緊急情報

閉じる

現在、情報はありません。

印刷

更新日:2010年8月24日

ここから本文です。

2.県産針葉樹中径材を利用した住宅用高機能性部材の開発(第5報)

予算区分      国補
研究期間      平成5~9年度
担当科名      木材加工科
担当者名      小倉  光貴

I.研究目的

  県産スギ、ヒバ中径材の新規用途として、現代の住宅建築工法に適した材料加工法の開発と製品の試作・性能評価を行う。今回は大断面の平角材の代替と性能向上を目的としたスギ平角材とヒバラミナの合わせ貼り材を試作した。
  また、スギおよびヒバの外構部材としての用途開発を目的として、7年度から継続中の浸透性外装用木材保護塗料による耐侯性能評価を屋外曝露試験によって比較した。

II.試験方法

1.合わせ貼り軸材料の製造技術と性能評価

  • スギ平角材とヒバラミナの合わせ貼り試験体(h=210mm,b=120mm,L=4,000mm)を14体試作した。
  • 2枚のヒバラミナを引っ張り側に集中させたA型と、引っ張り側と圧縮側に分散させたB型の2種類を各7体とした。(図参照)なお、ラミナは縦継ぎのないものを用い、接着はイソシアネート系接着剤(構造用)を使用した。
  • 比較のため同一寸法のスギ平角材8体についても同様の試験をおこなった。
  • 以上の試験体22体について、地域材性能評価手法マニュアルに基づく曲げ強度試験(span=3,600mm, loadspan=1,200mm)により、曲げヤング係数(MOE)、曲げ強度(MOR)を求めた。
  • 合わせ貼り材については構造用集成材の日本農林規格に基づき、浸せきはくり試験、煮沸はくり試験、ブロックせん断試験を実施した。

2.外部構造部材の製造技術と性能評価

  スギ、ヒバの各々辺材、心材に対して3種類の塗料を塗布または加圧含浸処理を施した試験体について屋外曝露試験を実施。6ヶ月ごとに重量、色差、材面割れ、腐朽度について計測した。測定は試験体を取り外し、汚れを除去した後、室内で24時間以上放置した上で重量はgr単位、材面割れは10mm以上のものについて本数と長さを、また、色差はカラーテスターを使用してC光でL*(明度)、a*(赤色度)、b*(黄色度)を測色して求めた。腐朽度は森林総合研究所の杭試験被害度調査基準を準用した。なお、試験体の処理区分は次のとおり。
  処理1      クレオソート油2回塗布
  処理2      植物乾性油系防腐塗料塗布+植物乾性油系透明塗料塗布
  処理3      フェノール系防腐塗料加圧含浸+植物乾性油系透明塗料塗布
  無処理    コントロール

III.結果

1.合わせ貼り軸材料の製造技術と性能評価

  • 曲げ強度試験の結果は表に示すとおりで、MOEとMORの平均値について有意差検定をおこなった結果、5%の有意水準で平角材と合わせ貼り材との間に有意差が認められた。
  • 浸せきはく離試験、煮沸はく離試験、ブロックせん断試験の結果は煮沸はく離試験においてはく離率が5%を超えたものが2例見られた。
             表  実大材曲げ強度試験結果(略)

2.外部構造部材の製造技術と性能評価

  24ヶ月経過時点で腐朽に至ったものはない。

  • 試験体重量:曝露開始後6ヶ月間の増減は無処理材において著しく、処理材3種の増減には大差はなかった。曝露9ヶ月以降はほぼ一定している。
  • 材面割れ:無処理材は処理材に比べて著しく多く、心・辺材別では辺材は心材の3倍以上であった。ただし、加圧含浸処理を施した試験体では心・辺材の差がほとんど見られず、他の処理材と比べても著しく少なかった。また、微細割れが加圧含浸処理材を除く試験体の曝露表面全体に発生している。
  • 色相:L*、a*、b*は9ヶ月経過時以降ほぼ一定している。したがって、色差ΔEも横這い状態である。
  • 腐朽度:処理区分によって差が見られ、概ね[無処理>処理1≒処理2>処理3]の傾向である。
  • 設置環境:アスファルト舗装上とバラスト上の設置環境による耐朽性の差異は認められなかった。

 

お問い合わせ

所属課:農林水産部農林総合研究センター林業試験場

石川県白山市三宮町ホ1

電話番号:076-272-0673

ファクス番号:076-272-0812

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報はお役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

同じ分類から探す