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12月補正予算案がまとまりましたので、その概要を説明させていただきます。
お手元の資料スライド1をご覧ください。今回の12月補正予算は、喫緊の課題である現下の物価高への対応や、能登半島地震・奥能登豪雨への対応に加えて、情勢変化や事業進捗を踏まえた対応や職員の給与改定を柱として編成いたしました。物価高への対応については、国においても、先週、経済対策が取りまとめられ、裏付けとなる補正予算が編成されることとなりますが、国の具体の動きを待つことなく、県独自の施策を今回の補正予算に盛り込んだところであります。国補正予算については、情報収集に努めております。今回の12月補正予算以外で対応が必要なものがあれば、これは令和8年度当初予算と一体で編成する令和7年度第1次2月補正予算で所要の予算を計上いたします。能登半島地震・奥能登豪雨への対応については、被災地の雇用維持支援や、「今行ける能登」への誘客促進のほか、道路や河川などのインフラの本復旧を切れ目なく進めるための債務負担行為を計上し、復旧・復興を加速させます。このほか、事業の進捗を踏まえて、「加賀料理」の国無形文化財登録を踏まえた対応なども盛り込んだほか、県人事委員会勧告を踏まえた給与改定に伴う職員費を予算計上いたしました。以下、主な施策について説明いたします。
1点目は「物価高への対応」であります。
スライド2、ご覧ください。先の6月補正予算においても、国予備費で措置された重点支援交付金を活用して、総額6億円の物価高対策を講じました。物価高が暮らしや地域経済に大きな影響を与えている中、更なる思い切った対策を講じることにしました。国補正予算での重点支援交付金は、現時点で交付金額の内示はありませんが、国の具体の対応を待つことなく、県民向けの暮らしの支援に約28億円、事業者支援に約12億円からなる、総額40億円規模の対策を盛り込みました。
スライド3、ご覧ください。まず、できるだけ多くの県民の皆さんに、できるだけ早く支援が行き届くように、これまでにない取り組みとして、県独自に、市町と連携をし、一般家庭向けの水道料金の基本料金の負担軽減を実施いたします。これは市町におけるシステム改修等の準備期間や、県内では約7割の世帯が2か月ごとの料金請求を受けている実態を考慮し、原則、来年2月と3月の2か月分の水道料金について、基本料金を無償化いたします。概ね一般家庭で使用される口径25mm以下の利用者を対象に、水道料金の請求額を減額する形で実施いたします。お住まいの市町や、使用されている口径によって支援額は異なりますが、世帯当たり平均で約2,800円、最も世帯数の多い金沢市では2,200円の負担軽減となります。具体の実施時期については、準備状況や請求時期などを踏まえ、それぞれの市町で判断されることになりますが、できる限り早期の実施をお願いします。
スライド4、ご覧ください。6月補正予算では、国の電気・ガス料金の補助に呼応して、7月から9月の3か月分について、県独自の施策として、LPガス料金の負担軽減、特別高圧契約や大量に電気を必要とする高圧契約の事業者の電気料金の負担軽減、医療・福祉施設や公衆浴場への施設類型に応じた支援、学校給食費の保護者負担の軽減を実施し、県民や事業者の負担軽減を図りました。今般、国の支援が来年1月から3月の3か月間、支援額を増額し再開される見込みとなったことから、県においても、国の支援水準に準じて、1月から3月の3か月分の支援を実施いたします。また、酒米価格の急激な上昇で経営に多大な影響が生じている酒造業に対して、6月補正予算では、令和6年産米の価格上昇分の一部を支援したところですが、令和7年産米の価格が更に上昇しております。地酒はですね、これは国無形文化財への登録が見込まれている加賀料理も含めた石川県の食文化に欠かせないものであり、被災した能登の酒蔵の復興を支援する必要もありますので、6月補正に引き続いて、価格上昇分の一部を支援することとします。
スライド5、ご覧ください。さらに、令和5年4月から令和6年2月にかけて実施した「省エネ家電・機器購入応援キャンペーン」を再度実施します。より省エネ性能が高い家電等への買い替え等を後押しし、電気料金などの家計負担の軽減と、家庭での省エネ化の推進を図ります。新生活の準備などで需要が高まる3月からキャンペーンを開始いたします。
スライド6、ご覧ください。事業者に向けては、令和4年度と5年度に実施した、競争力強化にも繋がる省エネに資する設備投資等の支援を再度実施し、省エネ・脱炭素化の取り組みを加速させます。省エネ診断を実施する県内企業を対象に、高効率な空調設備や、太陽光などの再エネ発電設備の導入のほか、今回新たに、建物の遮熱性や断熱性を高める工事にも支援を拡大し、製造現場に加えて、オフィスビルや事務所にも対象を拡大し、最大800万円を助成いたします。また、昨年度に引き続いて、地域交通事業者の車両台数に応じた支援、畜産農家への配合飼料価格の上昇分の一部補てんなども実施して、負担軽減を図ります。
大きな2点目として、能登半島地震・奥能登豪雨からの復旧・復興の加速についてであります。
スライド7、ご覧ください。地震・豪雨の被害により長期にわたり休業を余儀なくされている事業者の雇用維持は大きな課題です。特に、和倉温泉では、未だに多くの旅館が休業を余儀なくされ、再開までなお数年要する見込みであります。先般、七尾市長や和倉温泉旅館協同組合などから、切実な要望を受けて、私自ら、当時の福岡厚生労働大臣に、雇用調整助成金と産業雇用安定助成金の延長などを要望いたしました。この結果、雇用調整助成金の再延長は実現しませんでしたが、在籍型出向を行う事業主を支援する産業雇用安定助成金については、1年間の延長に加えて、大幅な要件緩和も実現いたしました。これを踏まえ、和倉温泉では、産業雇用安定助成金を活用した在籍型出向を進めるために、休業中の旅館従業員の雇用の受け皿会社、株式会社わくらすが今月中にも設立されることとなりました。一方、産業雇用安定助成金を活用するためには、出向先となる受け皿会社が設立から3か月以上経過している必要があります。このため、産雇金の活用が可能となるまでの、来年1月から3月までの当面の対応として、七尾市が各旅館に、休業従業員を活用する復興業務などを発注いたします。4月以降は、旅館が産雇金を活用して、従業員を雇用の受け皿会社へ在籍型出向させたうえで、市が受け皿会社に復興業務を発注するという緊急雇用事業を実施することといたしました。先日、七尾市長からも、こうした取り組みへの支援要請をいただいたところであります。県として必要な支援を行って、能登観光の拠点である和倉温泉の旅館の雇用維持を図り、1日も早い復興に繋げてまいります。
スライド8、ご覧ください。能登への観光誘客については、宿泊施設の本格的な受入再開にはまだ時間を要します一方、再開した宿泊施設や観光施設も徐々に増えてきています。この動きを腰折れさせないためにも、本格的な観光の復興に合わせ実施する国の復興応援割までの間をつなぐ需要喚起策を、県独自に実施することとしました。まとまった規模の誘客が期待できる団体旅行、8人以上を対象に、内灘町以北の能登12市町の震災学習プログラムや観光施設、飲食店、土産物店などを周遊する旅行商品の造成を支援いたします。バスなどの利用日数に応じて、1日あたり最大6万円を支援するとともに、金沢市以外に宿泊する場合は、1泊あたり3万円を上乗せ支援いたします。加えて、ツアー参加者には、能登の飲食店や土産物店などで使用できる電子クーポンを、能登周遊1日につき、これまでの県のクーポンとしては最大となる4,000円分、つまり、1泊2日の場合は8,000円分付与し、応援消費を促してまいります。実施にあたりましては、県観光連盟と連携して「今行ける能登」のホームページで、この誘客支援制度を情報発信し、効果的な誘客に繋げてまいります。今回は来年3月から夏休み前の7月までの期間で実施することとして、その後は、能登観光の復興状況などを見極めて、継続実施を検討してまいります。
次、液状化被害地域の土地境界再確定の加速化について申し上げます。液状化に伴う側方流動により大きな被害を受けた地域における土地境界の再確定については、9月に策定された土地境界再確定加速化プランに基づいて、全4市町で、境界再確定の前提となる地籍調査を前倒して実施し、当初3年から7年程度要すると見込まれた調査の、来年度中の完了を目指すこととされました。全4市町とは、金沢市、羽咋市、かほく市、内灘町であります。県としても、調査の前倒しに必要な予算を計上するなど、市町の取り組みを支援してまいります。道路や河川などのインフラの復旧については、債務負担行為、概ね工事期間は3年程度を見込んでおりますが、その分262億円計上し、切れ目ない工事発注によって、1日も早い本格復旧に着手いたします。
この他のものとして、情勢変化や事業進捗を踏まえた対応について申し上げます。
スライド9、ご覧ください。先月、国の文化審議会が、加賀料理を国無形文化財へ登録するよう答申し、年内に答申通り登録される見通しとなりました。県では、9月補正予算予算に計上し、加賀料理技術保存会と一体となり、加賀料理を次代に継承するため、若手料理人の確保・育成、そして魅力発信に取り組んでいます。今般の登録される見通しをきっかけとして、総合芸術である加賀料理の理解促進と誘客促進に向けて、更なる魅力発信に取り組んでまいります。具体的には、来年1月に開催する県内向けの記念フォーラムに加えて、今回新たに、県外向けの情報発信として、富裕層向けの雑誌に特集記事を掲載いたします。また、加賀料理と芸妓の舞などの文化体験を組み合わせた加賀料理をめぐる会の開催や、加賀料理を活用した旅行商品の造成支援によって、県内外の方々に加賀料理の魅力を体感できる機会を創出することとしました。
スライド10、ご覧ください。小松特別支援学校の児童生徒数増加を踏まえ、寺井高校の敷地内に整備する新たな特別支援学校については、基本設計に着手することとしました。これは、いしかわ特別支援学校に続いて、インクルーシブ教育を実践する学校として、特別支援学校の生徒と寺井高校の生徒が交流できる地域交流室や陶芸実習室を設置するなど、学校整備を進めて、令和11年4月の開校を目指します。
スライド11をご覧ください。近年、カスタマーハラスメントにより、労働者の心身の不調や業務に支障をきたす事例が多く発生し、社会問題化しています。来年10月に改正法が施行される予定であり、企業には、具体の対策が求められることになりますので、先般の連合石川からの要請も踏まえて、速やかに県内におけるカスハラの実態を調査するとともに、石川労働局とも連携して、県内企業への周知啓発に取り組みます。
次に、職員の給与改定については、先般、月例給及び期末勤勉手当が引き上げとなります。この給与改定率プラス3.10%、期末勤勉手当プラス0.05月、これを内容とする人事委員会勧告をいただいております。プラス3.10%の改定率は、いわゆるバブル期の平成3年、この時はプラス3.71%、この時以来、34年ぶりの高水準となります。これを勧告どおり実施します。特別職や議員の期末手当についても0.05月プラスの引き上げを行うこととした。また、教員の給与について、今年6月の、いわゆる給特法の改正を踏まえて、給料に上乗せされる教職調整額を、来年1月から1%引き上げて、5%とします。今後も、暦年ごとに1%ずつ、令和13年には、10%まで引き上げます。
以上が今回の補正予算の概要です。一般会計補正予算額は88億5,800万円余、このうち、物価高への対応は、40億1,200万円余、能登半島地震や奥能登豪雨への対応は、11億6,100万円余、職員費は、37億1,100万円余となりました。12月補正予算については、以上であります。
最後に、予算以外の案件として1点申し上げます。9月議会で提案を見送りましたいしかわ子どもの権利基本条例についてです。これまで、県民へのウェブアンケートや、中学生から大人までが参加する公聴会などを実施し、ご意見をお伺いしてまいりました。また、県のホームページやイベントなどの機会を通じて、子どもの権利の重要性等についての情報発信にも取り組んできました。これらを踏まえて、議会の常任委員会や特別委員会、県の子ども政策審議会においても議論をいただいて、この度、条例案がまとまりましたので、12月議会で提案いたします。この条例によりまして、子どもの権利を保障し、子どもが健やかに幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指してまいります。
私からは以上であります。
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