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第二は、「安全でうるおい豊かな環境づくり」についてであります。
まず、東日本大震災を踏まえた防災対策の充実強化についてであります。
地震・津波対策につきましては、石川県防災会議の下に新たに設置した震災対策部会において、地域防災計画の見直し作業を進めておりますが、今回の予算においては、防災対策の重要性・緊急性に鑑み、早急に取り組むべきものについて対応し、ハード・ソフト両面から災害被害の最小化に向けた取り組みを強化することといたしました。
ハード面での対策につきましては、これまでも阪神淡路大震災を受け、災害時拠点施設や避難施設、県立学校等の耐震化を順次進めてまいりましたが、今般、県立学校について、平成二十七年度末までに全ての学校の耐震化を完了すべく、従来の計画を前倒しして取り組むとともに、警察署など学校以外の防災関係施設についても、残る全ての施設の耐震化に着手することといたしました。
次に、ソフト面では、自助・共助からなる地域防災力を高めることが重要であり、自主防災組織や消防団の充実強化、災害ボランティアの確保などを図ることといたしました。特に、自主防災組織については、能登半島地震で「地域の絆」が被害を最小限に食い止めた教訓を踏まえ、自主防災組織のリーダーとなる防災士を既に一千五百人以上育成してきたところでありますが、東日本大震災で自主防災組織の重要性が再認識されたことを受け、当面の緊急対策として、その倍増を目指し、市町とも連携して取り組んでまいります。
また、津波浸水想定区域図を今年度末までに改定すべく、現在作業を進めているところであり、この改定を受けて市町が行う津波ハザードマップの作成や具体の避難訓練の実施に対し、支援を行うこととしております。
さらに、東日本大震災では、発災直後から、本県からも多数の医療・保健・福祉関係者が被災地で支援活動を繰り広げたところであり、こうした現場での貴重な経験を本県の防災体制の更なる強化に活かしていくことが重要であります。こうしたことを踏まえ、福祉施設や医療機関等の防災マニュアル等の総点検を行うこととし、被害の広域化や避難の長期化への対応といった新たな視点も加え、より具体的な内容を盛り込んだ実効性の高いマニュアルづくりを進めてまいります。
原子力防災対策につきましては、「防災対策を重点的に充実すべき地域」の目安について、三十キロメートル圏に拡大するという国の方針が示されたところであり、県としても可能なものから積極的に検討を行うこととしております。これまで石川県防災会議の下に設置している原子力防災対策部会を二回開催して、緊急避難先の割り振りや陸上交通路が遮断された場合の奥能登地域への対応など、具体的な検討を進めており、緊急避難先の割り振りについては、先般、市町連絡会議を開催し、市町と共同して具体の作業を開始したところであります。
今回の予算では、志賀原子力発電所から三十キロメートル圏内の地域について、ハード・ソフト両面で防災体制の充実を図ることといたしました。具体的には、市町に専用回線による緊急連絡網を整備するとともに、市町や消防本部に、防護服やサーベイメーターなど、原子力災害の初動時に必要な防災資機材を配備するほか、安定ヨウ素剤を追加配備することとしております。併せて、原子力防災に関する研修・講習を大幅に拡充し、自治体職員や医療従事者の専門的知識の習得や対応能力の向上を図ることといたしました。
また、原子力防災訓練については、新たに三十キロメートル圏内に入る市町に加え、避難者の受入先となる三十キロメートル圏外の市町にも参加いただく形で、現時点で可能な範囲の訓練を実施すべく、所要の予算を計上しております。訓練の具体的内容については、来月に予定されている国の原子力防災指針の見直しの中間報告や原子力防災対策部会での議論等を踏まえ、関係市町とも協議しながら検討を進め、来年度のできるだけ早い時期に実施したいと考えております。
さらに、国の第四次補正予算を受け、新たに拡大された三十キロメートル圏内の地域に放射線のモニタリングポストを十五基増設し、監視体制を強化することとしており、関連予算を本議会に追加提案したいと考えております。
今後とも、津波・地震防災対策、原子力防災対策ともに、国の動向等を十分見極めると同時に、石川県防災会議における議論も踏まえ、更なる対策に万全を期してまいります。
次に、世界農業遺産として認定された能登の里山里海の活用・保全と魅力発信についてであります。昨年六月の認定以降、世界農業遺産としての意義や価値について、県内外へ広く周知・啓発を図るため、積極的な情報発信を中心に取り組んできたところでありますが、来年度は世界農業遺産の利活用と更なる価値の向上に向けた保全の仕組みづくりに軸足を移し、本格的な事業展開を図ってまいります。
まず、農業面での活用では、能登の里山において、おいしい米の生産が可能な土地条件にありながら、規模の拡大が困難な棚田で生産される米につきまして、奥能登地域のJAでブランド化への気運が高まっております。さらに、その収益の一部を農地の保全に活用したいとの意向であり、農産物のブランド化と農地保全を一体的に実践する先進モデルとして、その取り組みを後押しいたします。
また、世界農業遺産の認定にあたっては、能登の環境に優しい農業が高く評価されたところであり、その価値を更に高めていくため、化学肥料や農薬を低減する取り組みの拡大を図るとともに、こうした取り組みを積極的に進める生産組織をエコ農業推進団体として認定し、消費者に対して広くPRすることで、環境に優しい能登の農業の理解促進を図り、農産物の付加価値の向上にも繋げてまいります。
次に、観光面での活用では、情報端末を活用しながら、環境に優しいプラグイン・ハイブリッドカーを利用して能登の里山里海をドライブしていただくなど、エコにこだわったプロジェクトを実施することといたしました。今後、本年夏の「能登ふるさと博」に合わせて供用開始できるよう、地元市町や協賛企業等とも連携して取り組んでまいります。
世界農業遺産の更なる価値の向上に向けた保全の仕組みづくりにつきましては、多くの方々に農地の草刈り等の里山保全活動に参画いただき、交流を促進するための仕掛けとして、「里山ポイント制度」を創設いたします。県や市町、NPO等が主催する里山保全活動への参加者に対してポイントを付与し、その数に応じて県産食材の購入等ができる里山チケットと交換するという全国初の取り組みであり、能登の里山里海、ひいては石川の里山里海全体をみんなで支えるシステムとして発展させてまいりたいと考えております。
また、里山の水田景観を守り、その機能を保全するための取り組みとして、新たにドジョウの養殖の事業化に向け、奥能登の休耕田での実証試験に着手いたします。この取り組みは、里山における新たな生業を創出することで、金沢地域を中心に食されている蒲焼きの県内産への転換を図っていくものであります。また、ドジョウはトキが好んで食べる主要なエサであり、将来、トキが再び能登の大空を舞う足がかりとするためにも、地域と十分連携を図りながら、着実に取り組みを進めてまいります。
これらの能登の里山里海の本格的な活用・保全に向けた取り組みに加え、同時期に世界農業遺産の認定を受けた佐渡と連携し、首都圏でのPRイベントを共同で実施するなど、県内外への情報発信についても強化することとしており、こうした取り組みが能登地域の活性化のみならず、県全体の元気な里山里海づくりに繋がるよう、市町や関係団体とも連携して全力で取り組んでまいります。
次に、再生可能エネルギーの利活用や省エネ・節電対策の推進についてであります。東日本大震災以降、福島の原発事故や電力需給に対する不安を背景に、全国的に太陽光・風力等の再生可能エネルギーや省エネ・節電に対する関心が高まりを見せております。国においては、本年夏を目途にエネルギー政策の見直しを行うべく検討が進められているところであり、七月には再生可能エネルギー特別措置法が施行されるなど、今後、再生可能エネルギーの導入促進に向けた動きが本格化していくことが予想されるところであります。
こうした中、県といたしましては、庁内の司令塔として、来年度から新たに「エネルギー対策室」を企画振興部に設置し、再生可能エネルギーの導入促進の取り組みを関係部局一体となって展開してまいりたいと考えております。
まず、再生可能エネルギーの利活用の推進につきましては、天候等に左右されず、安定的かつ効率的な発電方法でありながら、これまで県内での導入事例が少ない小水力発電について、農業用水利施設や砂防堰堤等における活用に向けた可能性調査を行うこととし、導入に向けた有望箇所の選定に着手いたします。
また、奥能登地域の「春蘭の里」において、水路を活用した小規模の水力発電を導入し、民宿看板等の照明用電源として活用するなど、再生可能エネルギーを活用した実践モデルを提示することにより、エネルギーの地産地消の意識醸成と普及啓発を図ってまいります。
次に、省エネ・節電対策の推進につきましては、産業振興ゾーン全体をエネルギーの効率的な利用形態を展示するショールームに見立て、エネルギーのスマートゾーンとして発信し、県内企業や家庭における省エネ・節電の取り組みの普及拡大を図ってまいります。
具体的には、消費電力が簡単に把握でき、設備の自動制御により不要電力を削減するエネルギーマネジメントシステムをモデル的に導入し、併せて、地場産業振興センターに断熱ガラスやLED照明等の省エネ設備、発電ガラス等の最新の太陽光発電装置を取り入れて展示・実証を行うほか、いしかわエコハウスにおいても、太陽光発電や断熱機能の実績を分かりやすく解説する情報機器のコンテンツを導入し、省エネ・節電効果の「見える化」を図り、これらの普及拡大に繋げてまいりたいと考えております。
また、再生可能エネルギーに関する研究開発の支援を目的に、同分野で先進的な取り組みを実施している東京大学先端科学技術研究センターとの間で、来月にも自治体として初めて協定を締結することといたしました。この協定に基づき、再生可能エネルギーに関する定期的なセミナーを開催するとともに、同センターの研究者による県内企業への技術指導等を行うこととしており、県内で再生可能エネルギーの研究開発が一層加速するものと期待しております。
家庭等における取り組みについては、これまでのいしかわ版環境ISOにおける温室効果ガスの排出抑制に向けた取り組みから更に一歩踏み込んで、省エネ・節電に効果が高い取り組みをアクションプランとして実践していただく取り組みを進めることといたしました。これを機に、新たに多くの方々のいしかわ版環境ISOへの参加を促進し、特に家庭版については、参加家庭数の倍増を目指して、取り組みの裾野の拡大を図ってまいります。
医療提供体制の確保・充実につきましては、これまで医師や看護師の確保対策、救急医療拠点の整備をはじめとする医療連携体制の強化等に重点的に取り組んできたところでありますが、来年度は新たに交付が決定した四十二億円余の地域医療再生臨時特例交付金を活用し、三次医療機関の高度専門医療機能の強化や高度専門医療を担う人材の養成への支援を行うなど、本県における地域医療の更なる充実を図ってまいります。
医師の確保対策につきましては、引き続き、金沢大学及び金沢医科大学が実施している診療支援を兼ねた実地研究を伴う寄附講座等を通じて、能登北部地域を中心に、医師不足が深刻な内科や外科分野の診療支援を実施しており、来年度は二十七名の医師が診療支援にあたることとなり、各地域からの要請に十分応えられるものと考えております。
県立中央病院の建て替えにつきましては、昨年十一月に策定した基本構想を踏まえ、来年度は基本設計に着手することとしており、県民に信頼される高度専門病院を目指し、着実に取り組みを進めてまいります。
以上
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