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更新日:2022年1月1日

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玉泉院丸の発掘調査(23年度)

事業概要 

旧県体育館跡地の玉泉院丸整備に先立ち、平成20 年度から遺構の保存状態を確認するための調査を進めている。平成23 年度は泉水北東部で検出した滝石組遺構等の精査を継続すると共に、新たに色紙短冊積石垣周辺の遺構確認調査を実施した。あわせて、玉泉院丸全域を対象に、池の深さや旧地形等を把握するための地質調査を実施した。 (発掘調査地点)(PDF:165KB)

調査期間  平成23 年5 月20 日~ 12 月22 日
調査面積  450平方メートル

主な成果

 <滝石組周辺>
前年度に引き続いて調査区内を精査した結果、検出した庭石には、A滝石組の整備時に追加された石【新段階の追加石】、B滝石組以前からあった石の周囲に土を入れて再整備したもの【古段階からの継続石】、C庭の改修時に造成土中に埋没した石【古段階の埋没石】があることが判明した。また、A~Cそれぞれにおいて、抜き取られ残存した根石から位置を特定できるものが存在し、これらを含めて最終段階に現出していた石組景観の把握を進めた。その結果、最終段階の石組はAとB(抜き取られたものを含む)で構成されており、滝石組はほとんどがAであるが、下流部の一部がBであることから、以前からの流れを踏襲していることが判明した。Cの埋没石は出島の付け根や滝石組南方の岸辺に多く見られ、盛土造成で地形が大きく改修されたことを示している。また、滝石組の中段付近で岸辺に下る園路の飛石を確認した他、数寄屋門側から松坂を抜けて導水した石組暗渠の一部を確認している。

<色紙短冊積石垣下>
石垣直下で幅5.2m、奥行4 0m の窪地を確認し、その底部で大型板石を中心に大小の庭石で構成する石組や玉石敷を検出した。板石の前面で、玉石が不規則に落ち込む凹みを確認し、石垣の石樋からの落水で、えぐられたものと考えられる。板石の背面にも水受石が置かれていることから、水勢に強弱があった可能性がある。窪地には松坂の石組溝が接続しており、そこからの流水も合流して滝壷の水溜まりとなり、あふれた水が護岸石垣下の暗渠を通って、滝石組の方に導水されたと考えられる。その間の経路の詳細は、今後の課題である。
滝壷に伴う石組等の石材は、石組が能登産出の安山岩を主体とし、石組溝や護岸石垣は河原石や戸室石が利用され、石組の一部は、護岸石垣に組み込まれて構築していた。これらのことから滝壷周辺の石組は、当初の構成のままではなく、安政3(1856)年の整備による改修を経た最終段階の様相を示すと考えられる。

<地質調査>
調査は、郭(くるわ)南東域(これまでの調査から、作庭以前の空堀の存在が推定される場所)を中心に、オールコア方式でボーリング調査を30箇所、高密度表面波探査を5測線実施した。その結果、ボーリングでは出島にあたる突出部を挟んで北と南に空堀の広がりを確認し、中島の成り立ちに関わる基盤層の性質の違い等も確認した。高密度表面波探査では、河岸段丘砂礫層を地山とする作庭以前の空堀について、その断面形状の良好なデータを得ることができた。

 

gyoku1

調査区全景

                                 

gyoku2

色紙短冊積石垣と石組

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お問い合わせ

所属課:教育委員会金沢城調査研究所 

石川県金沢市尾山町10-5

電話番号:076-223-9696

ファクス番号:076-223-9697

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