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まず、口頭で二つ報告します。
来たる令和8年1月1日、ご遺族約250名をはじめ、政府関係者、県議会、県内市町、県選出国会議員の皆様などご参列のもと、昨年度に引き続き、日本航空学園能登空港キャンパス体育館で追悼式を開催します。当日は、ご遺族代表をはじめ、ご来賓として、あかま二郎防災担当大臣および岸田文雄元内閣総理大臣からお言葉を頂戴し、発災時刻に黙とうを実施する予定です。
次に、インフルエンザの状況について、県民の皆様に注意喚起いたします。現在、県ではインフルエンザ警報を発令中です。直近1週間における定点医療機関1か所当たりの患者報告数は37.49人です。これから年末年始の帰省、人の流れが活発になる時期を迎えます。新型コロナウイルスなど、他の感染症の流行も懸念されます。県民の皆様には、改めて、手洗い、換気、咳エチケットの実施、こうした感染予防に努めていただきたいと思います。
スライド1をご覧ください。シリーズで取り組んでまいりました、震災と豪雨からのインフラの復旧状況についての総括報告として、今日は「通信」についてご報告をいたします。
スライド2をご覧ください。携帯基地局の復旧状況です。令和6年能登半島地震及び令和6年奥能登豪雨では、多くの携帯基地局が停波しました。能登半島地震では、能登6市町の通信可能エリアが3割まで低下しました。奥能登豪雨では、奥能登4市町の30%の基地局が停波をいたしましたが、関係の皆様のご尽力をいただき、速やかな復旧が図られ、現在では、概ね発災前の状況に回復をしています。また、地震及び豪雨により、現在も基地局が停波しておりまして、震災以前にも増して携帯電話がつながりにくい「のと里山海道」の別所岳付近については、県と携帯電話事業者と国との情報交換の場を設けて、新たな基地局の整備に向けて、具体的な調整を開始しています。仮設住宅での通信環境の確保に向けては、レピータという電波の増幅器の貸し出しによって携帯電話の通信環境の改善、また、光回線や携帯電話網による固定電話サービスの提供等、様々な対応を実施しております。
スライド3をご覧ください。スターリンクの設置です。能登半島地震及び奥能登豪雨では、KDDIをはじめとする携帯電話事業者4者が、県からの要請に応え、衛星通信機器であるスターリンクを電波の届きにくい避難所等に貸与・設置し、通信環境の確保に貢献をしていただきました。具体的に申し上げます。能登半島地震では、KDDIの606台を筆頭に合計664台、また、能登豪雨では合計55台と、過去の災害では例のない規模で対応いただきました。また、奥能登豪雨の際、能登半島地震での教訓を踏まえ、設置に向けた調整を県が主導することで、発災からわずか3日という短期間で設置を完了できました。
スライド4をご覧ください。デジタルライフラインについてご報告いたします。能登半島地震や奥能登豪雨で得られた通信途絶への対応や災害時のデジタル技術の活用に向けた教訓を踏まえ、平時の利用を有事へつなぐフェーズフリーな取り組みを、「奥能登版デジタルライフライン」として位置づけて、官民連携で推進することとしております。具体的には、通信の途絶期間の短縮に向けた「地域デジタル拠点の整備」や、被災者の所在の把握に向けた「スマートフォンを活用した住民情報の把握」、また、災害時のドローンの活用に向けた「ドローンのフェーズフリーでの活用モデルの実証」などに取り組んでおります。
スライド5をご覧ください。奥能登版デジタルライフライン2として、地域デジタル拠点整備について申し上げます。災害対応を通じて、通信は道路等と同様に重要なインフラであると痛感しました。県として、その課題感を共有する奥能登4市町とともに、孤立の恐れのある公民館等の地域拠点14カ所について、スターリンク等を常設し、平時から有事までフェーズフリーで情報発信や防災対応が可能な「奥能登デジタル地域拠点」として機能強化に取り組んでいます。順次、整備を進めており、来年1月の整備完了を予定しています。ちなみに12月完了したのが能登町と輪島市、1月に完了予定は珠洲市と穴水町です。さらに、NTTドコモが、包括連携協定に基づいて、全国で唯一、能登のドコモショップ全7店舗に、スターリンクの備蓄を完了させております。これは今年の7月に完了しております。官民を挙げて通信拠点機能を強化してまいります。
スライド6をご覧ください。奥能登版デジタルライフラインの3点目、「のとピッと」2月中旬実証開始です。国の実証事業として、県とNTTドコモビジネスは能登6市町を対象に、平時に外出を促す仕組みを、有事における被災者情報の把握につなげる新たなサービス、「のとピッと」を2月中旬から実証することといたしました。能登の方々の孤立防止や健康増進を図るため、外出先でのスマートフォンによるQRコードの読み取りやウォーキング等の活動に応じてデジタル地域ポイントを付与し、いしかわトチポや地域限定のペイペイに交換いただくこととしております。多くの能登の皆様に参加いただき、日常からご活用いただきたいと思います。
スライド7をご覧ください。奥能登版デジタルライフライン4、外出促進スポット「のとピッとスポット」の募集です。「のとピッと」の取り組みのために、QRコードを設置する「のとピッとスポット」の募集を本日、12月25日より開始します。対象となる施設の要件は、能登の皆様が集まる場所という一点だけで、官民問わず幅広く募集をさせていただきます。費用負担なく設置いただけます。能登の皆さまの外出や交流促進といった観点から、ぜひご応募のうえ、ご協力いただきたいと思います。
スライド8をご覧ください。奥能登版デジタルライフラインの5点目、ドローンの活用について申し上げます。ドローンの活用については、包括連携協定を締結したKDDIと県が、今年11月より、遠隔運航によるドローンの平時からの活用に向けて、具体の実証を開始いたしました。1月以降、ユースケース毎の実証を本格化していきたいと考えています。ドローンの発着地点となるドローンポートについては、KDDIは輪島市・七尾市の既設4カ所に加え、珠洲市からの要望を受けて、今月、珠洲市内2カ所にドローンポートを整備いたしました。各市町や民間事業者のニーズを踏まえて、今年度中には能登で15カ所のドローンポートの設置を予定しています。
今回の「通信」をもって、インフラの復旧・復興の状況に関する報告は終わりますが、過去の報告内容については、県の公式YouTubeチャンネルでダイジェスト版を配信しております。例示として、道路の復旧・復興の状況のダイジェスト動画を放映させていただきます。是非、こちらもご覧いただきたいと存じます。
やはり、こうしたインフラの復旧・復興、通信も含めまして、見える化をしていきたい。まだですねとか、全然駄目という言い方もできますし、なるほど、ここまで計画的にやっているのか。という見方もできるかと思います。当然、報道の皆さんのどういう風に報道されるかについて、私が言及するつもりは全くありませんが、事実として、能登全体のインフラの復興について、今、この位置にあると、今後も、当然、例の入札不調の問題とか、価格の問題とか課題があるのは事実であります。こういったことも含めて、毎週のこうした定例の記者会見などで皆さんのご指摘にもしっかりとお答えをしていきたいと思います。
スライド9をご覧ください。能登半島地震・奥能登豪雨におけるこれまでの国からの支援、総括的に説明します。発災直後から、当時の岸田総理大臣、石破総理大臣への要望をはじめとして、様々な機会を捉え、総理や担当大臣と直接協議をしてまいりました。これまで国からは、人的支援に加え、復興基金や能登創造的復興支援交付金の創設をはじめとした特段の財政支援、多大な支援をいただいております。また、今月7日には、能登を視察された高市総理に対して、復興の加速化に向けた手厚い支援の継続を要望いたしました。今朝も高市総理に直接、お会いをしてまいりました。総理からは先般のいただいた要望は全て対応しました。と大変力強いご指摘、ご回答をいただいたところであります。
スライド10をご覧ください。国からの支援、人的支援についてご報告いたします。国からの人的支援については、地震発生直後は、県庁内に当時の古賀篤内閣府副大臣をトップとする、政府の現地対策本部が設置されました。各省庁の幹部級職員も含め、最大300人体制の「ミニ霞が関」によって、スピード感を持って対応していただきました。また、国による権限代行を含め、道路・河川・港湾や農地等の復旧、公費解体への支援、幅広い分野にわたり、これまで多くの人的支援をいただいております。
スライド11をご覧ください。国の権限代行による復旧工事について申し上げます。石川県の要請を踏まえ、国の権限代行や直轄事業により、道路、河川、漁港等の公共土木施設や農林水産関連施設等の工事を進めていただいており、復旧が大きく前進しております。さすがにこの大規模な工事は県だけでは対応できませんでしたが、国の権限代行で、非常にスピーディに取り組んでいただいていると思っております。
スライド12をご覧ください。お金の面です。財政支援として、復興基金など申し上げます。復興基金は、国の制度の隙間を埋める地方独自の施策を、複数年度にわたって弾力的に実施する上で重要な財源となります。これを最大限かつ効果的に活用し、被災地のニーズにきめ細かく対応してまいります。復興基金の額は、これまでの大規模災害と同様に、自治体の標準財政規模を基本として算定した320億円に、これが石川県の標準財政規模を基本とした額、320億円でありました。ここに、高齢化率が高く、財政力が低い被災地の実情を鑑みて、前例にとらわれない加算をしていただき、総額540億円規模で創設をしました。熊本地震での復興基金では、基金規模が約523億円でありましたから、熊本地震を上回る基金の規模となりました。基金メニューの策定については、熊本地震での復興基金を参考としつつ、被災市町との意見交換を踏まえ、基本メニューを決定いたしました。基本メニューの拡充内容の主なものですが、住まい再建に係る入居、転居費用の支援などについては、大規模半壊から半壊以上に対象を拡充いたしました。また、被災した宅地の復旧工事等に係る支援については、補助対象経費の上限額を1,200万円まで引きあげました。また、仮設住宅での新たなコミュニティにおいて、本県独自に自治組織の立ち上げ経費を支援するとともに、熊本と同様、活動経費に対する支援も実施しています。市町から特に要望のありました地域コミュニティの維持に必要不可欠な施設の再建支援では、補助率を4分の3まで拡充し、上限額を1,200万円まで引き上げました。国庫補助対象外の組合等による水道施設の災害復旧に係る経費については、補助率を2分の1から3分の2に引き上げていただきました。仮設商店街の整備支援では、中小機構補助金の補助対象外経費である地盤改良や借地費等への支援として、上限額を1,200万円まで引き上げいたしました。
スライド13をご覧ください。能登創造的復興支援交付金について申し上げます。令和7年2月末に使用決定された国の予備費において、能登の創造的復興に必要となる施策に幅広く活用できる自由度の高い交付金として、「能登創造的復興支援交付金」500億円を創設いただきました。これは、熊本地震などの過去の災害では創設されていません。石川県に対する特別な財政支援であります。この交付金の一部は、令和6年度の県事業に活用し、残余については、能登復興応援基金に積立てまして、今年度から複数年度にわたって県や市町の事業にそれぞれ250億円を活用いたします。県分としては、6月補正予算から、この交付金を活用して様々な事業を展開しています。恒久的な住まいの再建に向けた住宅の修繕支援のほか、能登半島絶景海道の魅力向上や、のと里山空港を活用した関係人口の拡大などに活用しています。市町分の主な事例を申し上げます。輪島市では「黒瓦の葺き替え等による修景整備」、珠洲市では「キリコ保管倉庫の修繕」、七尾市ほか5市町では「準半壊・一部損壊世帯への住宅修繕支援」など、各市町が実情に応じ、創意工夫のもと、創造的復興に向けた様々な取り組みを実施しております。
スライド14をご覧ください。住まいの再建について申し上げます。能登半島地震の特例的な措置として、高齢化が著しい社会的状況や半島という地理的制約など、能登地域の実情や特徴を踏まえ、能登6市町を対象に、「石川県地域福祉推進支援臨時特例給付金」が創設され、最大300万円となる住家被害を受けた世帯への支援が拡充されました。また、復興基金や能登創造的復興支援交付金を活用した石川県独自の制度として、新たに住宅ローンを組んだ世帯に対し、最大300万円を支援する「自宅再建利子助成給付金」や、被災した市町で自宅を再建する世帯に対して、新築・購入の場合は最大200万円、修繕の場合は最大100万円を支援する「能登創生住まい支援金」を市町と一体となって創設いたしました。こうした、国が予備費で創設した臨時特例給付金や能登創造的復興支援交付金を活用した能登創生住まい支援金は、過去の震災では例を見ない制度であります。被災者の皆様の恒久的な住まいの再建に向けた支援として活用いただいています。また、被災者生活再建支援金では、加算支援金の対象が中規模半壊以上となっていますが、国制度では支給対象外となっている半壊世帯について、県独自に市町と連携し、国制度の中規模半壊と同様の支援を行っています。
スライド15をご覧ください。雇用の維持です。国には、発災直後から、助成率の特例的な引き上げ等の措置を講じた「雇用調整助成金」を通じ、長期休業を余儀なくされている事業者を支援していただき、なりわいの再建に不可欠な被災地の雇用維持を後押ししていただきました。この雇用調整助成金の特例措置の支援期間は元来、令和6年末までの1年間でしたが、同助成金が切れると、貴重な人材の外部流出を招くので、能登のなりわい再建にとって大きなダメージとなる恐れがありました、そこで、地元とともに、国に対して延長することを繰り返し強く要望した結果、地震と豪雨災害の二重災害の特殊性ということを鑑みて、特例中の特例的な措置として、支援期間が1年延長されることとなりました。加えて、今年からは、在籍型出向を行う事業主を支援する「産業雇用安定助成金」の特例措置も創設されました。去る9月には、地元からの切実なご要望をいただきまして、私自ら、当時の福岡資麿厚生労働大臣に対して、国の雇用維持支援策の延長等について要望したところ、雇用調整助成金の再延長は実現しませんでしたが、産業雇用安定助成金については、支援期間の1年延長に加えて、部分出向に係る大幅な要件緩和、申請手続きの一部簡素化も実現いたしました。このように、国には被災地の雇用維持に関して極めて手厚い支援を講じていただいております。県としては、要件の緩和された産業雇用安定助成金を活用して、在籍型出向の更なる促進に取り組み、和倉温泉をはじめ、被災地域の雇用維持にしっかりと取り組んでまいります。
スライド16をご覧ください。大雨災害における競走馬の避難を含めた安全確保計画について申し上げます。8月の大雨による浸水で金沢競馬場の敷地全体が浸水し、レースの再開まで1カ月間を要した経験を活かして、今後の同様の被害を最小限に抑えるため、関係者や有識者の意見も参考に全国初となる「大雨災害時における競走馬の避難を含めた安全確保計画」を策定いたしました。計画には、競走馬の集団避難を計画することは現実的ではなく、馬主・調教師間で個々の競走馬の安全確保対応について事前に協議することのほか、主催者と関係者の役割分担、具体的な取組内容を規定しています。まず、主催者である県・金沢市の主な役割として、一、災害発生が懸念される段階で気象情報等を、関係者へ速やかに提供すること。二、避難させる競走馬の一時避難きゅう舎及び場外へ避難する場合の経路を設定すること。三、競走馬の避難先及び運送事業者をリスト化すること。四、排水ポンプ制御盤の上方移動、上の方に移動、これは水没を極力回避するためであります。また、現在、きゅう舎の建替えを順次実施しておりますが、今後新築するきゅう舎宿舎のかさ上げ、止水板や土のう袋を確保することとしました。また、関係者である馬主・調教師は、一、主催者から提供される気象情報等を、各所属員へ速やかに一斉連絡すること。二、競走馬を場外に避難させる場合は、避難先等リストも活用すること。三、きゅう舎における止水板・土のうの常備、餌や寝わらなど資器材を整理棚の上部で保管すること。といった役割分担といたしました。この計画は、全国初となる競走馬の避難を含めた安全確保計画であります。今後も関係者一丸となって金沢競馬場の競走馬やきゅう舎関係者の安全確保にしっかり取り組んでまいります。
スライド17をご覧ください。環境保全型農業の新たなラベルの決定です。農業を将来にわたって持続可能とするためには、化学肥料・農薬や温室効果ガスの削減など、環境負荷の低減を推進する「環境保全型農業」の取り組みが重要です。環境保全型農業で生産された農産物を選んで買っていただくためには、消費者の理解が不可欠であります。これまで化学肥料・農薬の削減程度に応じたラベルで表示していましたが、現行のラベルは、化学肥料等を削減しているということや、その削減程度も分からないといったご指摘もいただいたので、環境保全型農業の取り組みへの消費者の理解がより深まるよう、金沢美術工芸大学と連携し、化学肥料等の削減程度に加えて、新たに「温室効果ガスの削減程度」も分かる統一ラベルを制作しました。最終案の選定にありましては、11月20日~12月4日に実施した一般投票で2,257人の方に投票いただいた結果、5つの案の中から得票数が最も多かったデザインに決定しました。「環境を守る農家さん」と題したこのデザインは、金沢美術工芸大学2年生の山﨑陽葵さんの作品です。石川の環境や農業を守り続ける優しく頼もしい農家の姿をモチーフとしています。左の図は「化学肥料や農薬の削減程度」を表し、右の図は「化学肥料・農薬」と「温室効果ガス」の両方の削減程度を表すものとなっています。今回決定したラベルは、令和8年4月以降、農産物への貼付や、ポスターやのぼり旗などの販促資材に使用可能です。今後、新ラベルの使用について、農家に対しては説明会を実施し利用を促進するとともに、消費者に対しては、各種イベントを通じて周知をしてまいります。
私からは以上であります。
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