―上海駐在員便り 2024年2月―

  一人当たりGDPが49,226米ドル（アジアではシンガポールに次ぐ第2位。日本は33,853米ドルで第4位）、人口750万人（愛知県と同規模）の都市である香港の日系百貨店香港そごう銅鑼湾（コーズウェイベイ）店において、地酒や水産加工品、調味料、菓子等の石川県産品を現地消費者等へPR・販売しました。これは令和元年度から香港石川県アンテナショップ事業として毎年継続している事業で、今年で5年目となります。

  一年で一番需要が高まる中国の旧正月（春節）の期間と重なっていたこともあり、大陸からの渡航者も多く、銅鑼湾は香港随一のショッピングエリアということもあり、多くの人で賑わっていました。今回、石川県から店頭販売PRのために来港した事業者の方々が、精力的に商品のPR販売をしていました。やはり事業者自らが直接売場に立つと、第三者が販売するよりも商品に対する熱量や説明の深さが増しますので、お客様もコミュニケーションを取ろうとしますし、それを見て他の方も足を止め、購買につながっていくという好循環が生まれてきます。また、海外のお客様は良くも悪くもストレートに評価をする傾向にありますので、事業者自身にとっても、商品に対する現地消費者の生の声を聞くことができる等収穫も多いと考えています。今回のフェア開催中、イベントとして400香港ドル以上（日本円で約8千円）をお買い上げの方に県産品をプレゼントする抽選会を実施しました。くじを引いてもらい、特賞、能登賞、金沢賞、加賀賞を設け、それぞれ地域の工芸品や食品をひゃくまんさんのエコバックに詰めてお渡しました。中には、それを目当てに連日訪れる方もいました。

  このほか、今年度香港では、そごう以外にもユニー等の現地小売店で県産品のプロモーションフェアを実施しており、異なる顧客層へのテストマーケティングを行い、実際の取引につながっています。

  中国の景気後退の影響を受け、香港も景気が良くないと言われますが、消費市場の現場では、依然として品質の良いものや特色ある食品を求めるニーズは大きく、魅力的な市場であることを再認識するとともに、引き続き県産品の販路拡大に取り組んで参りたいと考えています。

  1月下旬、在上海日本国総領事館から、広域的な観光誘客の促進を目的に連携している「昇龍堂」（長野県・富山県（今回は欠席）・福井県・愛知県・静岡県）チームの各事務所長と共に公邸にお招き頂き、赤松在上海日本国総領事・大使（以下、大使）との意見交換会が実施されました。大使は地域間交流を特に重要視しておられ、自ら積極的に各地へ訪問しているほか、県知事が訪中した際はその行程に同行されたり、また、総領事館の大ホールでの自治体PRイベント開催にご協力されたりと、自治体等の活動にかなり協力を頂いております。意見交換会では、当方から、能登半島地震の復興のためにも、伝統的工芸品や食品のフェアを現地企業と連携して取り組んでいくことや、3月16日の北陸新幹線延伸に合わせてインバウンド誘客の取り組みを継続的に実施していくことについて説明しました。大使からは、地震の影響や復興のスケジュール等についてご質問があり、総領事館として協力できることは惜しまないとの言葉を頂いたほか、中国の歴史や現代政治の課題、経済交流に関しての中国との付き合い方など、とても参考になるお話を聞くことができました。また、観光誘客は日本にとって重要な産業施策の一つであるため、是非積極的に進めてほしいとのコメントも頂きました。

  コロナ禍以降は中国の消費者ニーズも変化しておりますが、それらに対応するために広域的に地域一体として誘客を促進していこうと、昇龍堂としていくつかのイベントへの共同出展や独自の催しを企画しております。直近では、2月23日に上海市内のホテルで開催される「天皇誕生日レセプション」に昇龍堂ブースを出展し、それぞれの地域資源や広域観光ルートのPRを行いました。昨年度も出展しましたが、ブースの場所がメイン会場とは別部屋であったことから、今年は同じ会場内にブースを置けるよう大使に便宜を図って頂きました。また、3月下旬には、総領事館ご協力の下、総領事館の大ホールにて北陸新幹線沿線地域（長野県、富山県、石川県、福井県）による共同観光PRイベントを、新幹線延伸を記念して開催すべく各種調整中です。

  震災復興が本格化していく中で、他地域と連携しながら石川ファンを少しでも増やせるようにPR促進に尽力していきたいと考えています。