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更新日:2010年8月19日

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講演「里山のツキノワグマ」~信州中央アルプスのふもとから~

宮崎  学(自然界の報道写真家)

キノワグマは確実に増えています。20数年ぶりにツキノワグマの足跡を追ってみて、はだで感じました。

1982(昭和57)年、遊歩道から300メートルしか離れていない「けもの道」で、本格的な定点撮影を3年間にわたり5台の無人カメラを設置し、写真撮影をおこないました。この時、ツキノワグマは1台に1回に写っただけで、反対に、ノウサギは大量に写っていました。

れから20数年後、今回の結果は驚くもので、1年間でツキノワグマの写真は100枚を超え、対照的に、前回大量に写っていたノウサギが、今回は1枚も写らなかったという、逆転現象が起きていました。20数年の間に、自然界には大きな変化があったからにほかならないのです。

1960年代から1970年代にかけて、中央アルプスでは、広大な面積の山林が伐採され、そのあとには、カラマツを中心に、スギ、ヒノキなどの針葉樹が植えられました。伐採直後は、ノウサギがふえ、しばらくすると、ニホンカモシカやニホンジカがふえはじめました。30~40年後、放置された植林地には、つる植物や広葉樹が生い茂ってきました。

つて、里山と呼ばれた人里近くの山は、ガスや電気の普及に伴い、薪をとることがなくなり、人の手が入らず、里山は荒れ放題になり、こうした環境を好むツキノワグマが増えてきました。

回の調査でみえてきたのは、こうして数を増やしたツキノグマは、すむ場所をどんどん広げ、活発に動き回る姿でした。

殖場のマスを好んで食べにくるクマもいれば、見向きもしないクマもいます。クマのなかにも好みがあることも分かりました。おそらく、クマにも、積極的に人里にでて人を恐れない新世代タイプと、里にはあまり近寄らず、昔ながらの生活を好む旧世代のタイプがいるのでしょう。

キノワグマは、わからないことだらけ。知れば知るほど、新たな謎が生まれる。だから、自然はおもしろい。私は、当分の間、ツキノワグマを追い続ける日々が続きそうです。

 

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