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更新日:2016年5月28日

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「石川県白山自然保護センター研究報告」(第42集)要約

論説

石川県のブナ科樹木3種の結実予測とクマの出没状況,2015

野上達也・中村こすも・小谷二郎・野崎英吉

ツキノワグマ出没予測のためのブナ、ミズナラ、コナラの各種約20か所の雄花序落下量調査ではコナラ、ミズナラ、ブナはいずれも並作と予測された。また、着果度調査では、コナラ、ミズナラは並作、ブナは豊作と予測された。着果度調査の地点ごとの結果を、各樹種でクマの大量出没のおこらなかった2014年と比較したところ、コナラでは変わらない地点が多かったが、ミズナラ、ブナでは悪かった地点はほとんどなかった。この結果から、石川県(環境部自然環境課)ではツキノワグマの平野部への大量出没の可能性は低いとし、ツキノワグマの出没注意報発令は行わなかった。出没件数は大きくは増加せず、大量出没は起こらなかった。一方、2015年のマイマイガによる被害は、2014年に比べ低減した。地理的には2014年に被害が大きかった白山麓では被害が低減したが、2015年は金沢市南部から小松市にかけての、やや標高が低い地点で被害が見られた。

石川県のブナ科樹木3種の結実予測とクマの出没状況,2015」(PDF:2,996KB) 

 

白山公園線(石川県)におけるセイタカアワダチソウ(Solidago altissima)の分布と除去(4)

野上達也・宮腰政男・西田睦男・池内 裕

白山公園線(風嵐~市ノ瀬までの約10.6km)及び白山公園線から枝分かれする工事用道路、市ノ瀬園地においてセイタカアワダチソウの分布調査と除去作業を行った。その結果、分布地点は道路沿い38地点、工事用道路72地点、市ノ瀬園地2地点の計112地点で、工事用道路で分布地点が増加していた。除去作業では129.5kgのセイタカアワダチソウを除去した。これまでの除去で1集団で5kgを超えるような集団がほとんどなくなり、1.0kg以下、特に0.5kg以下の集団の数が多かった。また、開花茎数は1,254本、非開花茎は4,142本、全部で5,396本で、2014年に比べると増加していたが、2015年の新規調査地点を除いて比較すると、ほぼ変わらなかった。これまでの除去で、個体サイズの減少はみられるものの2年目以降の除去量はあまり減少していない。根絶するためには、今後も数年間に渡って除去作業を継続していく必要があると思われる。

「白山公園線(石川県)におけるセイタカアワダチソウ(Solidago altissima)の分布と除去(4)」(PDF:19,197KB) 

 

「白山高山帯のホコリタケ属菌(担子菌門,ハラタケ科)」

糟谷大河・河原  栄・栂 典雅・保坂健太郎

2014年に白山の高山帯で採集したホコリタケ属のきのこ2種を、形態的特徴及び分子系統解析の結果に基づき、ヒタチノスナジホコリタケ(Lycoperdon ericaeum)およびクロホコリタケ(L. nigrescens)と同定した。両種は、これまでヨーロッパや日本、北アメリカにかけての北半球一帯から報告されている。ヒタチノスナジホコリタケは、茨城県産標本に基づき日本新産種として報告され、その後の国内での記録も茨城県に限られていた。クロホコリタケについては、千葉県産標本に基づき日本新産種として報告され、国内では千葉県のほか石川県や高知県の低標高地域のみから記録されていたものである。本報告は、日本の高山帯における両種の初の分布記録であるとともに、ヒタチノスナジホコリタケが小松市の低標高地でも採集されたことから、石川県においても両種は低地から高山帯にまで分布することが明らかとなった。

「白山高山帯のホコリタケ属菌(担子菌門,ハラタケ科)」(PDF:1,960KB)  

 

「中宮展示館周辺で観察された鳥類の記録」

平松新一・南出 洋・安田雅美

中宮展示館周辺で観察された鳥類の2011年から2015年までの5年間の記録を報告した。5年間の観察で48種の鳥類が記録され、そのうち留鳥は27種、夏鳥は19種、冬鳥は2種だった。この記録を石川県全体の記録と比較すると旅鳥・迷鳥および冬鳥の割合が低く、留鳥、夏鳥の割合が高かった。記録された種の生息環境は、山地帯を含んだ環境に生息する種は、石川県全体では25%であるのに対し、中宮では全体の88%、水辺や海に生息する種は、石川県全体では43%であるのに対し、中宮では2%と大きく異なっていた。今回の記録のうち5種が環境省レッドデータブック2014に掲載されており、このうちイヌワシとクマタカは絶滅危惧IB類に選定されている。

「中宮展示館周辺で観察された鳥類の記録」(PDF:1,927KB)  

 

「自動撮影カメラで確認された七尾市及び中能登町里山林の哺乳類相」

小谷直樹・有本 勲・野崎亮次・江崎功二郎

邑知潟地溝帯の南北に位置する七尾市及び中能登町の里山林に、2013~2015年まで20台の自動撮影カメラを設置し、哺乳類を撮影した。その結果、14種の哺乳類の生息が明らかとなった。邑知潟地溝帯の南部の撮影頻度はイノシシ、アナグマ、キツネ、ニホンジカ及びカモシカの5種において北部よりも有意に高くなり、邑知潟地溝帯が哺乳類の分布拡大の地理的な制限要因になっていることが示唆された。3か年の撮影頻度の上位5種はタヌキ、イノシシ、ハクビシン、アナグマ、ノウサギで、種ごとに異なった季節変化を示した。また、撮影頻度上位5種は夕方から早朝にかけて撮影頻度が高く、ヒトの活動時間帯を避けて行動していることが示唆された。

「自動撮影カメラで確認された七尾市及び中能登町里山林の哺乳類相」(PDF:3,160KB)  

 

「小白水谷下流で発見された白山火山起源の降下スコリア堆積物」

東野外志男・田島靖久

白山の東南東約4.5kmの大白川支流小白水谷下流の左岸段丘に、スコリアを主とする白山火山起源の層厚約9cmの堆積物が分布しており、野外での観察や粒度分析から降下火砕物と判断された。噴出年代は約2,000年前より後で、11~13世紀以前であると考えられた。岩石記載学的には、これまで報告されてきたスコリアと比較して、カンラン石斑晶が著しく富む特徴が見られた。

「小白水谷下流で発見された白山火山起源の降下スコリア堆積物」(PDF:3,364KB)  

 

「白山自然保護調査研究会」平成26年度委託研究事業成果要約

白山自然保護センターが白山自然保護調査研究会に委託している委託研究事業の平成26年度分成果要約。

「白山自然保護調査研究会」平成26年度委託研究事業成果要約(PDF:1,302KB)

 

 

ダウンロード

「石川県白山自然保護センター研究報告」(第42集)(PDF:25,966KB)

 

お問い合わせ

所属課:生活環境部白山自然保護センター 

石川県白山市木滑ヌ4

電話番号:076-255-5321

ファクス番号:076-255-5323

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