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更新日:2014年2月6日

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前田利春画像・阿弥陀三尊来迎図・天狗草紙

 絹本著色  前田利春画像(1幅)

桃山時代
  長齢寺  七尾市小島町2-リ-52
  (石川県七尾美術館保管  七尾市小丸山台1-1)
  縦  78.7センチ  横  39.4センチ

 

前田利春画像重要文化財  昭和25年8月29日指定

 

本像は、天正9年(1581)長齢寺創建の際、父利春の菩提のために、前田利家が寄進したと伝えられる作品である。供養肖像にふさわしく、主題の利春は剃髪した僧侶姿として描かれている。薄茶色の小袖の上に黒の紗の法衣と錦と思われる袈裟をつけ、片膝を立てた上に手を置き、体全体を左手で支えて、画面左上から舞いおりる来迎仏をのせた雲であろうか、それを見あげている動きのある肖像画である。利春の前にある覆輪のついた天目茶碗や従士の持つ水注は、おそらく中国から舶載されたもので、わずかこれ等の品々からも、桃山武将が外来文化を積極的に摂取し、生活を謳歌した様相が想像されてほほえましい。利春や従士・小姓たちの顔の描線は、流麗で力強く、とくに小姓の着る小袖の彩色は華麗で美しく、桃山絵画・肖像画としての特色を見事に示している。
この作品の筆者について、長谷川等伯の研究家土居次義氏は、等伯の能登在住時代、信春と称した頃の初期の作品ではないかとの説を近年発表されている。
昭和60年「石川県の文化財」より

 

絹本著色 阿弥陀三尊来迎図(1幅)

平安時代後期
  心蓮社  金沢市山の上町4-11
  (奈良国立博物館保管  奈良市登大路町50)
  縦  105.7センチ  横  71.5センチ

 

阿弥陀三尊来迎図重要文化財  昭和25年8月29日指定

 

奈良後期の観経変相図(当麻曼茶羅)の下縁部に九品の来迎図が描かれている。こうした来迎図を先鞭とし、天台宗の常行三昧の行によって深まった阿弥陀浄土信仰は、恵心僧都源信や法然上人源空による来迎思想の鼓吹で、平安時代中期以降、貴族社会や武家階級、庶民にも深く浸透し、急速に発展して多くの来迎図が描かれた。
この作品は、三尊形式の来迎図の単幅本の代表作として古くから知られている。中尊の阿弥陀如来は来迎の印相を示し、蓮台に座し雲に乗り、前の観音菩薩・勢至菩薩も蓮台の上に座し、雲に乗り、少し前かがみになって往者を迎えにゆく様相を示している。

飛雲は銀泥で、ゆったりとした曲線の片ぼかしの技法を用い、輪郭がはっきりとしているが軽快である。観音は、右手に蓮台を持ち、左手を往者に差しのべるという類例のない変わり図柄である。背景は暗く、簡潔な構図であるが、濃厚な色彩と複雑な筆致で描かれ、三尊の姿態は柔らかく優美で、顔容も温雅で腕、肱、指端にいたるまで艶麗であり、天衣綬帯の美妙さや施された装飾文様などから、製作年代は平安後期と考えられる。
昭和60年「石川県の文化財」より

 

紙本著色 天狗草紙(園城寺巻)(1巻)

鎌倉時代末期
  個人蔵  能美市
  (石川県立美術館保管  金沢市出羽町2-1)
  幅  29.3センチ  全長  768.4センチ

 

天狗草紙(園城寺巻)重要文化財  昭和25年8月29日指定

 

「天狗草紙」は、権勢を誇った諸大寺の僧侶たちの驕慢と堕落を、7類の天狗にたとえて風刺したもので、永仁4年(1296)に、興福寺・東大寺・延暦寺・園城寺・東寺・醍醐寺・金剛峯寺の7ヵ寺の僧侶を対象に、7巻の絵巻にまとめたものであり、鎌倉時代の代表的な絵巻物である。  
本巻は、このうちの園城寺(三井寺)の巻で、詞書1段、絵1段からなる。作者は明らかではないが、全体に大きな構図で、暢達な描線、あざやかな彩色のなかにも落ち着いた色調を残し、品格も高く、本格的な専門画家の筆になるものと思われる。
平安時代から鎌倉時代の絵巻物の特徴である吹抜屋台の建物を画面一杯に描き、田楽の場面、人馬の列、そして数多くの僧侶など、人物主体の画面が続き、最後に、烏天狗の姿を描いて、園城寺の僧侶たちに鋭い批判を浴びせている。前田家に永らく伝世した絵巻の名品である。
昭和60年「石川県の文化財」より

 

お問い合わせ

所属課:教育委員会文化財課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1841

ファクス番号:076-225-1843

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