－上海駐在員便り 2019年11月－

上海及び江蘇省における機械・電機分野の販路開拓支援

 

■県内の中国進出企業

　ジェトロの石川県貿易・海外投資活動実態調査によると、2018年時点の海外進出企業は121社進出拠点は29か国251件であり、そのうち中国（香港含む）が64社80拠点で企業数全体の過半数を占めており、最大の進出先となっております。また、中国に進出している企業の大半が「ものづくり企業」であり、約半数の35社が機械関連企業となっていることから、進出企業の支援を行う上で、機械関連分野における支援は必要不可欠です。

　なお、自動車関連部品や建機等に関する進出企業が多いのですが、例えば直近の中国の自動車業界を考察すると、マクロ的には、小型車減税廃止の影響や米中貿易摩擦による景気減速等により、中国ローカル自動車メーカー等の販売不振から、2019年上半期の中国全体の新車販売台数は前年同期比12・4%減となっております。しかし、そのような状況の中、日系の自動車メーカーは好調であり、ホンダが同期比22・4%増、トヨタが12・2%増となっております。この背景には、中国における中古車市場の拡大により、故障が少なく高値で取引される日本車の人気が高まっていることが大きな要因の一つとなっているようです。よって、厳しい環境にありつつも、品質の高い製品を武器に日系自動車メーカーと取引をしている県内企業の中には好調な業績を維持している企業も少なくありません。

■上海ものづくり商談会

 中国に進出している県内企業が中国市場で更なる販路開拓を行い、新規の取引先（あるいは調達先）を見つけたいというニーズに応えるため、石川県鉄工機電協会の事業として、10月23日に上海市で開催された「FBC上海2019ものづくり商談会」に同協会のブースを出展しました。FNA（ファクトリーネットワークアジア）が主催する当商談会には、三菱電機や東芝、日本電産など日本の製造業を代表する大手企業を含む348社が出展し、延べ約2万5千人が来場する大規模なもので、会場となった上海新国際博覧中心においては、同じタイミングで更に大規模な「アジア国際動力伝動展（PTC）2019」（延べ約14万人来場）も開催されており、今回はその相乗効果も狙っての出展となりました。

　中国に進出している県内企業を中心に、現地で生産した商品を現地ローカル企業等に売り込むため（あるいは部品の調達や製造委託先を探すため）のマッチング商談会であり、県内機械関連企業6社が出展し、95件の商談が行われ、そのうち14件が見積依頼等を含む継続案件となりました。また、出展企業からは「同時開催されていた大規模展示会との相乗効果でブース来場者も予想以上に多かった」「中国現地法人の日系企業と中国ローカル企業の両方の情報を収集できて有益であった」等の声がある一方で、「売り込みが多く、もう少し販売の商談がしたかった」という声もあり、次年度に向けて引き続き改善検討を行っていきます。

（写真１：上海ものづくり商談会）

 

■マッチング機能強化の新たな取組み

　今回は大規模商談会への出展に留まらず、今後のマッチング機能強化のため、鉄工機電協会、県庁、県上海事務所が協力して試行錯誤しながら新たな取組みも実施しました。それは、これまで繋がりがなかった江蘇省工商業連合会と鉄工機電協会で交流の場を設け、今後、業界団体同士で会員企業間のマッチングを可能とするためのプラットフォーム作りに向けた意見交換会を開催したことです。江蘇省工商業連合会とは、日本でいうところの商工会議所連合会に近い組織であり、江蘇省内の各種業界団体や民間企業、個人事業主等によって構成され、約32万人の会員が所属しており、今回は連合会及び商会幹部をはじめ相手方12名が参加しました。意見交換会では、鉄工機電協会専務より次年度のMEX金沢への招聘提案や、参加した江蘇省企業からはその場で早速、具体的にほしい商品の話が持ち上がるなど、今後の協力関係の構築に向けて期待できる形となりました。

　また、石川県と友好提携関係にある江蘇省の商務庁副庁長と県商工労働部次長との経済交流に関する面談や、県内企業による無錫市ローカル企業への個別訪問型の商談なども実施し、今年度は多面的に効果的な販路開拓の手段を模索しました。県事務所としましても、これらの結果や県内企業からのご意見等も踏まえ、より効果的・効率的な販路開拓支援の方策を関係者とともに検討していきたいと考えております。

（写真２：江蘇省工商業連合会との意見交換会）

（写真３：江蘇省商務庁との面談）

 

（写真４：無錫市での訪問型個別商談）