緊急情報

閉じる

現在、情報はありません。

ホーム > 観光・文化・スポーツ > 文化・芸術 > 文化財 > 石川の文化財 > 工芸品(県指定) > 蒔絵菊慈童図薬籠箱・蒔絵螺鈿白楽天図硯箱

印刷

更新日:2010年11月25日

ここから本文です。

蒔絵菊慈童図薬籠箱・蒔絵螺鈿白楽天図硯箱

蒔絵菊慈童図薬籠箱  (1基)

江戸時代  (17世紀)
石川県立美術館  金沢市出羽町2ー1
幅22.4センチ  奥行  16.6センチ  高さ15.9センチ


蒔絵菊慈童図薬籠箱
県指定文化財  平成17年3月25日指定

本品の作者は、初代五十嵐道甫と伝えられている。五十嵐家は、室町時代以来の蒔絵の名家であり、初代道甫は京都に住して蒔絵の業を営み、加賀藩主前田家の御用に応じて、時折金沢に赴き、加賀蒔絵の基礎を築いた人物である。本品は、弘化3年(1846)の『前田家表御納戸道具目録帳』に記載されており、加賀藩主前田家に伝来したものである。長方形の蓋を開けると、中に2段の抽斗があり、各々に6個の薬入れが納まる。蓋表は、稲妻状に画面を2分割し、一方に山水に菊慈童の図、他方に鶴の丸文を散らし、地文様を花菱の七宝繋文で埋める。菊慈童の物語は、周の穆王の寵愛を得たため、他人の嫉妬をうけ流罪にされ、そこで法華経を唱え、菊の葉に書き留めると、その葉から落ちる露で谷川の水は不老不死の薬となり、慈童は永遠に少年の姿のままであったというもので、まさに薬箱にふさわしいテーマといえる。箱の各面や抽斗には、菊に山水図が表現されており、金高蒔絵や切金の技法が駆使されている。また、要所に打たれている扇形の金具には、加賀象嵌の初期の技法が、見事に表現されており、まさに大名調度にふさわしい豪華な作品である。

 

蒔絵螺鈿白楽天図硯箱  (1合)

江戸時代  (18世紀)
石川県立美術館  金沢市出羽町2ー1
幅22.5センチ  奥行23.5センチ  高さ5.5センチ


蒔絵螺鈿白楽天図硯箱
県指定文化財  平成17年3月25日指定

品は作者は尾形光琳で、加賀藩年寄役であった横山家(八家の1つ)に伝来した硯箱である。謡曲「白楽天」を題材とし、唐の詩人白楽天が海路日本に渡来し、漁翁の姿をとる住吉明神と、中国の詩と日本の歌について、問答を交わすという幻想的な場面を描いている。素地は方形丸角被蓋造りの典型的な光琳様式の硯箱で、蓋表は唐船に乗った白楽天と船頭を描き、蓋裏は船に乗って問答を交わす漁翁を、動きのある姿で表現している。人物の衣装、船、蓋表左上の岩山、身の右半分に描かれた松樹の松葉などは、鉛板を貼って豪快に表現し、蓋の表裏の人物は、顔、手、足等の肌の部分に螺鈿の技法を用いている。地文様は、黒漆地に金蒔絵で光琳特有の見事な筆致で、うねりのある波文様を大胆華麗に描き、その波文様は蓋の表裏や身の内側や側面へと連続し、作品を豪華に飾っている。身の内側と底面は金の沃懸地仕上げで、裏面中央のやや下方に「青々光琳造」の銘が記されている。なお、白楽天や漁翁、松樹の構図は、重要文化財「小西家伝来尾形光琳関係資料」(大阪市立美術館所蔵)の中の、光琳画稿にすでに見えており、この作品制作のための原図と見られる。光琳が私淑した光悦作品の強い影響を受けながらも、光琳独自の新様式を確立した秀作である。

 

お問い合わせ

所属課:教育委員会文化財課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1841

ファクス番号:076-225-1843

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報はお役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?