第3期事業計画

平成14年度から着手した第1期事業の10年間は、金沢城の史実を明らかにするための基礎的な調査研究として、絵図・文献、建造物、埋蔵文化財、伝統技術（石垣）の4つの分野において、金沢城の変遷と構造に関する課題にそれぞれ取り組み、城絵図の分類・編年、金沢東照宮（尾﨑神社）の調査、初期金沢城の調査、城内石垣や戸室石切丁場の調査等を実施した。平成24年度からの第2期事業10年間では、基礎的な調査研究を継続しつつ、各分野を結集した総合的研究に取り組み、城郭庭園や、石垣の保存管理技術等の総合研究等を行った。

県ではこの間、調査研究事業とともに、河北門や橋爪門、鼠多門等の建造物、いもり堀や玉泉院丸庭園等の整備を行ってきたが、その総仕上げとして、令和3年度より二ノ丸御殿を対象とし、御殿表向主要部の復元整備工事に着手した。

金沢城調査研究所では、上記の動向を踏まえ、令和4年度からの第3期事業では、二ノ丸御殿に重点を置いた調査研究を深めることとし、「御殿空間の総合研究」では、表向・御居間廻り・奥向の建物群はもとより、その周辺に配置された庭園や馬場・石垣等を含めた二ノ丸全体を包括的に把握し、空間構成や意匠、使われ方等を明らかにする調査研究に取り組む。また石垣を対象とした調査研究として、江戸期における道具製作や、使い方・石加工・石積に至る過程を再現し、当時の技術に迫る「石垣構築技術の復元的研究」を進めるとともに、第2期より継続する「金沢城編年史料の編纂」等を行う。併せてこれまで蓄積してきた印刷物や絵図・石垣・出土遺物の写真・画像等のデータをインターネット経由で公開するなど、情報発信を一層促進する。