ホーム > 連絡先一覧 > 商工労働部産業政策課 > Invest in Ishikawa Japan 石川県国際ビジネス交流促進 > 外国メディアが伝える石川県 > 記事概要(日本語)―ANSA Itarian News Agency(伊)
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―東京、3月22日― 17代にわたって太鼓を作り続ける家系、ユニークな情報処理機器を扱う企業家に変身した失業技術者、自然を愛するサムライ精神を受け継ぐ庭師、想像もできないほど自然な色彩を放つ液晶ディスプレイのリーダー企業。これらは、日本海の近くに位置する石川県の古都、金沢で発見できる過去と未来の日本を映し出す最良のものである。技術大国の力を取り戻すには熟練の道が重要であると認識した国が、数年前から石川県を重要産業技術区域に指定しているが、そこには企業、大学、政府が密接に協力し合い、地方の伝統文化を尊重した上で、極限まで高められた科学技術の革新が見られる。
「ケヤキ(コーカサス山脈のニレの木)の1本の苗木に寄贈者の名前を付けて植えたばかりです。300年後には大きな木になって、その木材がその遠い時代にも太鼓を造るのに役立つことでしょう。395年前から太鼓を造り続けている家系の17代目であるわたしの義務ですよ」と大手太鼓メーカーの一つである浅野グループのジェネラルマネージャー 浅野昭利氏はこう話してくれた。浅野グループは、石川県からそう遠くない佐渡の“鬼太鼓(オンデコ)”の演奏者を生み出しているが、その魅惑的で太鼓を激しく連打する公演は海外でも有名である。浅野グループは、48人の職人大工を指導しているが、彼らのほとんどは太鼓の魅力に取り憑かれた若者で、その半数以上が女性である。「太鼓はバイオリンと同じようにデリケートで複雑な楽器です。一つの太鼓を作るには5年の見習い期間が必要です」と浅野氏は語る。
太鼓の工場からそう遠くないところに石川サイエンスパークがある。緑に囲まれたその敷地は、面積が1,750平方キロメートルで、科学技術産業部門の約2,000人の研究者たちが、学術機関、民間企業、政府、県が互いに補完し合っている総合施設の中で、革新技術と特許を日々追い求めている。情報処理技術者である米田稔氏は、2002年の10月頃、勤務していた会社の閉鎖がきっかけで失業者になった。その後、4人の同僚とともにサイエンスパークの小さな一室を借りてベンチャー企業(株)COM-ONEを設立し、現在は企業向けのソフトウェアの開発を行っている。2004年度の目標は、従業員は20人、総売上高は1億2000万円(900.00ユーロ)である。「この会社としては初めての黒字を目指します」米田氏はこう打ち明けてくれた。現在、彼が抱いているプロジェクトは浅野太鼓に関係するものである。高級木材と雄牛の皮で作られる巨大な太鼓の製造工程をコンピュータで分析し、そのデータを未来世代のための教育情報処理データーに変えることにチャレンジしている。「コンピュータを利用すれば、職人大工さんの訓練期間は、現在必要とされている5年よりも短くできると確信しています。先人の口から伝えられる伝統をしっかりと守ることができる名人の育成に役立てたい」と米田氏は語っている。
石川サイエンスパークにはJAIST(日本先端科学技術大学)がある。これは修士課程と博士課程のみの大学院大学であり、1000人の学生と140人の外国人が学んでいる。1992年に開校し、1999年以降は基礎研究と応用研究の最前線に躍り出て、現在は年間平均で40件の特許を申請している。ナノテクノロジーの研究施設では、バイナリーシステムではなく、人間の頭脳と同じ方法で機能する未来のバイオコンピュータ用のナノマテリアルに含まれるプロテインの合成に関する極秘研究が進められている。コンピュータグラフィックスとマルチメディアに夢中の宮田一乗氏は、知識科学教育センターで、絵を描く画家と同じ目をもって、動きがあるインタラクティブな視界の中での三次元映像をコンピュータで再生しようとしている(2~3年後には必ず成功すると彼は確信している)。コンピュータのOSの安全装置と保護機構の専門家である宮地充子氏は、未知のウイルスにも効果を発揮する、したがって現在使用されているシステムのように更新する必要がないアンチウイルスシステムの実験に成功した。「我々としては外国人研究者がもっと増えることを希望しています。研究には国境はないのですから」と、ナノテクノロジー研究施設の所長を務める牧島亮男氏は語る。
国境を持たないのは金沢市の二つの“たからもの”の美しさも同じである。その一つは巨大な庭園兼六園であり、これは、金沢の最初の封建領主である前田利家によって17世紀初めに造られた自然美を生かした素晴らしい美術傑作であり、10,000本もの樹木(そのうち少なくとも400本は非常に古いものである)が植えられ、並木道、池が整備されている。もう一つは長町地区であり、ここにはサムライの古い武家屋敷が建てられ、その子孫が住んでいる。「自然にできるだけ近い状態で、最も美しい形を保てるように、庭園で最も古い400本の樹木は1本1本手作業で作業しています。ごく若い木々以外には、電動のこぎりは使いません」と庭師の親方である米林利朗氏は話す。それらの自然色の庭園とサムライの古い屋敷からインスピレーションを受けたのがEIZOの技術者たちである。EIZOは液晶ディスプレイの分野で長年の間、高い信用を得てきた企業であり、近年はフラット型デジタルテレビの事業にも進出している。「画像の色彩と鮮明さを見てください。ソニー、シャープ、パナソニックの類似の製品と比べても色が濃くないでしょう。天然色に非常に近く、目を全く疲れさせません」EIZOの経営幹部は誇らしげに語ってくれた。(ANSA)
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