアップのお手伝いをする。さらに、子育て支援に積極的に取り組む企業に対しては知事顕彰をさせていただくことも盛り込んだ。

これまでの子育て支援は行政や保育所が担ってきたが、これからは企業もその一翼に加わってもらわなければならない。企業同士がそれぞれ子育て支援を競い合うことで、子育て家庭にメリットをもたらし、そして、企業にとっても社会的に評価されるなどのメリットを得られる、そういう社会環境を実現したい。そのための第一歩を踏み出した。

 

(都道府県展望  2005年8月号)

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